ブナの沢旅ブナの沢旅
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2019.10.05
恵能野川大ゴ沢〜滝子山
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2019年10月5日

10年ほど前、岩科小一郎著「大菩薩連嶺」を読んだことがきっかけで滝子山〜大谷ヶ丸周辺の歴史と古道がちょっとしたマイブームになった。中でもアモウ(尼落)など白縫姫伝説にまつわるアモウ沢にロマンを感じ、初冬のある晴れた日に沢歩きを楽しんだ。その時は藤沢川の源流から御正人のタルと呼ばれるアモウ沢右岸尾根のコルを乗り越してアモウ沢に入った。短いながら予想外のナメが続き、滝子山北のアモウ沢乗越に抜けた。

翌月には恵能野川左岸尾根を歩いて岡松ノ峰から小沢ドウミ〜ホリヌキドウミを経て大谷ヶ丸にたち、コメショイ(米背負)峠へ。米背負峠はかつて(他の物資とは違って)笹子を通さずに真木奥へ直接運搬された米の道であったという。塩の道ならぬ米の道、こういう歴史のエピソードと山歩きは私にとって車の両輪のようなもの。ワクワク感がたまらないのだ。

そんな思い出をあれこれ引き出しながら、当時リサーチした時に知ってそのままになっていたアモウ沢の隣の沢、大ゴ沢を歩いてきた。大ゴ沢は「ウォーターウォーキング」(未見)に掲載されているということで、記録もチラホラ散見された。ちなみに、アモウ沢に関しては後年「ウォーターウォーキング」の制作者の方から「ブナの沢旅」の記録を参考にして掲載したという連絡をいただいた。いつも人の記録を参考にして計画しているので、ささやかながらも自分たちが歩いた沢が紹介されたことを嬉しく思った記憶がある。

と、思い出がつきないが、さて本題へ。時間を節約するため大月駅から桑西林道入口(?)までタクシーを利用。意外なほど大きな駐車場があって驚くと、釣り人が利用するとのこと。橋を渡ってしばらくは桑西林道を歩く。大ゴ沢と並行するようになり、地図の堰堤マークがなくなったあたりで入渓する。ところがその後も3つも堰堤を越えることになる。一番新しいのは平成15年と書かれていた。どうりで地図には表記されていないわけだ。

ようやく沢幅が狭まって歩き慣れている沢らしくなる。最初は岩が折り重なったゴーロで歩きにくいがすぐに溪相が一変し、ナメワールドとなる。アモウ沢の隣の沢なので当然ともいえるがアモウ沢と雰囲気が似ているが、一枚岩は思ったより滑る。美しい20mナメ滝が現れ、一見直登できそうだが、少し登ると滑りがあっていやらしい。右端のゆるい岩壁から滝上へ。

後半のハイライトは数十メートルのナメだが、こちらは岩質がゴツゴツしていて滑りもなく快適だった。続く10mナメ滝も右側から取り付いてみたが中程で手掛かりの無いツルツルを超えられず、仕切り直して巻いた。みなさん同じなのか、巻き上がった斜面から沢に降りる明瞭な踏み跡があった。

最後はコメショイ峠に抜けるのが最短のようだが、大谷ヶ丸直下の登山道を目指す。源頭部は細かな分岐がたくさんあらわれるが、忠実に水流をたどる。意外なことに水流はいつまでも枯れず、最後は藪漕ぎもなくとてもすっきりと登山道に出ることができた。

当初はアモウ沢を下り小沢ドウミから林道をたどって出発点に戻る計画だったが、滑る沢を下るのは気が進まない。少し多めに歩いて最近弱っている足を鍛えたいという気持ちもあり、滝子山経由で駅まで歩くことにした。

休日なのでもっと歩かれていると思ったが、滝子山に着いた時は誰もいなかった。少し雲がでてきて富士山は隠れていたが、とても展望のいい山頂で地図を片手に四方の山々を確認。下山は初狩駅か笹子駅に下る登山道かで迷ったが、まだ歩いたことのない(または記憶に無い)初狩駅に下る道を選んだ。予想以上に長い道で最後は足が痛くなってしまった。やはり今回の骨折で調子が狂い足腰が弱くなっていることを改めて感じさせられた。

ともあれ、久しぶりの恵能野川と滝子山。大ゴ沢は予想を裏切らなかったし、たくさん歩くトレーニングにもなってよかった。が、現実は気持ちに追いつかず、これからは縦走もしたいという願いは遠のくばかり。。。

 

 

 

 

桑西駐車場9:00ー大ゴ沢ー登山道12:30ー滝子山14:00ー初狩駅17:00