南会津の山旅顛末記

去年の3月に南会津の舟鼻峠から神籠ヶ岳の茫漠とした山並みを縦走したところ、同じ日程で同じコースをおそらく1、2時間の違いでたどったパーティがいたことを後に知りました。そして後日、そのパーティのメンバーからゲストブックにコメントをいただき、山行のお誘いをうけたのでした。

山の世界では「今度ご一緒しましょう」はよく使われる挨拶代わりのフレーズです。だから互いに気持ちはあってもなかなか実現できないのが何度か経験済みの現実です。けれど今回は嬉しいことに具体的な計画の段階で再度連絡をいただきました。

ちょうどほぼ同じ時期にブナの山旅を計画していたところだったので、別パーティとして合同山行することを提案し、実現する運びとなりました。なにしろお相手は、わらじの仲間とまほろば山岳会、会津山岳会の合同パーティです。バックナンバーの年報を買いそろえている老舗的山岳会の方々と交流できるのですから、もう行く前からアレを知りたいコレを聞きたいと、わくわく手ぐすねを引いていました。

なのに天気図は最悪のもよう。自分たちだけなら日程変更や転戦するのですが、今回は特別なのでそんなことはできません。交流目的に気持ちを切り替えました。

我がパーティは1日早い入山で別ルートから合流予定でしたが、悪天のため舟鼻山から御前ヶ岳往復の日帰りに変更し、翌日みなさんと出発点から合流することに。そして翌朝吹雪の舟鼻トンネル出口で初顔合わせの挨拶後、三引山から博士山という計画は中止に決めたのでした。

こういうときは地元のメンバーがいるというのは心強いもので、快適な「避難場所」に案内され、お茶を飲みながら昨年のニアミスを肴にさっそく楽しいおしゃべりです。といっても時間はたっぷりあるので田島の裏山に軽く雪山ハイキングへ行くことになりました。関東組は会津山岳会のKさんにおまかせ気分のおまかせコースです。いくつかの候補から手軽そうな斎藤山を選んでくれました。

なのですが、町の青空に騙されてはいけません。天気図では低気圧のど真ん中です。稜線にでるとブナ林がいい感じになってきたとはいえ吹雪がひどくなるばかり。ほうほうの体で山頂下の電波塔に逃げ込み山頂宣言。そそくさと逃げ帰ってきました。会津の裏山は侮れません。

そして今回のメインイベント、交流宴会へとなだれ込みました。わらじの仲間のEさんは「宴会部長さん」のような愉快でフレンドリーな方なのですっかりくつろぎ、調子に乗ってベラベラ、ベラ。。。K子さんには浦和浪漫からまほろばへの歴史などを根掘り葉掘りと、ぶしつけにすみませんでした。もの静かなKさんは内心呆れて聞いていたかもしれませんが、年報「すかり」で付箋をはった山行のほとんどがKさんの記録なのですよ。

さて翌日は?と聞かれ、博士山へ行くのじゃないですかというと、Eさんは目の玉を飛び出すジェスチャーで大ズッコケ。ということで、1日先に帰京するブナの沢旅組は少しでも天候が良さそうな那須方面を物色。2年前に強風ラッセルで撤退した鎌房山から大白森をめざすことに決めて、楽しく有意義な宴会を終えました。

翌日ですが、天候はめまぐるしく変化したものの、ちょうど大白森山頂にたどり着く頃から青空が広がり、最高の展望と素晴らしい霧氷のブナ林に出会うことができました。こうして3日間の南会津の山旅は予想外のクライマックスを迎えて幕を閉じたのでした。

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