ブナの沢旅ブナの沢旅
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2015.01.18
大菩薩嶺
カテゴリー:雪山

2015年1月18日

 

週末は大学時代の友人と恒例の温泉旅行となった。たまたま幹事さんが選んだ裂石温泉は大菩薩峠登山口の近くだった。天気もよさそうなので、翌日は大菩薩嶺を歩いてみることにした。

早朝、宿で用意してもらった朝食代わりのおにぎりを食べて登山口へ向かう。ちょうど始発のバスが到着したばかりだった。車道をゆるやかに登ると駐車場があらわれ、すでにたくさん駐車していた。まったく調べていないので、どこが登山道だろうと、きょろきょろ。登山者が出発するのを見届け、ついて行く。う〜ん、最初からこんな調子でいいのだろうか。

橋を渡って茶屋の前にでるが、ここでふたたび登山道ってどこだろう。どうも半分凍り付いた車道を進むらしい。だからトレースがわからなかったんだ。どこから山道になるんだろうとちょっと不安になる頃、標識があった。ヤレヤレ、ようやくホントの登山道だ。ここからは迷わないと安心する。

急登のジグザグが続く。しだいに雪道というか半分凍り付いた所にうっすらと雪。歩けないことはないけれど、疲れるのでチェーンアイゼンを装着する。こういう道は軽アイゼンよりもスパイク程度が歩きやすい。

時々展望がひらけて南アルプスの山並みが広がる。この上ない快晴だ。途中二箇所登山道崩壊で巻き道がつくられていた。山梨の森100選と書かれたブナ林の看板がある。けれど、ええっと、どこかな〜という感じ。この辺りは伐採されて少し残っているという印象。ちょっと淋しい。なにしろブナ林にはこだわりをもっているので、つい辛口に。

ひらけた上日川峠へ。ここからカラマツ林の緩やかな山道を登る。どおってことないけれど気持ちがいい。すぐにふたたび山小屋、福ちゃん荘があらわれる。そういえば宿では無雪期は宿泊客を福ちゃん荘までバスで送ってくれると言っていた。ここまで車で登るのなら、そりゃあ、すごっく楽だわ〜。でも、そしたら歩くところなくなってしまう、なんて思ってしまう。ここからは急に雪深くなり、トレースを外すとかなりもぐる。富士見小屋は素朴ないかにも山小屋の雰囲気で雪に埋もれていた。富士山の展望がいいので道から外れて小屋の奥へ向かった所膝上ラッセルとなる。

早くも下山してくる泊まり装備の大パーティとすれ違う。尾根に上がった所が大菩薩峠だ。一気に展望がひらける。素直に気持ちいい。大菩薩峠は二回目で、最初は山を始めた初めての冬に登った。天気があまりよくなかったせいか、ほとんど人がいなくてうら淋しい感じだった。あの時は丸川荘をまわった。なつかしい。ちょうど若者パーティが出発するところだったので写真をとってもらう。

ここからは富士山と南アルプスの展望を楽しみながらの短い稜線漫歩。右手は奥多摩方面の山並みが幾重にも重なっていて最奥に雲取山が顕著なピークを見せている。稜線は短い間ながらワカンがほしくなるほどで、ツボ足だとトレースがあっても潜る。なんとなく見覚えのあるあたりで立ち止まる。9月に小室川谷を遡行して登り詰めた場所だ。また来ちゃいましたよ〜と、独り言。最近は独り言が多い。

雷岩から先は樹林の中。唐松尾根分岐で、このまま下ろうかとも思ったが、とりあえず山頂にタッチしようと、樹林帯に進む。真っ青な空の展望尾根から薄暗い針葉樹林帯にはいる。ひと登りで標識のある広場へ。単独の男性がラーメンをつくっていて挨拶をすると、休む場所を間違えたなどと、展望のない樹林の切り開きが山頂であることを知らなかったようだ。

雷岩までもどって休憩し、まだ歩いたことのない唐松尾根を下る。適度の雪のせいかとても歩きやすい尾根で、あっという間に福ちゃん山荘前に下る。あとは来た道を戻るだけ。

途中で休憩している重装備のパーティに軽く挨拶して通り過ぎようとすると男性の一人に声をかけられ立ち止まる。「行きにすれ違いましたよね。レイまで行って来たんですか。早いですね〜。ツボ足だと思ったけど、あれっ」と、足下を珍しそうに見たので、こういう道にはとっても便利ですよと足裏のチェーンアイゼンを勧めて先に進む。早いですねーって、すれ違ったのが福ちゃん山荘と峠の間くらいなので、彼らはいままで何をしていたんだろう、とかえってこちらの方が興味津々。

バスの便数が少なく1時半は間に合わない。タクシーを呼ぶつもりで下っていったが、駐車場で時計を見ると1時15分と、意外に早いペース。間に合うかもと、急に欲が出て小走り気味に車道を下り、5分前にバス停に着いた。

短く周回したコースだったけれど、温泉旅行ついでの山としては、気持ちのいい展望の雪尾根歩きを楽しむことができた。都内からも日帰できるし、冬も晴れているときが多いので、手軽に雪山を体験できるいい山だと思った。

大菩薩峠登山口7:25−上日川峠9:15−大菩薩峠10:30−大菩薩嶺11:20−(唐松尾根)−上日川峠12:30−大菩薩峠登山口13:25