2011年のブナの沢旅

月並みな言い方だが、あっという間にまた1年が過ぎた。今年は東北大震災とその後の原発事故という大惨事を抜きにはなにも語れない。そんなことを念頭に置きながら振返ってみた。

ブナの沢旅は、東北のブナの森に魅せられたことがきっかけで立ち上げた山行のコンセプトであり、仲間との「同人」として出発した。2011年10月で5周年を迎えるので、今年はもっと原点の東北へ行きたいと思い、新年の雪山は南八幡平の乳頭山へ。

もう一方では、武尊山周辺に何度か足を運び、仲間の念願である獅子ケ鼻から武尊山へと繋いだ。4月には仙ノ倉北尾根やマナイタグラ山稜にも挑戦。5月の連休には憧れの矢筈岳に立つことができた。天候と仲間に恵まれ、とても充実した雪山シーズンとなった。

震災後にやってきた沢登りのシーズン。今年はもっと東北へ、という気持ちをさらに強くした。6月初旬には2週つづけて仙台の二口山塊へ。シーズン始めに何度か訪れているブナの美しい山域だ。

それ以降は7月と9月の台風被害など全体に天候不順が続き、計画の多くが変更を余儀なくされた。泊まりの沢も少なかった。そんな中で8月初めにふたたび南八幡平の葛根田川へ。小和瀬川と繋いだ沢旅はやはり東北の沢の美しさを存分に感じさせてくれたのだった。

9月には岩手へ向かった。宮沢賢治の世界が広がる小空滝沢。小さな沢だが、大きなイマジネーションを与えてくれた。沢の楽しみ方や切り口を広げるきっかけになりそうな予感がした。

季節は巡り、ふたたび雪山シーズンを迎えた。雪山始めは東北の船形山へ。容易には登らせてもらえない山ゆえ縁を感じざるを得ない。

こうしてざっと振返ると、計画変更を繰り返しつつも、ブナの沢旅は新境地を開きながら歩みを進めているように思える。まだまだ夢の途上だが、夢を持てることは幸せなこと。来年はどんな沢旅、山旅ができるのだろうか。夢を共有し、支え、行動を共にしてくれるすべての仲間に感謝すると共に、どこかにきっといるはずの新しい仲間を期待して新年を迎えたいと願っている。

みなさま、良いお年を♪

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