ブナの沢旅ブナの沢旅
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2014.12.15
蓼科山
カテゴリー:雪山

2014年12月15日

 

翌日は蓼科山へ。山の会に入会した最初の残雪期に登って以来10年ぶりだ。あの時は強風で山頂を楽しむどころでなく、すぐに天祥寺原に下った。途中の大スロープで滑落停止訓練をしたことしか記憶にない山なので、改めて登ってみたいと思った。

天気予報では午後から晴れなので、少し遅めに女神茶屋登山口に向かう。平日なのに駐車場にはすでに何台もの車が止まっていた。支度をしていると大阪の若者パーティがやってきた。みれば他の登山者もみな(私たちから見れば)若者だ。そういえば昨日北横岳ですれ違ったのも若い人達ばかり。私たちはそれをみて、嬉しいことだね〜と喜び、目を細めた。

昨日のもたつきはどこへとやらで、手早く支度をして先陣を切り出発する。車道を少し戻ったところが登山口なのだが、Yさんがあわてて戻ってきた。どうしたのかと思いきや、ザックを忘れたなんていう。もう笑いが止まらない状態で一緒に駐車場にもどる。

あんまりおかしかったので支度をしている人にザックを忘れたんですよ〜などと言いふらす。すると、まるでランドセルを忘れた小学生みたいだと、ちょっと年季の入った女性がおもしろがってくれた。それで思い出す。そういえば、新潟に住んでいた時私の弟はよくランドセルを忘れて学校に行ったことを。。。

彼はその後高校生で山に夢中になり、そのために大学を2年も留年してきちんと就職もせずお金を貯めては海外の山にも出かけていたっけ。そして当時のザイルパートナーは今カンボジアでクライミングの普及を目指す活動をしている。

あのときは部屋中を山道具で散らかしている弟の山通いを冷たい目で見ていたのに、いま自分が山に夢中になっている。Yさんのザック置き忘れ事件から大幅に脱線。。。

北横岳の積雪から予想はできたが、蓼科山の積雪も驚くほど多い。けれど週末にかなりの人が入山したのだろう。しっかりと雪道ができていた。最初はカラマツ林だが樹氷の雪化粧がとてもきれい。

最初の急登をやり過ごすと平坦なシラビソ林となり、モコモコの樹氷が今にもモンスターに成長しそうな勢いだ。ふたたび急傾斜になる所でアイゼンに履き替える。大雪のため岩がゴロゴロした登山道はかえって歩きやすく、順調に高度を上げていく。

森林限界を越えると雰囲気が一変して雪山気分がさらに盛り上がる。視界はあまり良くないが、風がないのが救いだ。だだっ広い台地に乗り上げるが、標識がないとどこが山頂だかわからない。あいかわらず展望はない。昨日もなかった。残念だけど、山の天気がいいときは八ヶ岳にはこないので、ないものねだりなのはわかってるのだけれど。。。

時々太陽が雲の合間から勢力を広げようとして期待をもたせるのだが、すぐに隠れてしまう。ずっとそんなことの繰り返しだ。山頂で記念写真をとり、天祥寺原コースを探すため、まずは山小屋へ向かう。すると軒下に2人の男性が休んでいた。ベテランさんが新人さんを連れてきたらしく、途中でへたって5時間もかかったと私たちに面白おかしくグチ話。

天祥寺原コース方向にトレースはない。私たちが迷っているとあれこれ教えてくれるが、天祥寺原は腰ラッセルになるという。こういう時血気あふれる若者なら闘志がわくのだろうけれど、なにしろ私たちはザックを忘れるくらい物忘れが日常の中高年パーティ。視界も悪い上にトレースがないのはよろしくないと、あっさりピストンに切り替える。

午後の回復を期待してできるだけゆっくり下山しようと軒下で一服しながら粘ったが、寒さでギブアップ。風がでてきたため岩稜帯を足早に下る。

樹林帯に入るころから青空が見え始め、しばらくすると前方の視界が開けて八ヶ岳連山が見えてきた。阿弥陀岳が中央にそびえて見える。行きは真っ白だったので素直によろこぶ。

下るにつれ天気は上り調子となり、見上げると真っ青な空に樹氷が美しく映える。今から登ればよかったかなーなどと欲がでないことはないが、少しでもきれいな青空の景色が見られただけで山の印象はかわるもの。

北八ヶ岳での雪山始めの二日間。深雪の山はほんとうに美しかった。

女神茶屋登山口7:50−蓼科山11:05/11:25−女神茶屋登山口13:25