ブナの沢旅ブナの沢旅
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2017.06.16
新崎川中尾沢〜左俣
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2017年6月16日

 

新崎川は、湯河原の沢ということもあって早春の足慣らし的に遡行されることが多い。たしかに7年前に行った時は4月中旬の沢始めだった。手軽ながらも好感触だったので、久しぶりに緑が濃くなった時期に再訪した。

湯河原駅からタクシーに乗る。車中から「人間国宝美術館」なる看板が見えたのでどんな美術館だろうかと話していると、運転手さんがすかさず話に加わり、細川護熙氏に言及。湯河原に窯を持っていた関係で、美術館の館長が頼み込んで人間国宝ではない細川氏の茶碗を美術館に展示して販売もしており、それが一個50万円で売れるのだと突き放した口調で教えてくれた。

行き先を聞かれたので「しんざき川」というと、ああ「にいざき川」ね、といわれる。ようやく正式な名称を知った。昔はわらじで沢遊びをよくしたとか、今でもホタルがいるとか、いろいろと地元の人ならではの話を聞きながら幕岩公園へ。

入り口の休憩所が懐かしかった。ずっと以前山を始めたころは好奇心で岩トレなるものもやって、よく幕岩に来ていた。今も季節によっては週末は岩の人たちで賑わっているのだろうか。

白銀橋を渡った左手から沢に降りるが、完全に道ができていた。この7年で随分とポピュラーな沢になったようだ。前回はまだ芽生えが始まったばかりで明るかったが、沢は緑豊かな樹林に覆われていた。

概ね大岩ゴーロの歩く沢なのだけれど、苔蒸した渓相でしっとりとした雰囲気が好ましい。時々ちょっとした滝があらわれるがすべて登れる。

1時間ほどで中尾沢出合へ。今回は中尾沢に寄り道して、奥にある柱状節理の「六方の滝」を見物する。水量は少なめながらF1の10m滝から突然何もない沢が変貌する。10m滝前の枝沢は遥か上まで幅は狭いながらも岩壁が続いている。10m滝の右岸にはしっかりとした踏み跡があり、トラロープもかけられていた。巻き上がってすぐに前方に柱状節理の大伽藍が見えてきた。前半の遡行からはとても想像できない地層の激変で興味深く、その成り立ちを知りたくなる。

水量が多い時はさぞかし豪快だろうと思う。近づいて岩に触れてみると、一見どっしりしているような頭大の岩がぐらついた。全体に脆そうで、いつか大崩壊するのかもしれないなどと思う。

一通り見学したのち沢を戻るが、右岸にはずっと踏み跡がつづいており、少し上にある登山道からこの滝を見物に来る道があるような印象をうけた。

左俣本流もどって進むとゴーロの合間にナメがあらわれ、苔とナメが木漏れ日に照らされてとてもきれいだ。まるで違う沢に来たような気分になり、新崎川は早春の明るい時期よりも緑滴る今の時期の方がずっと美しいと感じた。

その後も苔がついた緩やかな岩盤を交えたナメ床がつづき、日本庭園風の雰囲気が広がる。ここの苔は先週の奥秩父古礼沢のふかふか苔とは違い、もっと薄くてなめらかな感触だ。

ナメが終わると再び大岩ゴーロとなり、ちょっとした滝がつづく。最後は10mほどのハング滝が前方を塞ぐ。ここを越えると終了点も間近で、まもなく左手に給水施設があらわれ登山道にあがった。

 

 

幕岩公園8:30-白銀橋9:30/9:50(入渓)ー中尾沢出合10:50-六方の滝往復ー登山道13:50/14:10ー箱根レーダー局前バス停14:25