リハビリ開始で山歩きの原点へ

 

津室沢で骨折してから3週間。当初から普段の生活にはとくに支障はなかったけれど、咳やくしゃみがでると悶絶したり寝返りが打てない辛さがあった。それもようやくおさまりはじめた。

この3週間は、ある意味幸いにも仕事に忙殺されて山のことを考える余裕もなくあっという間に過ぎた。当初は医者の言いつけ通り4週間後の月末に山行を再開する予定にしていたが、日曜日のあまりにもいい天気に誘われて、少し近くを歩いてみることにした。まだ標高差があるところは自信がないので、手軽に行ける鎌倉の裏山へ。

じつは鎌倉こそ、山を始めるきっかけとなった思い出深いところなのだ。ちょうど10年前の秋だった。それ以前はほとんどworkaholicの状態で週末に遊びに出かけるなんて余裕はなかった。ところが2002年に入り仕事や家庭の事情が大きく変わった。以前よりもフリータイムがふえたのはいいのだが、家にいると悪いことばかり考えてしまい落ち着かなかった。

気晴らしがしたくて鎌倉のガイドブックをパラパラめくり、ハイキングコースに目がとまった。天園コースは2時間!そんなの歩けるわけなーいと、つぎのページへ。なになに、葛原ケ岡と裏大仏コースはそれぞれ30分。うん、これなら大丈夫そう。ザックなどなかったので買い物袋を肩にかけ、1時間ほどあるいて大仏さまに対面したときの爽快感。いまでもよく覚えている。

なんてことのない裏山歩きだったが、すべてが新鮮で興味深かった。頭をからっぽにして目の前の景色にいちいち感心したっけ・・・まあ、こんなところから山歩きがはじまったわけです。楽しさに味をしめ、その後鎌倉から三浦半島方面の低山へと足をのばしたが、まだ丹沢のような「本格的な山」などとても無理と、関心の対象にもならなかった。今思えば、いじらしいほど慎重に山歩きという未知の世界に入っていった。そして翌年の4月にようやく大山に登った。来年の4月1日は10年という節目の記念日だ。それからは我ながら「怒濤の快進撃」。あっという間にブナに恋して沢を愛し「ブナの沢旅」を立ち上げた。

10年前のこんなきっかけを思いだしながら、久しぶりに天園コースを歩いた。すぐに歩き終わってリハビリにはもの足りなかったので、往復しようと戻って途中に踏み跡のある尾根を下ってみた。どの地図にも点線さえ記されていない道だったが、途中の崖下には洞窟社が点在し興味深かった。きっとこんなところが他にもあるのだろうなあと思わせる「発見」だった。なんか、老後の楽しみを見つけたような気がしてニンマリ。

普通に歩くのはまったく問題なかったが、まだ完全に痛みは取れていないので、少しずつ負荷を増やしながら調整していこうと思う。できれば12月中に雪山を踏んで年が越せればいいな。雪山は、越後や会津、東北に行けたらいいな。こう書いているうちになんだかまた元気がわいてきた。

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