ブナの沢旅ブナの沢旅
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2019.04.05
山毛欅沢山〜小手沢山〜恵羅窪山
カテゴリー:雪山

2019年4月4-5日

東北秋田駒〜羽後朝日岳方面の縦走の機会をうかがっているのだが3日間好天などとムシのいい条件にこだわっているためなかなかチャンスがない。一方4月に入って檜枝岐は季節外れのドカ雪に見舞われたという。それならば、ちょっくら新雪できれいになったブナの山歩きを楽しもうということになった。6日に天気が崩れるという予報だったので5日に下山したが、結局翌日も晴れていたのでもう1日山泊まりして足を延ばせばよかった。。。

4月は会津高原尾瀬口からのバスが11時過ぎまでないこともあり、新白河から車を利用した。鳥井戸橋手前の空地は雪でおおわれていたので駐車に少し苦労する。深瀬沢にかかる鉄橋も雪で覆われていた。去年も同じ時期に来ているが、その時はまったく雪はなかった。最初からシューで出発する。

取り付きの急斜面をひと登りして尾根に乗ると雪がたっぷり付いており石の祠も埋もれて分からなかった。大原の赤岩橋に延びる尾根と合流するころからブナ林となる。まっさらな新雪に覆われた尾根を気持ちよく登っていくが次第にシューが沈み始める。対岸の斜面もべったり雪が付いていてまるで厳冬期のようだ。山毛欅沢山南斜面は急傾斜で例年だと4月には亀裂が入るのだが、今回の降雪のおかげかまだきれいな状態だ。1300mを越えると尾根が広がって素晴らしいブナ林の雪原となる。去年はバス利用で出発が遅かったため、この辺りでテントを張った。

山毛欅沢山の稜線に近づくと尾根が細くなり、所によってちょっとしたナイフリッジ状になる。こんな形状になったのを見たのは初めてだ。稜線に出てから少し進んだところの平坦地で行動を終える。3~40センチほどのフカフカ雪なので整地に時間がかかった。そうこうしているうちに黒谷川対岸の火奴山方面に夕日が沈み始め、テンバ上の斜面に残照がのびて味わいのある光景となった。

 

 

翌朝はテントに荷物をおいて軽いザックで出発する。朝から快晴だ。これまで何度か歩いた経験から、恵羅窪山を越えブナの原生林終端に近い城郭朝日山手前の1446mまで行けるだろうと思っていた。ところがやはり降雪後の足取りは重い。シューで踏み込むとただ沈むだけでなく一旦沈んでさらにぐっと沈むというパターンのため、それほどラッセルは深くなくてもやたらと時間がかかることがわかったのだ。

それでもトレースのないまっさらな新雪を踏んでブナの尾根を歩けるだけでうれしかった。時間の許す限りで行けるところまでと気持ちを切り替える。左手には三岩岳から丸山岳に続く尾根が屏風のように居並び、手前に火奴尾根が近い。どちらも歩いているので親近感がある。真っ白で美しい稜線を眺めているとまた行きたくなってしまった。なんだろう、この気持ちは。

予定より2時間多くかかって、ようやく恵羅窪山についた。いつもは平たい山頂なのに雪庇が張り出して狭くなっていた。ここを今回の到達点として十分満足して納得する。真っ白な三角錐の城郭朝日山をみわたす。あと1日とって行けばよかったというのは後知恵だ。2015年と2017年に行った時のことをあれこれ思い出しながら、また来ようと言い合う。

あまりのんびりもしていられない。トレースがあるとはいえアップダウンが多いためそれほど楽ではないのだ。気温がどんどん上がり雪面が新鮮さをなくしていくのがわかる。テンバにもどって帰り支度。まだ下山があるけれど、今年もまた大好きなこのブナロードを歩くことができた。きれいな雪の姿をみることができたことを喜んで春山に変わった尾根を下った。それにしても二日目はなんと11時間行動になってしまったとは。。。

 

 

 

鳥井戸橋10:40ーテンバ17:10//6:05ー小手沢山ー恵羅窪山10:15ーテンバ13:30ー鳥井戸橋17:00