ブナの沢旅と東北 (東北大震災について思うこと)

「ブナの沢旅」は東北のブナの森から生まれました。そしてその後、四季折々の表情に会いに何度も足を運んでいます。今年だけでもすでに3回雪のブナの森を歩きに行きました。3月彼岸の3連休は、船形連峰の縦走を予定していたところでした。

今その東北が、未曾有の大災害に見舞われています。あらためて言うまでもありませんが、多くの命が失われ、命が助かった方々も困難な状況に置かれています。

そんな状況にあって自分に何ができるのか。考えても無力ですが、山行を取りやめた交通費などを含め精一杯の義援金を寄付したり節電など、身近にできることから始めました。山を愛する人たちの多くは同じ思いで山行をひかえ、節約した交通費やガソリン代などを寄付しているのだと思います。

これから復興に向け気の遠くなるような道のりでしょう。けれど、人間はいざというときには自分で意識していない底力を発揮できるのだと信じています。一度は絶望の淵に追い込まれても、諦めなければ道は開けるのだと信じています。

状況は違いますが、もっとも身近な家族が長年の不治の病の末に死期を間近にしたところで、諦めきれずにあがき、すべてをなげうち一縷の希望を託して長い再生の道を求め、ついにやり遂げたという体験をしました。その体験を通して人生のとても大事なメッセージを得たのでした。決して、決して最後まで諦めてはいけない!ということを。

だから信じています。生き延びた被災者の方々の底力を。生きていればどんな未来も希望も描くことができます。諦めなければ、まわりにはサポートしてくれるシステムがあり人々がいます。みんな応援しています。

このような状況の中ではまだ山へ行く気持ちではありませんが、もう少し落ち着いたら近くの山歩きをしてみようと思います。山に咲き始める花、芽吹きを始める木々に命の力強さと巡り来る春の息吹を感じるために。

そして再び、東北でブナの沢旅ができる日を心待ちにしています。

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