ブナの沢旅ブナの沢旅
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2016.09.03
伊南川保太橋沢
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2016年9月3日

 

前日の夜7時過ぎに会津高原尾瀬口駅でyukiさんと待ち合わせ、仮眠場所のアルザ尾瀬へ。ここは何度か利用したことのある駐車場で、雨が降れば軒下も使えるし、立派なトイレ施設もある。テントを張り、浅草駅のデパ地下で仕入れた食材を並べてちょっとした入山祝い。

翌日は朝から雲ひとつない青空。長丁場が予想されるので6時には入渓すべく出発する。保太橋手前の路肩に駐車する。4月に三岩から御池まで縦走した時に車を止めたのと同じ場所で、懐かしい。民家の裏手から7m滝上の沢に降りる。すぐに小滝があらわれいい感じだ。

道路から見下ろした沢からは想像できないほど開けて明るい沢だ。左岸から見栄えのする滝を落とした枝沢が出会うあたりからゴルジュっぽくなるが、側壁は低く威圧感はない。顕著な5m滝は左から巻く。

小滝とゴルジュっぽい廊下を進んでいく。最後のゴルジュ出口のところがちょっと厄介だった。空身ショルダーで超え、なんと私がyukiさんにお助けを出す。沢は再び開け、2段10m滝へ。下段は右から容易に上がれる。上段の釜を横切るところが怖くて腰が引け、足を滑らしそうになってyukiさんにしがみつく。

上段は右岸の岩壁を登るが、釜のスリップで気持ちが引けてしまい、ロープを出してもらう。ルート取りによるのだろうけれど、見た目よりも登りにくかった。すぐにあらわれる5m滝を越えると河原となり、ふうと一息つく。

次にあらわれる8m滝は豪快だが、右壁から簡単に上がれた。それにしても次々と見栄えのする滝があらわれる。このあたりの沢は一通り遡行しているyukiさんだが、保太橋沢は今回が初めてであり、こんなに面白い沢だとは思わなかったという。さらに進んで沢が少し右にカーブする手前では、yukiさんがなにやら興奮している。近づいてみると、目の前にどーんと、豪快な2段10m滝。左から取り付いて下段を登り、上段は左壁から小さく巻き上がる。

これで核心は終わったかなと、内心ほっとする。うんと難しいわけではないけれど、決して簡単でもなく、最近はいわゆる「沢登り」から遠ざかっている身としてはけっこう緊張した。少しゴーロを進むと行く手が開け、明るく開けたゴーロの河原歩きとなって、三俣へ。

このあたりが唯一のてんば適地らしいが、ゴロゴロ石の平地のように見えた。大休止後、先へ進む。すぐにトイ状滝があらわれる。とてもツッパリで越えようという気にはならず、そそくさと左岸の巻き道へ向かう。もう滝登りは十分です、という感じ。

トイ状を越えると長い炎天下のゴーロ歩きとなり、暑さでたちまち参ってしまう。ただ、目指す稜線が真っ青な空に望めるのは気持ちがいい。1291mの二俣までが長く感じられた。振り返ると谷筋の真ん中に高畑スキー場が見渡せる。

左俣に入ると渓相が変わり、快適な小滝の連続となる。全く別の沢を遡行しているようで、いわゆる一粒で二つ美味しいグリコのおまけのよう。最初のうちは楽しかったのだけれど、何しろたるむことなく滝を連ねてグイグイ高度を上げていくため、次第に疲れが出てくる。詰め上げる沢筋が稜線まで目で追うことができ、目印となる樹木が一本ポツンと立っている。あそこまで登るのか〜

1、2箇所直登できない滝は小さく巻いたのだが、巻きはあまりよくなかった。最後まで水は消えず、最後の二俣あたりは草地となって見晴らしもいい。右へ進むとすぐに笹薮の稜線に出たが、そこから登山道に抜けるのに軽い藪漕ぎとなった。

登山道は仮払いの形跡が見られ、予想以上にしっかりしていた。それにしてもけっこう時間がかかってしまった。ここで沢装備を解いて登山道をまずは避難小屋へ。三岩岳の避難小屋は初めてだが、綺麗でいい感じ。中を覗いてみたら、単独の男性が休んでいた。きっと小屋に泊まりに来たのだろうな。

登山道は最初なかなか標高を下げずに長いと思っていると、中腹からは急斜面が続き、暑さと疲れでぐったりする。でも、ブナ林の素晴らしさは会津駒の登山道よりはるかによくて、樹肌も真っ白で美しい。

1300mの黒檜沢コース分岐のところで休む。ちょうど保太橋沢の三俣の枝沢が詰め上げるところで風通しがよく、しばらく谷風に吹かれてほうけていた。

久しぶりの11時間行動になってしまったが、充実した1日だった。前半と後半では渓相が異なり、それぞれ違う楽しみ方ができるので、得した気分になれる。とはいえ、このくらいの沢を日帰りで楽しむのはもうそろそろ限界かもしれない、とも思うのだった。(yuki、ako)

hotabashi1 hotabashi2

保太橋5:55ー三俣 9:35ー二俣11:05ー登山道13:55/14:15ー避難小屋14:35ー駐車地点17:05