ブナの沢旅ブナの沢旅
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2016.09.17
樋ノ沢〜南面白山
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2016年9月17日

 

9月の三連休はちょっと遠出の沢旅ができる格好の連休のはずだが、今年は秋の長雨が顕著で、この連休も東北以外は大方雨マークで塗りつぶされた。今はカレンダーに縛られない気楽な身分なのだが、せっかく出かけるならいい天気の時に行きたいと当たり前の気持ちを実践している。この連休はかろうじて17日がまずまずのお日様マークだったので、日帰りで手軽な沢歩きを楽しむことにした。というのは、前の週にハイキングごときで疲れすぎて体調をくずしてしまったのだ。

ちょっと遠出の沢旅気分を味わいたくて二口のお気に入りの沢へ向かった。連休のため6時発のはやて臨時便が出ており、いつもより一本早い仙山線に乗ることができた。愛子駅からタクシーで大東岳登山口へ向かうとすでに10台くらい車が並んでいた。中には東京ナンバーなどもあり、大行沢パーティだろうと思う。

今回は日帰りで南面白山から面白山高原駅に抜ける予定のため、大行沢は端折って避難小屋から樋ノ沢を遡行することに。本当は避難小屋より手前から大行沢のハイライトのナメを楽しもうと目論んだのだけれど、登山道歩きに意外と時間がかかったため、パスすることにしたのだった。

何年か前にテントを張ったカケス沢出合では、早くも焚き火をしている男性2人パーティが見える。こういうデート沢に男二人でくるというのはきっと悪天のための転戦なのだろうと勝手に決めつけながら避難小屋へ。するとここでも、沢やとはちょっと毛色が違ったワイルドな釣り師風の男性数人のパーティ(あくまでも個人的な第一印象なので、違っていたらゴメンなさい!)が焚き火を囲んでまったりしていた。彼らも転戦組なのだろうか。

軽く挨拶をして通り過ぎ、出合の滝上で沢装備。さあ、これからようやくお目当ての沢歩きが始まる。樋ノ沢は大行沢よりは小ぶりになるが、ブナの森の中をずっと穏やかなナメが続く。久しぶりのブナの沢歩き。自然と頬が緩み、気持ちが和む。ここは一人で来ても安心な沢なので、季節を変えてまた来たいと思いながら進む。

前回の記録を見ると登山道に抜けるまで3時間ほどだったので、そんなものかなと思っていたが、実際には2時間もかからずに終わってしまった。あっけなかったが、多分前回は5月で雪渓が残っていて両岸が急斜面のトイ状滝が越えられず高巻きに時間を食ったのだろう。

登山道で靴を履き替えようとしていると、権現沢を遡行してきたという地元のパーティがやってきて、しばし話を交わす。「ブナの沢旅」を見たことがあるかもしれないと言われる。船形山のブナ林を守る運動をしているという方もいて、内唐府沢を遡行して源頭部で見た伐採を免れたブナ林の話などをする。

とてもいい雰囲気のブナ林の登山道を登って南面白山へ向かう。昨年の1月に南面白山から大東岳へ向かった時に目に留まった雪で覆われた樋ノ沢の源頭部の姿が思い出される。樹林帯の急登を抜けると視界が開け、振り返ると大東岳が大きい。雲行きがあやしく、南面白山ではガスで見えなくなるかもしれないと、急いで写真に収める。案の定、みるみるうちにガスが出て山頂は真っ白に。先に話をした地元パーティが小雨を物ともせずに、猪鍋を楽しんでいた。

下りも急斜面の岩ゴロゴロの道で神経を使う。積雪期の方がよほど歩きやすいと心の中で悪態をつきながら下る。スキー場が近づくと再び素敵なブナ林となる。スキー場が閉鎖されてから久しく、ゲレンデは荒野の雰囲気を漂わせていたが、下っていくと突然視野が開け、一面のお花畑が広がる。8月から10月初旬までは100万本の様々なコスモスの花が咲き乱れるらしい。季節を変えてくると、知らないことがいろいろとあるなあと思う。

短い沢歩きだったけれど、久しぶりにゆったりとした気分のブナの沢旅ができてよかった。

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登山道入口8:50ー樋ノ沢避難小屋11:20/11:55ー登山道13:40/14:00ー南面白山14:50ー面白山高原駅16:50