気になる孤高のブナ

西丹沢の石棚山稜には、以前から必ず立ち止まる気になるブナがあります。決して立派な大木でもなんでもなく、むしろひょろっと細くて頼りなげなブナです。

最初に石棚山稜を歩いたときは他のどっしりとしたブナにばかり目が向いて気付かずに通り過ぎたようでした。けれど二回目に歩いた7年前には、裸地の斜面に一本だけ背高ノッポの痩せっぽちが踏ん張っている姿が印象に残るようになったのです。

とくに最近は、2011年3月の東北大震災で復興や希望の象徴になった、震災を生き延びた陸前高田の一本の松とイメージが重なり、なおさら思いが強くなったのかもしれません。

ここを歩くのは冬の好天の時が多いので、青空に向かって精一杯背伸びをして頑張っているように見えます。そしてその姿をみるとすがすがしい気持ちになって、なんか元気をもらえる気持ちになります。思い入れって、すごいパワーを持っているものです。

一年ぶりに石棚山稜を歩いてきました。箒沢から檜洞丸に登るコースは石棚山までの2時間半ほど急登が続く苦しいコースですが、歩く人が少ない静かな道で好きなのです。昨日も西丹沢自然教室行きのバスは登山者で賑わっていましたが、箒沢公園前で降りたのは私だけでした。

今年はお正月の不動ノ峰から始まり、なんと3回目の丹沢です。つい先日は鍋割山荘に水を運んできたんですよ。山とは別の世界のことでモヤモヤすることがあり、こんなときは山へ行くのが一番と、西丹沢へむかったのですが、バスに乗りそこなってしまいました。便数が少ないので諦めて行き先を変え、気がついたら林道脇にあるペットボトルの山から何本かをザックに入れて鍋割山へ。ちょっとでも良いことをして気分を晴らしたかったのかもしれません。

また脱線しましたが、どうして今年になって立て続けに(丹沢の)山歩きなのか。じつは今までも何度も山に行こうと思いつつ、早起きが辛いと前夜に日和って未遂に終わっていたのでした。いつでも行けるから、以前行ったことがあるから、天気がイマイチだから。一人なのでどんな言い訳も簡単に通用しました。

そこで今年は心を入れ替えようというわけです。あれこれ理由をあげて日和らず、朝ちゃんと起きて山にいこう、と。丹沢はそのとっかかりです。相変わらずおおげさな物言いですが、私にとって早起きするのはけっこうハードルが高い行為なのです!

朝バス停に居合わせた男性と行き先の話をするなかで、ブナの尾根歩きが好きなのだと伝えると、その方もいいですよね〜と共感。いろいろなコースを口にしたので、私は車がないから簡単には行けないというと、バスを使って林道を延々と歩くのだそーです。神ノ川林道を歩くのも平気なのだと。びっくりすると、林道歩きは嫌いですか、なんて言われてしまいました。ほんとに好きな所を歩きたいなら、それくらいのことを厭っていてはダメだなあ〜。ウ〜ン、修行が足りない。

こんなふうにして2015年の山歩きが始まりました。なんだかまとまりのない雑感になりましたが、三日坊主に終わらないよう頑張りたいです。そして林道をトボトボ歩いている女性がいたら、是非声をかけてくださいね。

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