船形山を巡るブナの山旅

2年前の三月初旬に3度目の正直でようやく船形山を巡る雪山の旅を実現した。天候に恵まれ、美しい雪山の展望とブナの霧氷を堪能し会心の山旅となった。そしていつか同じコースを新緑の季節に歩きたいと思った。こういう思いはブナの雪尾根を歩くと必ず抱くのだが、沢始めだのなんだので後回しにしているうちにシーズンが過ぎて行くのが常だった。

今年は個人的な事情で山行のサイクルが変則的になったことが幸いしたといえるかもしれない。もう雪山収めには遅いし、関東以北での沢始めにはちょっと早い。ようやく日程がとれたブナの沢旅ながら、最初は行く先に悩んでしまった。そこで新緑の山歩きをすることに。以前だったら近場の沢へと気持ちが向いたと思うが、去年同じ時期の神室連峰の縦走が素晴らしく、こういう選択肢もあるのだなあと感じたことが大きい。

船形連峰は大好きな山域ですでに3度雪山シーズンに訪れている。船形周辺の山行の思い出は雪山歴7年という短い期間ながらたくさんあることをあらためて思い出しながらプランを決めた。

升沢コースと長倉尾根はいずれもブナの美しいコースながら、それぞれの登山道のアクセスポイントが離れているため、周遊するには一工夫がいる。前回は雪山だったので登山道のない藪尾根をたどって周回。

今回は多少の藪をこいで長い林道をショートカットし、氾濫原という心引かれる場所を徒渉して大倉山へと繋いだ。思い出の山頂小屋に泊まりたかったことや天候を勘案し、前回とは逆コースで初日にたくさん歩くことにした。

今年は各地の山の雪解けが例年よりも早いという報告を多く目にしていたが、船形山周辺は予想以上に残雪があった。からっと晴れた青空とはいかなかったが、残雪とブナの芽吹きを楽しむことができた。2日目のコースは天候次第ではまだ歩いていない大滝野営場経由で下山しようとも思ったが、強風と視界もあまりよくないのでお馴染みの升沢コースをブナを愛でながらのんびり下山。

時間も早かったので温泉を探して汗を流し、仙台に向かう途中で雨が降り出した。いいタイミングで下山できたと思う。短い山旅だったし念願といっても控えめなものだったけれど、山行前の心ふさぐ状況を忘れて清々しい思いを得ることができた。

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