ブナの沢旅ブナの沢旅
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2020.08.12
滝子山 大鹿川平ッ沢
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2020年8月11日

連日の猛暑で外出するものためらわれる日々。山に向かう気力も削がれてしまうが、思い切って沢に入れば下界の暑さが嘘のように気持ちがいいだろう。と、重い腰を持ち上げて滝子山の平ツ沢へ納涼沢ハイキングに出かけてきた。

平ツ沢は滝子山の登山道が並行するように通っているため随所から沢の様子を見ることができ、きれいなナメが続いているという印象だった。そこで以前から安心して一人でも入渓できる沢リストに入れていたのだが、一人おばさんが沢に入っている姿を登山者に見られるのも恥ずかしいのでほとんどお蔵入りになっていた沢だった。

なにしろ平地は暑いので登山口までの車道と林道歩きでバテてしまうのではないか。車で登山口まで入れないものかと横着な考えを起こしたが、直前のレンタカーはどこも満車状態。笹子駅からトボトボ歩いて道証地蔵の登山口へ。すでに汗びっしょりだ。駐車広場にはすでに関東各方面からの車が数台駐車していた。

登山道を下るとすぐに丸太橋を渡るが、そこで若者沢パーテイが入渓の準備をしていた。やっぱりねと、軽く挨拶をして私たちは登山道をすすみ、次の沢横断点から入渓した。しばらくはお世辞にもキレイとは言えない状態のゴーロが続き雰囲気も荒れている。そこは余り深く問わないことに。水量が多いので積極的に水に浸かりながらゴーロ小滝を越えていくのが気持ちがいい。やはり猛暑の時は沢に限ると、出発するまでの億劫な気持ちは一遍に吹き飛び来てよかったといいあう。

水浴び気分で単調な沢を進んでいくと前方に大きく真っ白な豪快な滝が見えてきた。これまでの平凡さがウソのような展開だ。心躍らせて近づくとものすごい水しぶきがもんどり打っている。これが2段20mとも3段30mとも言われているモチヶ滝のようだ。しばらくみとれるように見上げながらルートを探す。ここを巻いてはつまらない。とはいえそれほど気合を入れて来たわけではないのでロープは15mと中途半端だ。

久しぶりにロープを引いて右壁のバンド状を這い上がるが案の定途中で足りなくなりかける。足場の安定した上段を見上げると真新しいハーケンが2枚連打されている。ここで確保をとっていったん上がってきてもらう。2ピッチ目は滝頭のぬめりをさけて右側に回り込んで小さく巻いた。2段目は下を巻き気味に登って沢に戻り、あとはロープをつけたまま交互に進んで終了。たった一つの滝を登っただけなのに疲れてしまい、長い休憩で一息つく。

その後は下部の単調さを取り戻すように次々と滝があらわれ12m滝へ。左側の水流沿いはとても登れる気がしないので、階段状の右壁を登って滝上へ。これくらいが自分たちにはちょうどいい按配だ。少しゴーロになったのちに美しい5mナメ滝があらわれワォ〜。でも、のっぺりしたスラブに水量多く登れる気がしない。仲間がトライするが途中でギブアップし、右岸を小さく巻いた。巻き上がってまたまたワォ〜。沢幅いっぱいにキレイなナメが続いている。そう、これが私がずっと描いていた平ツ沢の姿なのだ。

楽しいナメ歩きのひと時が終わるとサドンデスのように沢は再び平凡に。左岸の枝沢合流点を越えたところで遡行を終えた。ちょうど登山道が一番沢に近づく地点で2mほど斜面を這い登って登山道にでた。登山道とは言えしばらくは崩壊地を何箇所か通過したりと足場はあまりよくない。これからますます崩壊が加速しそうな状態だった。12m滝を見下ろすところでは午前中に入渓点にいた若者パーティが果敢に水線沿いを登っていた。若い人たちはそれが楽しいんだろうなあといいながらハイカー気分でしばらく見学したりして登山口にもどった。

平ツ沢は増水していたのか水量が豊富で平凡なゴーロも水に浸かって涼しい沢ハイキングができた。後半は豪快な滝と美しいナメが展開して前半の単調さを帳消しにしてくれた。往復の車道歩きは暑くて辛かったけれど、気になっていた沢にようやく行くことができてよかった。

 

 

 

 

笹子駅8:00ー道証地蔵登山口9:10ー入渓10:10ー1250m終了点13:20ー登山口14:50ー笹子駅15:50