キヲクをキロク:クラウドファンディング

山とはちょっと違う話題でいきなりですが、クラウドファンディングという寄付の仕組みがあることを知っていましたか。わたしは去年の後半にはじめて聞いた時、それ何ですか〜という状況でした。

簡単に言うと明確な目的を持ったネット募金の手段で、ネットで使用目的と目標額を明記してカード決済の寄付を募り、目標額に達成した場合に寄付が成立(未達の場合は寄付はキャンセル)して決済される仕組みのようです。

たまたまネットで、仙台のNPO法人アーカイブ仙台が、あるプロジェクトのクラウドファンディングを呼びかけていることを知りました。それは市民が撮った3.11大震災の記憶の記録集を全国都道府県立図書館に2冊ずつ届けるというものでした。同じ時期に別の分野で寄付基金の立ち上げに関わっていたこともあり、参加してみることにしました。こうしたやり方では初めての寄付でした。いままでも様々な組織に寄付をしていますが、考えてみれば具体的に寄付金が何に使われるかは明確でない場合も多かったように思います。

具体的な活動内容が明示され、実現する為にはこれだけのお金が必要だとしたうえで資金の協力を要請するやり方はとても理にかなっているし、寄付をするモーチベーションも上がります。(ちなみに個人的に関わっている所は、意義のあるボランティア活動を支援しようという大きな枠組みのものです)

先日「3.11 キヲクのキロク:市民が撮った3.11大震災 記憶の記録」と題する写真集が送られてきました。本当に多くの市民の方々の写真に込められた記憶と、記憶に込められた思いがぎっしりと詰まった重い写真集です。あらためてほんの少しでも協力できたことを嬉しく思えるクラウドファンディングへの参加でした。SNSには距離をおいているのですが、こうした試みを知らせるには効果的だと感じました。

被災地では震災の遺構に対する住民感情が様々のようです。見ると思い出して辛いという被災者の気持ちもよくわかります。多くが撤去されました。けれど一方で、忘れてはいけない記憶は形を通して残るものだと保存を決めた所もあります。広島の原爆ドーム保存の歴史が思い起こされます。

つらい体験は忘れたいのが人情ですが、忘れてはならない記憶、忘れられない出来事もたくさんあります。その意味でもキヲクをキロクすることはとても大切な行為です。キロクするという表現手段を得ることで、人はつらい体験を乗り越え生きて行けるのだと。貴重な写真集です。購入することもできますし、図書館で借りることもできますので、紹介させてもらいました。

そして最後に、わたしも自分の人生のキヲク、山の記憶をしっかりキロクしていこうと思ったのでした。

(写真をクリックすると拡大します)

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