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「行きがけの駄賃の山」とは、大正昭和期の岳人、藤島敏男氏がよく口にしていた言い方です。この表現を最初に知ったとき、いかにも毒舌家として知られる彼が口にしそうだと愉快に思いました。平たく言えば、ついでに行く山だというのはすぐにピンときますよね。機会があれば自分も使ってみたいものだと思っていたんです。
梅雨の合間の好天の週末。みなさん各地の山へ、沢へと向かわれたことでしょう。わたくしはというと、ずっーと前から学生時代の友人達と恒例の温泉旅行が予定されておりまして、邪念を振り払い蓼科へ行って参りました。
このサイトをいつも見てくださるかたは覚えているかもしれませんが、そう、前回は1月に大菩薩嶺麓の温泉旅行でした。また行ったのか、なんて思わないでくださいね。みんな時間に余裕があるお年頃で、以前のようにスケジュール調整がつかずに流れるなんてことはないんです。あの時は、麓までいってすごすご帰るのは忍びないと、泊まった翌日は一人早朝宿を抜け出して大菩薩峠から嶺を周遊する雪山ハイキングにでかけました。
今回も翌日の日曜日はどこか北八の山と池巡りでもしようと思っていました。すると最近ハイキングを始めたお姉さんが、「アコ、ついでに山行くんでしょ。私も行きたいからどこか計画して〜」とのメール。山に行かないわけがないと、みな思っていたようです。ならば一肌脱ぎませう〜。
だから今回は私利私欲をすて、初心者でも楽しめる北横岳にしぼりました。思えば去年暮れからの雪山シーズンになぜか2回も北横岳に登っています。とくに好きというわけじゃありませんが、いつも北八ツは悪天時のバックアップなのです。でも一度も展望を拝んでいないことに気付きました。そんなこんなで、これは「行きがけの駄賃の山」だわ、と思ったしだいです。そういえば大菩薩の時は「たなからぼた餅の山」なんて書いたっけ。
当日は朝から快晴でみんなワクワク。(わたしは内心、大渋滞じゃないかな〜)ロープーウェイ山頂駅からペースに気遣いながらゆーっくり歩きます。それでも慣れていないと急登では息が切れます。山頂からは八ヶ岳連峰の山並みが近く、南北、中央アルプスがすべて見渡せます。わたしも初めての展望です。素直に良かった〜
でもすごい人出です。休憩にはせわしないので南峰をさらに進んで、登山道から少し外れた大岩の窪地でランチタイムを取りました。静かな絶景ポイントです。お湯を沸かしてラーメンを食べ、食後はお茶とお菓子で大満足。ちょっとしたことでも初めての人には新鮮なのですよね。喜んでもらえて私もとっても嬉しかったです。こういう喜びはあまり経験がないので、自分にとっても新鮮な体験となりました。また企画してもいいかな〜
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ついでに帰りがけの駄賃情報ですが、冒頭であげた藤島敏男の息子は作家の藤島泰輔で、その奥さんがジャニーズ事務所の副社長、メリー喜多川。そんで藤島泰輔の死後、彼の父親が残した山岳図書や何やらは、ジャニーズ事務所のどこかの倉庫に保管されているのだそうです。それを知ったとき思わず、ひぇ〜。次期社長は誰がなるのか知らないけど、マッチとか東山くんあたりの「大御所」タレントさん、どうか紙くずだなんて処分しないでくださいね。(最新情報については与り知らぬことをおことわりしておきます)
北横岳を「行きがけの駄賃の山」なんて書いたとたん、地元の山ともから、いい山なのに、行きがけの駄賃だなんてかわいそうとメールが届きました。
でも藤島センセイは、私の愛する南会津の坪入山を行きがけの駄賃なんておっしゃったとか。行きがけの駄賃でいけるような山じゃないのに、こっちの方がよっぽどかわいそう。なんと会津駒のついでだとか、昔の岳人の健脚ぶりは半端ないです。
まあ、すべてご愛嬌、言葉の綾ですよねっ、センセ!