ブナの沢旅ブナの沢旅
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2021.06.10
只見 布沢川大滝沢
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2021年6月10日

前日の浅草岳から続く。。)布沢分校では運営を任されている支配人のFさんからいろいろとお話を聞いたりして興味深い一夜を過ごすことができた。朝食も規定より早く用意してもらい7時には出発する。大滝沢の中心部だけならばゆっくりと出発しても十分だが、今回は前回天候悪化で予定を変更した右俣右沢から鎌倉山に詰めてみたいと思った。地図をみるととても複雑で興味深い地形であり尾根の反対側の化物沢を略奪(?)しているようにみえるのだ。

車道終点に駐車し「恵みの森」の世界に入る。これで4回目だなんて自分でも物好きだなと思うが、遠いということを忘れれば、折々静かにゆったり瞑想ウォーキングに行きたくなる私にとってはおとぎの世界なのだ。Fさんによると年頭のドカ雪で枝が折れ沢が荒れ気味になっていたため有志の方々と二俣まではクリーンアップ作業を行ったとのこと。おかげでシーズン初めのきれいな沢歩きができて感謝です。

下ノ滝までは何度か沢を渡りながら遊歩道を進み、大滝沢の象徴的な下ノ滝から沢に入る。この沢には渡渉とか入渓とかの沢用語を使うことが不似合いな気がする。下ノ滝は夏は子供達の格好の水遊び場になるところで、今はシーズン前の静かなたたずまい。サワグルミとブナが仲良く両岸を縁取り、その奥はブナ林が広がる。木漏れ日を浴びた沢床がきらめき、ミソサザイが沢床をピョンピョン飛び跳ねるように飛んでいる。足元には小ぶりなイワナがひゅっひゅっと目も止まらぬ速さで通り過ぎる。まるで、おとぎの国の小さな森の生き物たちが幸せそうに暮らしているといった情景だ。

 

 

 

 

二俣に着いた。前回あった滝の前の大きな倒木が傍に片付けられてスッキリしている。右俣は少し小ぶりになるけれど、いろいろな形の甌穴がでてくる。ところどころビーバーダムができているが印象を損なうほどではない。小一時間ほどで魚止の滝となるが上流ほど荒れている。引き返したい気持ちと源頭の地形を見届けたいという気持ちが交錯するが、もう少し進んでみることにした。

なかなか標高を上げずにのらりくらりのゴーロ時々ナメと倒木帯を繰り返す。ようやく760m二俣に着くと予定していた右沢は水が涸れた大岩ゴーロで藪っぽい。さすがに踏ん切りがつく。引き返すことに決めた。鎌倉山はすでに左俣から登っている。現実を前に変な意地でこだわることもないと納得し一休みして引き返す。復路は下るにつれて沢がきれいになっていくので気持ちがいい。

下ノ滝から遊歩道に上がり、いつものように二又のブナによじ登る。仲間は肩の骨折が全快していないというのに背中を借りないと登れないものだからヒドイ奴だと言いながらもショルダーに応じてくれた。2008年から始まった同じポーズの写真を四枚並べるとブナはちっとも変わっていないのに人間はだいぶくたびれているなあ。けれどこれがブナの沢旅の歴史でもあるのだ。

沢靴を履き替えて帰ろうとしたところ次々と車がやってきた。なんだろうと車から降りてきた人を見たら意外にも分校のFさんだった。彼も私たちがまだここにいたことが意外だったらしい。聞けば夏に子供達を連れてくるイベントで先生方(?)の下見ガイドとのこと。また泊まりにきますと挨拶をして別れ帰路についた。

 

 

 

 

 

 

恵みの森入口7:30ー760m二俣10:45ー駐車地点13:50