安野川小倉沢

2010年6月26日

今年は残雪が多く、ようやく越後の沢始めとなった。場所は今年1月に初めて訪れた五頭山塊の入門の沢、小倉沢。新潟での沢始めは五頭と、「越後倶楽部」でなんとなく決めていたのだが、守門黒姫で初顔合わせの若者hiro君が沢に行きたいということで具体化。

いつものように長岡駅でsamさんと待ち合わせて五頭方面へ向かい、村杉温泉近くの郵便局前駐車場でhiro君と合流後、三ノ峰登山口先の林道車止へ。途中かなりの車が駐車していて五頭山の人気振りがうかがえる。沢支度をして林道を進むとなつかしの登山口分岐となり、今回はどんぐりの森方向へ進む。すぐに開けた気持ちの良い広場となり、炊事場やトイレも完備。ここでキャンプをして翌朝遡行するのもよさそうだ。

崖のようなところを下ろうとするせっかちなsamさんをなだめ、沢沿いの明瞭な踏みあとをたどると沢へ下り始め、予想通り鉄バシゴがあらわれた。こんなところに誰が掛けたのだろうと思うが、せっかくの梯子も途中まで。最後は沢床に飛び降りるしかないのだが、怖かった。hiro君は果敢に上からジャンプ!早くも果敢な若者の血気を見せつけられる。

そしていきなりあらわれた10m大滝。とても登れるとは思えず、右手のルンゼから高巻くことにしたが、見掛け以上に悪い。落石はあるは、足元はミニ土石流的に崩れるはで、最後はロープを出してもらうはめになる。ここから滝方向へ一部危ういトラバースをして、最後は懸垂でようやく沢床へ。いきなり核心部の感あり。

しばらく進むと前方にふたたび登れそうにない8m滝があらわれる。登れる滝ねーじゃねーかよー、と誰かがぼやいている。ここの高巻きにはしっかりした踏みあとがあり、沢に下りるところにはふたたびクサリと鎖につながれた宙ぶらりんの鉄バシゴがかけられていた。釣師の仕業だとすると、すごい執念だ。確かに小さな沢のわりには魚影があり、何回かイワナの走る姿を目撃した。

その後しばらくは小滝を越えて進む落ち着いた遡行となるが、平和は長続きせず前方にいやらしい滝が見えてきた。チョックストーンの5m滝だ。両岸は切り立っていて高巻きも大変そう。よくみると滝の真ん中にロープが垂れ下がっており、ツルツルの上部をこれで登るらしい。samさん先頭で手前の釜に取り付く。

一部が深そうで目いっぱいツッパリで滝下へ。あとはシャワーを浴びながらあっさりと登っていった。行くしかないと覚悟を決め、左壁をへつりながら釜を通過するも、足の置き所が悪かったのか、胸までつかってしまう。ここまでくるとヤケクソで痛快だ。ツルツルの上部は残置ロープに加えてお助け紐も出してもらい、シャワーをたっぷり浴びながらごぼうで何とかクリア。ヤレヤレ・・・

一挙に体が冷えてしまったが、さらに追い討ちをかけるように右岸壁からシャワーが降り注ぐ。ここを通過したところでようやくひと心地つく。とてもエキサイティングな入門沢なり。顕著な二俣を右へ進むと渓相は穏やかとなり、時折きれいなナメもあらわれるようになる。ちょうど昼時となり、ソーメンタイムをとることに。まずはsamさん持参の冷えたビールで乾杯。うわぁ、おいしいっ。ミズを現地調達してソーメンにまぜ、おいしくいただく。沢ソーメン初めてのhiro君がとっても喜んでくれてよかった。

後半は微妙なムーブが要求されるナメ小滝が連続し、緊張するものの楽しい。samさんがしきりに若者に手足の乏しいナメ滝の登り方のレクチャーをしている。要は25%分散と三点確保とのこと。確かに次々と登っているうちに、私も要領を得るようになる。ロープワークも含め、習うより慣れろ、なのです。

520mの二俣で、本流ではなく左の二ノ峰沢へ入る。ようやく沢は傾斜を増し、ほとんど切れ目無く滝を落として高度を上げていく。渓相は雪どけあとの荒れた感じもするが、滝登りの面白さを楽しめば気にならない。前方が開けて稜線が見渡せる。奥の二俣は少し高く上るけれどザレマークのない右へ入る。最後の詰めも越後の沢としてはそれほど悪くは無く、たいした藪こぎもなく登山道に飛び出した。ちょうど一ノ峰と二ノ峰の鞍部あたりで、読図もぴったりだった。

このころから予想通り雨がポツポツ降り出すが、樹林帯の登山道を下るだけなので問題ない。下り始めてすぐに見覚えのある避難小屋入り口へ。1月に通ったときは雪に埋もれていて出入り口だけ除雪されていた。なんだか懐かしく、うれしかった。

さらに進むと三ノ峰の憩いの鐘へ。雪の中でたたずむ姿を思い出す。下山路は1月に登ったコースなので、真っ白な姿と新緑の対比がとても興味深い。登山道はよく整備されており、途中からはまるで遊歩道並みの歩きやすさ。あっという間にどんぐりの森へ下山すると、一足先に下っていた二人が休んでいて、今度はhiro君持参の大きな桃の缶詰が登場。丸ごとの甘い桃にかじりつき、楽しかったねーと振り返る。

さあ、小粒ながら五頭の洗礼を受けたことだし、さらに「腕を磨いて」地元の沢やさんお勧めの大荒川本谷や三階滝沢にもいつかチャレンジしたい。そしてさらに、いつかはその先の山域へ・・・

車に戻ると私達が最後だった。ここでバイクのsamさんと別れ、村杉温泉に立ち寄りさっぱりしてから、sam宅に泊まるhiro君に長岡駅まで送ってもらい帰京した。(sam、hiro、ako)

yasunosawa1 yasunosawa2

どんぐりの森10:20-入渓-二俣12:15-ソーメンタイム12:25/13:15-登山道15:30-どんぐりの森16:30

写真集

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