ブナの沢旅ブナの沢旅
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2017.01.03
中尾根~大洞山~ボッコノ頭〜大沢山
カテゴリー:ハイキング

2017年1月3日

 

昨年は、新しく始めた活動やそのためのホームページ作成の作業に忙殺されるなど、思うように山行ができなかった。諸々の課題が決着して一段落した今年は、昨年の未消化を取り戻せるほどに積極的に山に行こうと固い新年の誓いを立てた。あくまでも願望なので、どこまで実現できるかわからないけれど、そんな心意気で新年早々の山行に臨んだ。

いつもなら新年は富士山を眺めながらの丹沢の山歩きから始めていたが、今年は少し目先を変えて久しぶりに中央線沿線の山を計画した。静かな尾根の陽だまりハイキングをテーマに、これまた久しぶりにガイド本などをパラパラめくり、登山地図には登山道のない笹子駅から歩ける周回コースに決めた。

笹子駅に降り立ったのは11年ぶりのこと。前回は2005年末に沢の会の同世代の仲間と本社ガ丸から鶴ヶ鳥屋山を経て初狩駅に下った。最寄りの駅から2時間ほどと意外に近く、当日も7時半には笹子駅に着いた。

しばらくは甲州街道を歩き、笹子雁ヶ腹摺山登山口への細道に入ると林道ゲートに突き当たる。傍から中に入って植林帯を進み、送電線の標識が立っているあたりから斜面に取り付いて鉄塔の建つ尾根を登る。次第に明瞭な踏み跡もあらわれ、周りは自然林となる。

巨大な鉄塔からは小さなポコや岩コブを巻きながら中尾根を進む。これから歩く周回ルートの尾根が見渡せるが、かなりのロングコースだ。明るいうちには下山できるはずなので、焦らずのんびり歩くことにしよう。

中尾根の頭には笹子峠に下る道が分岐していた。ところどころルートがわかりにくいところもあったが、そういうところにはテープがあって迷うことはない。一部ザレた痩せ尾根にはトラロープも張られている。地図に登山道の印はないけれど、けっこう歩かれているようだ。

カヤノキビラノ頭までくると南北に走る広い尾根に出て、一気に開放的な雰囲気となる。真新しい立派な木製の標識が立っていて案内図まであった。展望も開け、笹子雁ヶ腹摺山が端正な姿で近い。滝子山も立派な山容を見せている。

ここからがメインコースの尾根歩きとなる。最初は雲と見分けがつかなかったが、富士山の頭が見えた時は思わずワッと声が出る。距離が近いだけあって大きさが違うのだ。

次のピークである大洞山を越え、急坂を一気に下って摺針峠へ。由来のありそうな名前の峠からは旧鎌倉往還道に下る道が付いており、古い峠を忍ばせる。地図を見ると、ちょうどこの下にリニア線が走っている。なんだか不思議な感じだ。

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ボッコノ頭までは小さなアップダウンを繰り返す。広く緩やかな尾根はミズナラやブナに囲まれ、展望はそれほどないけれど開放的で気持ちがいい。新年の静かな尾根をのんびり歩くという狙い通りだ。

ボッコノ頭は広々と雰囲気がいいところでブナの大木も少しだけれど見られる。南面からは黒岳や御坂山が近い。富士山も上半分が見えるようになるが、春霞のように霞んでいる。尾根は東に向きを変える。もったいないほど下って登り返す。次第に尾根にはイワカガミの葉が密生するようになり、花が咲く頃はさぞきれいだろうと思う。

緩やかながら何度もアップダウンを繰り返してきたので、さすがに登り返しがきつくなってきた。これが最後の登りだと思いながら大沢山へたどり着く。標高1460mで、今回歩いた一番高い山だ。

広々と気持ちの良い山頂のベンチで最後の休憩を取る。南面からは裾を引く富士山が姿をあらわす。少し霞んでいるが、西側の急斜面のアイスバーンのテカリがはっきり見渡せる。今年に入ってから富士山での滑落事故がすでに2件報告されているが、あんなところで滑ったらひとたまりもないと思えるほど近くに感じられた。

あとは北東に伸びる尾根を下るだけ。長いけれど緩やかな尾根はところどころ落ち葉ラッセルとなり気持ち良く下っていける。940mで再び鉄塔があらわれる。朝に登った尾根の鉄塔と送電線でつながっている。899mからは尾根が三つに分かれてわかりにくい。コンパスとGPSで慎重に方向を確認して尾根らしくない急斜面を下る。

再び小さな鉄塔を通り過ぎて少し下ると尾根を離れてジグザグ道となり、神社の脇に降り立った。奥野稲村神社という立派な鳥居のある神社はひっそりとしていたが、新年でもあるので軽く手を合わせてお参りする。

国道に出る近道があるという情報を得ていたので、それらしい小道をたどると人家に行き着いた。道をたずねると裏手の階段を下ると車道に出るという。これは知らないと気がつかないが、おかげでかなりショートカットして笹子駅に戻った。

とくに展望が良いわけでもなく、ブナがたくさんあったわけでもないけれど、清々しい青空に包まれた陽だまりの尾根歩きは誰に出会うこともなく本当に静かな雰囲気で、心から気持ち良く感じられた。また訪れる機会があるならば、日の長い新緑の頃に笹子峠から本社ガ丸までつないで歩いてみたいと思いながら帰路についた。

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笹子駅7:40ー中尾根取付8:30ー中尾根ノ頭10:15ーカヤノキビラノ頭11:00ー摺針峠11:45ーボッコノ頭12:35ー大沢山13:30ー奥野稲村神社15:20ー笹子駅15:45