ブナの沢旅ブナの沢旅
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2020.02.04
小糸川〜安房高山
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2020年2月4日

房総半島の沢はこれまで晩秋に遡行するのが通例だったが、昨年は秋の台風15号、19号の影響を心配して見送った。今回は予定していた雪山が悪天のためハイキングに切り替えることになった。ちょうど立春の暖かい一日になりそうだったので、久しぶりに房総半島に足を運んだ。

自分にとっては初めての沢を選び、小糸川源流の名前のない沢から安房高山に登ることにした。地元では歩かれているようだ。清和県民の森の駐車場から歩き始める。沢に降りるところは郡界尾根の登山道になっていて標識もあった。尾根コースは沢を渡渉して対岸の尾根に取り付くのだが、私たちはそのまま沢を歩く。

最初は倒木帯が多い川原歩きだが、しばらくするとナメ沢となる。千葉のナメ沢はどこも似たような雰囲気でとくに特長といえるものもないが、それが特長なのだといえるかもしれない。蛇行を繰り返しながら進むが川廻しは見られない。ひたすらなにもないナメ沢をのんびりと歩く。いつもは紅葉の名残があって彩りを添えていたが、冬枯れの今はそれもない。

ナメの雰囲気はいいので楽しく気楽に沢ハイキング。倒木帯が多いのは仕方ないのかもしれないが、後半のゴルジュの倒木帯にはびっくりさせられた。隘路が倒木ダムとなって盛り上がっている。なんとか倒木に乗り上げると側壁にチッピングされたような手がかりが続いている。まるで熊手の手形のようで面白いが、これは自然なのか人工的なものなのか話が盛り上がる。

倒木ダムを乗り越えさらに進むと、今度は側壁の岩層の間から白い水が流れ出しておりかすかに硫黄の匂いがする。2年前に遡行した志組川でも白濁した「温泉」が湧き出している所があった。高い側壁が次第に低くなり顕著な二俣となる。尾根が間近だ。

最短で尾根に抜けるために左沢に進む。最後は植林帯の尾根に乗ると作業経路らしい踏み跡があり容易に尾根の林道に抜けることができた。ここで靴を履き替えて安房高山方向に進む。車も通れる広い林道を行くと道端に古い馬頭観音と石標が並んでおり、古くから利用されてきた道であることがわかる。

地図には出ていないが、安房高山の登山道入口らしい所に古い木の標識があった。ひと登りすると小さなポコとなり、ここにも古い石の祠とお社が並んでいた。何も調べてこなかったが、こんな小さな山にもちゃんと歴史があるのだなという、当たり前のことを感じた。標高369mの安房高山は房総半島では高い山の部類で、山頂直下の尾根先端からは鴨川方面と太平洋を望むことができる。目的が不明な屋上に階段がある小屋が建っていた。

さて、ここからどのように下山しようかと地図を見るが、地図と実際の地形がぴったりと結びつかずに考えてしまう。道迷いが多発するほど房総の山はあなどれないのだ。以前地図と地形が結びつかず狐につままれた様な経験をしたこともあった。当初は北に伸びる登山道のない尾根を歩いて戻ろうと思っていたが、その分岐がはっきりしない。そこでテープのある明瞭な道を下って一旦林道に降り、そこから再び尾根に乗ろうとしたところ、入り口がわからない。

結局ウロウロするまでもないということで予定変更。明瞭な林道を下って車道から駐車場に戻った。今回で房総の沢を10本遡行したことになる。まだ名前があって遡行されている沢がいくつか残っているが、多くは倒木がひどくて遡行価値がなくなっているらしい。そろそろ卒業かなと思いながら短い立春の沢歩きを終えた。

 

 

 

 

 

 

 

清和県民の森駐車場8:00ー郡界尾根11:00/11:20ー安房高山12:05ー駐車場13:30