栗子山塊の盟主といえばどっしりとした広い山頂の栗子山だが、実際にはわずかながら栗子山よりも標高が高いあまり知られていない山がある。分水嶺の背稜には位置していないため縦走路からはずれており、そのため訪れる人はほとんどいない。けれど自分を含めほんの一部の人たちには奥深いがゆえに憧れの存在でもある。
たんに「隠れた名峰」といったキャッチフレーズに惹かれたわけではない。なによりも惹きつけられたのは、すばらしいブナ林が広がっているということだった。もともと栗子山塊は滑谷沢に入ったのが最初だった。まだほとんど知られていない沢だったけれど穏やかで源頭には美しいブナ林が広がっていたことが印象的だった。以来何度か訪れているうちにいつか七ツ森にまで足を延ばしてみたいと思っていた。
沢からは自分には難しそうだけれど積雪期にはいけそうだ。その思いを実現させることができた。予想以上にすばらしいブナの森が広がり夢見心地の時を過ごすことができた。七ツ森の山頂を踏むこともできた。標高は栗子山よりもわずかながら高い栗子山塊の隠れた盟主といってもいいだろう。南東北の山がすべて見渡せる程の展望の素晴らしさもあいまって会心のブナの山旅となった。
0 Comments
No comments yet.
Sorry, the comment form is closed at this time.