みちのくの沢旅顛末記

8月は東北の沢へ行くことに決めていた。ところが今年は8月の東北は連日雨模様。なかなか行き先を決められず日程だけを確保して様子見となった。そして最終的には、6年前に遡行した葛根田川を選んだ。どこでもいいからゆったりとした沢旅がしたかったのだ。まったく同じではつまらないので、今回は葛根田川から大白森と栗木ヶ原の2つの湿原を繋ぐコースをのんびりと2泊3日で計画。

前回はあっさりと遡行できた葛根田川だったが、増水が気がかりだった。あれこれ気をもんでも、こればかりは現地に行かないとわからない。。。ということで、念のために撤退の場合の代替案も用意した。

盛岡から車で地熱発電所へ向かうが、下流の葛根田川は明らかに増水して濁っていた。いや〜な予感を抱えて入渓点へ。そして目の前の流れを見て、う〜ん。なにしろ我が弱小パーティは増水に弱い。小田倉沢で2度も増水敗退した実績もある。たとえ最初の徒渉を踏ん張っても苦労しそうだ。と、すぐに予定変更のコンセンサス。

こうして最初からつまずいたのだが、大丈夫まだ2日ある。代替案として隣の秋田駒ヶ岳の小柳沢を調べて来た。なかなか良さそうな沢だし、初めての沢のワクワク感がある。すぐに気持ちを切り替えた。

さて、時は昼まえ。そうだ、栗木ヶ原湿原にハイキングへ行こう。まるで神の啓示を受けたように思い立つ。予定では3日目の最終目的地だ。最後に下る筈だった道を往復すれば半日でたりると、荷物をデポして楽しいハイキングへ出発♪

最初はヤブの道は途中から明瞭となり、何よりもブナの大木、巨木の森が素晴らしかった。そしてあっさりと湿原へ。美しくひっそりとたたずむ広大な栗木ヶ原湿原は、ほんとにやさしく私たちを迎えてくれた(ように感じた)。あまりにも簡単にたどり着いて申し訳ない気持ちさえ抱いてしまうほど。大小何十個もの池塘が点在し、見飽きることがなかった。葛根田川のことなどすっかり忘れて幸福感にひたった旅の始まりとなった。

そして翌日はメインの小柳沢へ。有名な葛根田川と違っていまだ全国区の沢ではないが、ブナの沢旅的にはかなりの好感触。登れる美しい滝が連続し、最後はお花畑を詰めて稜線へという、理想的なフィナーレだった。

わざわい転じて福となす。今回はまさにこんな言葉がピッタリする、夢のようなみちのくの沢旅となった。

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