楢俣川本流を最後まで詰め上げ稜線の向こうの景色を見てみたいという、ささやかな思いを抱いた三日間の沢旅でした。当初は南田代まで下る計画でしたが初日の楢俣川遡行にかかった時間から早々とタイムオーバーの予感。けれど穏やかにきらめく沢を歩くだけで充分に感じられたため、二日目は稜線にでて時間があれば赤倉岳を行けるところまでと大幅に予定を縮小し、あくせくと目標達成、なんて無粋なことはヤメにしました。
楢俣川本流は以前奥ススケ沢出合まで歩いており、ゆったりとした川の流れとナメ小滝と森の調和が美しい沢でした。これまで支流の沢は幾つか遡行しているけれど、いつか本流を最後まで詰めてみたいと思い続けていたのでした。稜線までも予想以上に時間がかかりました。けれど赤倉岳の稜線は予想以上に紅葉が見ごろで今回の沢旅で一番印象に残りました。赤倉岳山頂は間近でしたが、手前の小ピークに広がる草原があまりに気持ちがよくここでもう満足と、しばらくピクニック気分に浸ってのんびりまったり幸せな時を過ごすことができました。
ちょっと藪をかき分けて稜線の北側にでるとこちらは湿原の名残のある草地で、北東方向にぽっかり空いた空間、大小の湿原が二つ見えました。地図に照らし合わせると中ノ沢の下田代(?)でしょうか。正面には平ヶ岳が大きく、以前訪れたススケ峰湿原も見えました。後方には至仏山が存在感たっぷり。なじみの山々と辿った沢を思い出しているとあっという間に時間が過ぎてしまいます。三日間とも晴天に恵まれ、ようやく実現した楢俣川本流遡行でした。けれど体力の衰えは明らかで、もう来ることはできないだろうとも感じ、さよなら、ありがとうの楢俣川でもありました。
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