観音尾根~金城山(往復)

2009年1月11-12日

朝一番の新幹線で浦佐駅へ向かい、samさんの車で観音山コースの登山口を目指す。風雪山行を覚悟してきたのだが、雪は降っておらずほっとする。お膝もとの六日町はNHKの大河ドラマ天地人の主人公、直江兼続の生誕地であると、samさんの熱のこもった解説を聞きながら槻岡寺近くの登山口へ。

新しく購入したスノーシューをはいていざ出発。平地での積雪は少なめだ。小さな赤い鳥居をくぐって登山道を行くと雪で埋もれかけた石仏群の平地となり、痩せ尾根の急登が始まる。すぐに汗ばむようになり、雨具を脱いで手袋もはずす。どんよりとした天候の雪景色は墨絵の世界のよう。もちろん踏み跡はなく、最初は軽めのラッセルでウォーミングアップ。今回のもう一つのテーマがラッセル体験なのだ。

おおむね膝くらいの深さなのだが、傾斜がきついところではすぐに雪が崩れて思うように進めず、すぐに消耗してしまう。大腿四等筋の持続力を鍛えないとだめだなあー。そんなわけでラッセルはお試し体験程度で、ほとんどsaさんが先頭を行く。本人も楽しそうだからよしとしよう。

当初の予定では、観音山コースを登り長崎尾根を下る計画だったが、天候も不安定なので安全な観音山コースを往復することにした。里山とはいえ、冬山を侮ってはいけない。所々に赤テープをつけて進む。

兼続が城を構えたという、凛々しい山様の坂戸山を北に見ながらゆっくりと高度を上げていくと、なんと予想だにしなかった太陽が顔を出し始める。ラッセルは楽しいし、展望は広がるし、青空も広がるしで、二人とも大喜びだ。

顕著な八合目ピークが前途に聳え立っており、上部は樹氷のブナ林を予感させる美しい表情を見せている。全体としては長く緩やかな尾根なのだけれど、樹林帯や展望の小山、雪庇の張り出した痩せ尾根が交互にあらわれ飽きることがない。750mを過ぎたあたりから傾斜は緩み、ブナの森となる。今回は期待していなかったのでなおさらうれしい。

あまり高度は稼げていないので、もう少し進んでおきたいという気持ちもあったが、ブナの森で泊まる誘惑にまけて3時過ぎに行動を終了。翌日ザックを軽くして頂上へピストンすることに決めた。ちょうどいい広さの平地を整地して快適なテンバができた。寒くはないので夕食のしたくも外で行い、キムチ鍋で温まる。

頂上までいけなくてもすでに心は大いに満たされ、中止にしなくてほんとうに良かった。夜テントから出てみると、樹林の合間から里の明かりが予想以上に間近に見えたのが意外だった。なんだか裏山で遊んでいる気分になり、がっかりというよりは越後の里山らしくていいなあと思う。手始めの厳冬期の雪山は、これくらいがいいのです。

金城1 金城2

金城3 金城4

とても静かで穏やかな夜だった。朝方時々風が通り過ぎていったが、出発するころにはやんで天気は上々だ。あたりの山々は朝焼けで赤く染まり美しい。きれいだねえ、いいねえの繰り返し。

しばらく続く急登が続くが、ブナ林はより端正さをまし、雪質はよりきめ細かくなって、雪山の美しさが遺憾なく発揮されていく。この景色が見たくて雪山に思いを募らせているこのごろなのである。

1200mあたりからは左手に真っ白な斜面が緩やかに広がり、samさんは滑りてぇーと唾をたらすことしばし。山頂へ向かう稜線が見えてきた。左手に小屋らしきものが見えてきたのでトラバースして近づくと、小屋ではなく岩峰だった。

稜線の岩峰帯に出たのだ。一足先に登ったサムさんが小躍りして喜んでいる。稜線に出て振り返ると烏帽子岩のような鋭峰が目に飛びこみ一瞬ぎょっとする。進むにつれその姿の全容が現れsamさん興奮気味。そして核心部へ。足もとが切れ落ちた岩峰を回り込むところが一番緊張した。

岩稜帯を過ぎる今度こそ避難小屋が見えてきた。ようやく達することができた。ここまでたどりつけるか半信半疑だったし、途中の尾根歩きで十分満足だったが、やはりてっぺんにやってこれてうれしい。本当の頂上はちょっと先の小山なのだが、そそられない頂上だなといってリーダーはここで到達を宣言。

巻機山が近く眼前に聳えている。さらにその奥には国境稜線が。地図を見ると金城山から巻機山は稜線がつながっている。いつか歩いてみたいなあと夢のようなことを思いながらしばし展望にひたる。小屋は埋もれて中に入れなかったので軒下に休憩場所を作り、風除けにフライをかぶってしばらく休んでいると雲行きが怪しくなってきた。

急いで下山を始める。小屋からすぐに下り途中でトラバースしてもとの尾根道に戻った。雪が降り始めたと思ったとたん吹雪となり、山の天候の激変振りにおどろく。視界も悪くなり踏み跡もあっという間に消えかけている。

眼下に赤旗が見えたときの心強かったこと。行きに赤旗をさしているので、必要なのかと聞いたほどで、本当に役に立つ羽目になるなんて思いもしなかった。本格的な冬山体験もできたことだし、まったくもって至れり尽くせりの山行となった。テンバに戻って急いで荷物をまとめて下山。

しだいに風雪もやみ、2時間ほどで里に降り立った。金城山は予想以上にいい山だというのが二人の共通の感想。ルートも多く開かれており、皆沢川の沢コースも面白そうだ。またひとつお気に入りの越後の山を見つけ、満たされた気持ちで帰路に着いた。

金城7 金城8

金城9 金城10

1月11日 観音山コース登山口9:10-850m付近テンバ15:10

1月12日 テンバ7:20-避難小屋11:20/11:45-テンバ13:00/13:30-登山口15:30

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