沢からたどった「古飯豊山」:飯豊権現山岳信仰のルーツとか。。。

「古飯豊山」(ふるいいでさん)

聞き慣れない山名ですが、飯豊前衛の山域にある飯森山はかつてこうも呼ばれていたとのこと。そのわけというと。。。

山岳信仰の具現である飯豊権現は、古の時代には飯森山にあったところ、最澄、空海の時代に山岳信仰がより高い山をめざす流れの中で、現在の飯豊本山に移ったのだそうです。

そんな話を以前に小耳に挟んだことがあったので、飯森山に興味を持っていました。さらに、飯森山には一般登山道に準じる扱いのユニークな沢があって、喜多方市が毎年、まるで市民登山かのような沢開きイベントを行っていることも知っていました。

そんなわけで世間一般の沢登りとは勝手が違うらしいことはなんとなくわかっていたのですが、遠方からもわざわざやってくるパーティがあるほどで、そこそこ面白いらしい。。。

まあ、そんなイメージを持っていた飯森山の大桧沢を遡行してきました。噂にたがわず、突っ込みどころ満載のコースでした。まずは登山口の案内図からして驚きです。まるで沢沿いに道があって、詰めると沢の奥にキャンプ場があるようなイラスト。だいたい標識の立つ登山口自体が入り込んでしまうと沢を詰めるしかない「登山口」です。

登れない滝にはトラロープがかかっていますが、高巻きを経験していても、腕力勝負でけっこうアブナイ感じです。そのうえ、越えるのがなかなか難しい所もあり、私たちはアブミやカムを使ってようやく越えました。

そして件の「キャンプ場」。最初は沢の中にキャンプ場なんてどんな所かと思いきや、一段尾根をあがると、えっと思うような異空間が広がっていました。まるで林道終点広場という感じで、ブルーシートや鍋が置いてありました。でもここは奥深い沢のど真ん中。

沢はようやく穏やかな渓相になり、苦労なく尾根に詰め上がりました。そこはかり払いされた立派な「登山道」なのですが、沢遡行以外に使う道ではありません。

かつての山頂らしき地点には古い石の祠と年季の入った木製の社が並んでいました。年代は読み取れなかったけれど、明治以前です。数十年前までは麓の住民がここで雨乞いの行事をとりおこなっていたとのこと。また、古飯豊山の日中村が飯豊山の一の戸村に対して、「飯豊権現様」の返還を求める争いを起こしたという歴史もあるというのです。

そんなこんなで、興味深い山の興味深い沢でした。う〜ん、沢のことがほとんど書いてないですね。それは後日の詳細記録に譲ることにしましょう。

大桧沢1 大桧沢2

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コメント

  1. やない かずこ より:

    私、福島県郡山市に在住です。大桧沢・・・お疲れ様でした。安達太良の沢や、会津の沢など、こちらの沢に多数来ていただいて、うれしく思います。一度、「ブナの沢旅」さんにメールをしたいと思っていました。いつも、遡行記録を読ませていただき、参考にさせていただいています。私は、2003年から沢登りを始めて、大桧沢には、2004年と2005年に「つがさくら山岳会」主催の沢開きに参加しました。沢開きの時には、参加者全員ブルーシートや、各自のテント、タープの下に泊まり、山菜の天ぷらやお酒がたくさん出ます。ただ、下山は登山道を下るので、長くて長くて、厭になります。私の8月は、桧枝岐でした。8日に実川・ヤビツ沢。15日に下の沢。両方とも、日帰りで下山後は、七入のキャンプ場でのんびりしました。私は、すでに還暦を過ぎているので、沢は、そろそろ、終わりかなあ~と、思う今日この頃です。これからの「ブナの沢旅」さんのご活躍をお祈りいたします。私の仲間が、「山田沢田岩田」というブログをやっています。お時間のある時、お出かけ下さい。では、失礼いたします。

  2. akiko より:

    やないかずこさん
    コメントをありがとうございます。記録にでてくるyukiさんが郡山市在住の人で、「つがざくら山岳会」で大桧沢イベントを主導している若者の知り合いなんですよ。

    沢を始めてすぐにあの沢に行くというのはけっこう大変だと思いましたが、地元のみなさんは山登りのベースが首都圏よりもレベルが高いのだと思います。下りは沢も長かったですが、登り返しがないだけましかもしれません。辛いですから、あれは。

    私が沢を始めたのはやないさんより少し遅いですが、年齢はほとんど同じだと思います。だから、沢はそろそろ終わりかなあ〜、なんてことはないですよ。沢もいろいろですから、まだまだ楽しめるところがあると思っているのですが。。。

    「山田沢田岩田」さんは、私の山友がご一緒したことがあり、ブログも知っています。
    これからも郡山に行く機会があると思いますので、いつかどこかの沢でばったり、なんてあると楽しいですね。