ブナの沢旅ブナの沢旅
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2018.09.01
世附川土沢三ノ沢
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2018年8月30日

八月が終わろうとしている。昨年は白内障の手術で夏はあまり山に行けなかった。だから今年はあれこれプランを立てていたのだけれど、どうも天候不順で変更だらけとなってしまった。山行回数だけをみれば、体力維持のためもあってけっこう頑張ったともいえるが、いつも間に合わせの次善策。どれも気に入っていたから再訪したわけだけれど、何かが足りないのだ。と、いいながら、いざとなると安易な方を選び、今回も手軽な沢ハイキングとなった。

世附川土沢の上流部にある支沢の中で一番ナメがいい三ノ沢を遡行する。前回は明神峠から三ノ沢橋まで林道を下って入渓した。そこで今回は一ノ沢橋から一ノ沢を二ノ沢出合まで下り、そこから三ノ沢に入るつもりだった。ところが林道を下り始めると一ノ沢一帯の山が大伐採された光景に唖然とする。あまりのむごさにとても沢に下る気にならず、前回同様三ノ沢橋へ向かう。途中の作業告知で2016年から新規に10カ年森林整備計画が始まったことを知る。

途中車が3台通り過ぎて行ったので嫌な予感がしたのだが、的中。入渓点の広場にはこれから山に入るらしい作業者数名が支度をしていた。話をすると三ノ沢左岸沿いの山腹で作業をするので気をつけるようにと言われる。ここも伐採対象なのかと聞くと、もう終了したとの返答。土沢上流の山域は今後さらに整備という名の伐採が加速するのかもしれない。そういえば、6月に湯河原の新崎沢を歩いた時も沢の上部が大伐採で埋もれていた。なんだか沢歩きは終わりの始まりの予感。。。

気をとりなおして沢に入る。水量は多少多めだが、とにかく小さく易しい沢なのでヘルメットも被らず正真正銘の沢ハイキングだ。三ノ沢の沢床は終始岩盤なので、ゴーロ沢よりも歩きやすい。さっそく小ぶりながらいい感じでナメが間断的に続く。しばらくすると小滝もあらわれるが、1-2mほどながらすべて釜をもっている。今回は気温も高いのでできるだけ釜に入って水線をすすむ。深い釜のへつりも手足が豊富だ。ミニゴルジュだってある。大きな沢ではためらうような設定の所でもここなら大丈夫。まさに夏の水遊び、と言う言葉がぴったりで楽しい。

805mの二俣を右へ進むとナメ一色となる。ナメ床の岩に変化があらわれ、美しい縞模様となる。これは何という岩石なのだろう。モダンなインテリア材のようだ。その後はおなじみ花崗岩の一枚岩となり、長いナメ歩きとなる。とてもきれいな所だ。ただ両岸が植林帯で、左岸は最近伐採が行われたらしく山腹に伐採された枯れ枝が散乱しているのが残念。まあ場所を考えれば仕方がないともいえるのだが。。

 

 

ナメが終わり、堰堤を二つ越して進むと前方に何やら物騒な気配。なんとブルドーザーが作業を行っている。おどろいて作業をしていた人に話を聞くと、源頭部を横切る三国林道が一連の台風で崩壊しており、修復作業を行っているとの事。枝沢を見上げると林道下に真新しい法面工事が施されていた。頭上には物資を運ぶ為の索道が作られている。私たちのコースを心配してくれて、ここを歩くなら作業を止めるとか、よければ索道の箱に乗って上がってもいいようなことをおっしゃる。ほんの一瞬色めき立ったが、もちろん遠慮して自分たちの進む方向は別であることを知らせてその場を後にした。

その後は最初は緩やかなガレ窪を登る。稜線が見渡せるようになったところで鞍部を目指して詰めると林道にあがり、さらにひと登りで登山道にでた。上部はガスが立ち込めている。当初の予定ではここから明神山を越えて三国山まで登り、そこからブナの大木の道を下って明神峠に戻るつもりだった。明神山でガスをだしてゆっくり食事をしているうちにもう帰ろうかということになり、三国峠でタクシーをよんだ。

タクシーの運転手が話好きの人で、途中の地元の現状をあれこれレクチャー。建設中の第二東名の駿河小山付近にスマートインターができることや、伐採により見晴らしが良くなって富士山の全容が見えることなどを売り物に恐ろしく大規模な工業団地が建設されている現場解説が興味をひいた。

この夏は丹沢の沢にいくといつもガスにまかれてばかりだ。やはり何かいつもと違って天候がおかしい。またまた腰砕けであっさりと下山してしまったが、三ノ沢自体はどっぷり水に親しんで楽しんだし、ナメも水量多くてきれいだった。それになんといっても、遊び場としての山域がどんどん変わりつつあることを改めて目の当たりにして興味深かった。

 

明神峠8:20ー三ノ沢橋(入渓)9:15ー登山道12:20ー明神山13:00/13:30ー三国峠13:45