ブナの沢旅ブナの沢旅
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2018.12.08
房総 笹川田代川
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2018年12月8日

雪山はじめといきたいところだったが、急速な寒波到来の降雪ですぐに無理だと方向転換。先月後半に久しぶりに足を運んだ房総の沢が好感触だったので、房総の沢第二弾となった。主なところはそろそろ出尽くした感があったが、地図を見ながらググっているうちに興味をそそられる沢があった。総合すると、ナメがきれいで、かつての森林軌道跡という「廃線」ロマンをあわせ持つらしい。

百聞は一見に如かず。行ってみることにした。とはいえ房総の沢なので過大な期待はない。下部はゆったりとしたナメ、海底から隆起したと思われる地層の壁、川廻しの手掘りトンネル、といったところが房総の沢の共通点。今回は軌道跡というプラスαがみられるかどうか。やはり初めてのところはどんなことでも新鮮に感じられる。

アクアラインから房総スカイラインに入る。スカイラインというだけあっていつの間にか町並みや川をはるかに見下ろす標高200m近くに作られた観光道路のようだ。平成14年に完成した片倉ダムと笹川湖というダム湖周辺は綺麗に整備されて観光地となっている。道の駅から川を渡ったところにある湖畔公園に駐車して歩き始める。坂道を下って行くとなにやら秘密基地のような施設の敷地がある。衛星管制センターとのこと。

笹川を渡る橋からはるか下には黒滝と命名されている階段状の幅広滝が見える。次の橋を渡ったところから沢に降りると穏やかなナメだった。ここのナメはまるでコンクリートのようで段差がまったくない。滑りもない。そのため水量が少しでも多いと単なる川になってしまいそうだ。

日差しがあまりないのが残念だが、ストック片手にこれぞ正真正銘のウォーターハイキング。さっそく怪しげな洞穴があらわれる。川廻しではなさそうで、中を覗くとずっと奥まで続いているようだった。廃線軌道跡と関係があるのかもしれない。

 

下流の平ナメは荒れたところもほとんどなく穏やかに続く。さすがに紅葉はほとんど終わっていたが、湘南の低山と同様、房総は常緑樹も多く高山のような冬枯れにはならない。ナメはアスファルト状と洗濯板状を繰り返し続く。今まで遡行した房総の沢のナメとしてはトップ3に入る好感触だ。

左の緩い斜面壁に大きなポットホールのような穴が並んでいた。沢床には時々見られるが自然の造形なのか人工的なものなのか、興味をそそられる。こんな風に右に左にと、飽きることのない光景だ。滝らしいものはなに一つない川だが、それでも飽きさせないところがニクい。

こんな調子で2時間ほどブラブラ歩いて行くと堰堤があらわれた。左の斜面から小さく巻いて越えると沢の様相が変わる。ナメが埋まってしまったように小石で覆われた平凡な沢となる。倒木帯もあらわれる。しだいに遡行意欲がそがれていく。とはいえ、この堰堤のおかげで下流部のナメがきれいな状態をキープできているのかもしれないと思う。

右岸は植林帯で段丘には作業経路らしいトレースがあちこちに見られる。古い看板が落ちていたので見ると三井物産林業とある。かつてこの地で森林伐採が行われていたことの証といえそうだ。大きな蛇行のボトルネックの地点に大きな洞穴があらわれた。反対側の出口は沢から2-3m上にあり地形的に流路ではなさそうだ。う〜ん、なんだろう。

沢自体は単調で荒れ気味になってきた。どこからからともなく最後まで詰めずに林道に上がろうという声がでる。林道の橋が見えたところで遡行をしゅうりょうとする。

 

 

あっさりと林道にあがれば今でも車が通れる立派な道だ。このまま沢沿いの林道をもどれば手っ取りばやいが、まだ歩いていない元清澄山から三ツ石山の尾根をたどってみることにした。関東ふれあいの道に合流するところではテープが張られていて、私たちがあるいた林道は通行止めになっていた。

三ツ石山への尾根道はやせて気を使うところもあったが、モミや栂の原生林が素晴らしい。展望はないし地味で長い道のりだった。ようやく開けたところに出たと思ったところで目にした光景に唖然とする。地図ではゴルフ場建設中となっていたところだが、山一面がソーラーパネルで埋め尽くされていたのだ。最近は規模の大小こそあれ、どこに行ってもこうした光景にぶつかるのではあるけれど、規模が半端でなかった。

三ツ石山には立派な神社があり、車でやってきた観光客もちらほら見受けられる。最後がちょっと滑稽だったけれど、これも近郊の房総半島なればこそ。ちょっと毛色の変わった沢ハイキングとなり、これはこれで面白いと感じられた。

 

笹川湖畔公園9:15ー入渓点9:30ー堰堤10:50ー林道下12:10/12:40ー登山道合流点13:20ー三ツ石山ー湖畔公園16:10