ブナの沢旅ブナの沢旅
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2020.01.27
南会津 窓明山〜三岩岳周回
カテゴリー:雪山

2020年1月26-27日

雪山シーズンになると南会津が恋しくなる。今年はどこの山も積雪が少ないが、登山道のない南会津ブナ街道はどんな様子なのだろう。そこでまずは偵察をかねて登山道がある窓明山周辺を歩いてみることにした。久しぶりの会津鉄道だが、沿線にはまったく雪がない。会津高原尾瀬口駅からのバスは休日にもかかわらず乗客はたった3組で私たち以外はスキー客だ。あいかわらず誰もいないなあと、寂しいような落ち着くような。

例年は雪に埋もれている登山口の標識はほとんどでていた。3年前スコップで雪壁を崩して乗り上げた時とくらべ1.5mほど雪が少ない。おかげで登山道が明瞭なため簡単に尾根にのった。ところどころ地面が出ている急斜面を登りきると尾根が広がりブナ林となる。登山道の上を歩くので藪につかまることはない。巽沢山では初めて三角点の石柱がでていた。

家向山へと進んでいくと快適な新雪歩きとなる。数日前は降雪直後でラッセルに明け暮れたが、あれから雪が降っていないので締まっている。いい感じのブナ林なのだが、藪がでているのでスッキリした美しさがそがれている。と、贅沢をいえばきりがないが、いつ来てもいいところだと思うことに変わりはない。家向山の稜線が近くなるが、例年たっぷりある雪庇はまだほとんど発達していない。

気持ちのいい雪原をひと登りして山頂にいたるが、さすがにここでは標識は隠れていた。鞍部に下って窓明山に続く尾根を緩やかに登る。ふたたびブナ林となるあたりから泊まり場を探しながら進み、1450m付近の台地でザックを下ろした。雪が適度に締まっているため整地も簡単に済んだ。風がでてきたので手早くテントを張って中に入りひと心地着く。今までで一番順調に進んだことを喜び初日を終えた。

 

 

 

 

夜もそれほど冷えなかったのか、例年とは違いテントの内側に氷がつくことはなかった。ここでも暖冬を感じる。曇り空でなかなか明るくならない。1日前倒しで出発できれば両日ともに好天だったのだが、山の都合ばかりを優先できないので致し方ない。

出発するとすぐに広尾根となりブナの森が広がる。ここでも薮がでているが、前日よりは現実に対して免疫ができたのか気にしなくてすむようになった。足元は歩きやすく順調に高度を上げていく。いつもポツンと一本立っているダケカンバの大木は今年は低潅木に囲まれ賑やかな様子。

山頂直下の雪庇もまったくないまま山頂にいたる。風が強まりあまり長居はできないが、おなじみの山頂に今年もやってきたという親近感がわく。坪入山から延びるブナ街道を稲子山から山毛欅沢山さらにはるか遠くの小さなピラミダルな城郭朝日山までしっかりと眼にとどめる。今年はまたあそこまで行きたいなと思う。

越後三山や奥利根の山々はさすがに真っ白だ。1ヶ月前はまだらだった丸山岳も白い。コースを変えてまた行きたい。少し下って風除けできるところでふたたびザックを下ろして熱いコーヒーでくつろぐ。三岩岳に続く尾根は雪庇が薄く雪面がデコボコしている。樹林帯に入って障害物競走みたいにして進むためいつもより時間がかかってしまった。時間があれば三岩岳往復も考えなくはなかったが、早々とパスすることに。

1840mで三岩岳の登山道尾根にトラバース。週末が好天だったので三岩岳には人が入っているのではないかと思ったが、トレースは見られなかった。しばらくは好展望の無木立の緩斜面を快適に下る。とても気持ちのいいところだ。1600mからはブナ林となる。こちらもいい雰囲気で、朝に登った保太橋沢の対岸尾根のブナと相思相愛に思えてしまう。

分岐の多い雪尾根の下りは油断ができない。何度か立ち止まって読図するのも無トレースの楽しみといえる。1050m地点は要注意で、これまで2回違う尾根に引きずられている。出だしが急斜面のためここでシューからアイゼンに履き替える。頭上には前回なかったテープがついていた。急斜面をやり過ごすと登山道がわかるようになり安心する。と同時に突然ツボ足とスキートレースがあらわれる。どうやらここで引き返したようだった。確かに下るにつれ痩せ尾根は雪が少なく歩きにくい。よくここまでスキーで我慢したと感心するほどだった。最後は踏み抜きに注意しながら概ね登山道のトレースに沿って登山口に降り立った。

 

 

 

 

 

窓明山登山口10:50ー巽沢山13:10ー家向山15:20ー1450m幕営地15:45//6:45ー窓明山8:45ー1840m分岐10:45/11:10ー三岩岳登山口14:50