ブナの沢旅ブナの沢旅
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2015.03.13
北横岳〜雨池〜双子池周辺
カテゴリー:雪山

2015年3月13日

 

12月雪山始めで計画しつつ悪天候で中退したコースを再度歩いてみることにした。12月の八ヶ岳は例年にない大雪。いきなり氷の世界に引き込まれたようで、それはそれで興味深い体験だった。そろそろ雪も締まっているだろうし、天気が悪くなければ無理なコースではない。

麓は時折日が射す高曇りだったが、ロープーウェイ駅につくと山麓から上はガスで視界はほとんどない。今回もまたダメかなと半ば諦めムードで山頂駅へ。けれどガスだけならば頑張って歩こうと申し合わせる。

3月半ばだというのに厳冬期のようなシラビソ林の登山道を進む。朝一番のロープーウェイに乗ったので先行者はいないと思っていたら山頂間近のところで下山してきた2人とすれ違い話をかわす。山頂はものすごい風のため南峰で撤退してきたという。男性はガイドのようだが、南峰で撤退したのは初めてだという。

私たちの楽観的なコースを聞いて内心無理だと思ったに違いないが、100回くらい歩いているなら行けるかも、あとは実力でしょうね、と言われてしまった。樹林帯は風がないので稜線の暴風がまだ実感できないまま先へ進んだ。

そして樹林帯を抜けて山頂の一角にでるや、いきなり強風に頬を叩き付けられる。とても歩けるような風ではないが、とにかくふんばって南峰の標識へ。Yさんが一応どうする?と聞くが、どうするもなにもない。動けないのだもの。即撤退だ。そそくさと樹林帯まで下ると嘘のように風がやむ。ここで相談。

このまま戻るのは残念なので樹林帯の道を歩いて双子池へ向かうことにした。縞枯山荘までもどるとつかの間ながら青空がでて山の景色が一変する。北横岳は相変わらずガスの中。さっさと逃げてきて良かった。

雨池に向かって下って行くと見下ろす丸山方面の山並みにはあまり雪がない。なんという違いだろう。しばらくは快適な雪面の下りだ。一旦林道に下った所でふたたび地図を見ながらルートを確認する。双子池に直接向かうか雨池を経由する迂回路をとるか。

まだ昼前だったので、一昨年に行って好印象だった雨池をまわって行きたいと思った。しばらく林道を進んで樹林帯を下る。トレースのないサラサラ雪を蹴散らしながらシューで下る快適さ。これだけでも満足だといいながら雨池に降り立つ。

標識がほぼ埋まりかけており、2年前よりも積雪量が多いことがわかる。積雪期の池や湿原はたんなるだだっぴろい雪原以外の何者でもないのだけれど、なぜか好きなのだ。たぶん雪原の池自体よりも、そこに至る過程が好きなのかもしれない。だからあまり簡単に行ける所じゃなくて、ひっそりとたたずむというシチュエーションでなければならない。私が北八ツに期待するのはそんな情景だ。

軽く休憩をして先へ進む。ここからは未知の領域なので読図を楽しもう。小さなポコを越えてからは茫洋とした森を緩やかに下って行く。小雪が舞い散るが、北八の森を彷徨うにはかえって雰囲気を盛り立ててくれるなどと、このときはまだ余裕。

あまりに漠然としているためGPSでもわかりにくかったが、途中から赤テープを見つけた。それからはテープをたよりに方向を定めながらドンドン下る。気持ちがよくて時間がたつことを忘れてしまうほどだ。というか頭の片隅に多少はあって、双子池は無理だと思っていた。でもギリギリまで粘ろう、林道が交差する所までは行きたい。時間のことを切り出すとYさんがまたブレーキをかけそうなので知らんぷりすることに。

そしたら案の定ロープーウェイの最終は4時だよとの声。わかってるってと、林道を到達点にして引き返す。緩やかな下りはこの上なく気持ちよかったけれど、登り返さなければならない。時間のことも登り返しも、いちいちわかっていたけれど気が済まなかったのだ。

登り返しは辛かった。途中で地図を見ながらショートカットしようという話もでたが、そういうときに限ってかえって時間がかかってしまうというのは経験済み。結局おとなしく来た道をもどることにした。

途中からは時間を気にしながらの早足になってしまったが、間に合わなければ歩いて下るコースもなかなかだよとYさん。こういうときは一人でないことが心強い。厳冬期のような森をたくさん歩けたからよかったねと言いながら誰もいない最終便のロープーウェイに乗った。

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ロープーウェイ山頂駅9:25−北横岳10:50−雨池12:40−双子池手前林道13:55−ロープーウェイ山頂駅15:55