ブナの沢旅ブナの沢旅
▲トップページへ
2014.09.28
葛野川深入沢
カテゴリー:

2014年9月28日

 

北八甲田では悪天のため小滝沢を日帰するだけで終わってしまった。あまり疲れも残らなかったので、天気のいい日曜日に軽く沢へ行きたいと思った。いつもながら直前の打診にもかかわらず、kukenさんは舞茸の偵察を後回しにしてつきあってくれるという。夕方に約束があったので、まだ行ったことがない短い沢を選んだ。深入沢はガイド本で紹介されて以来けっこう人気があるようだ。かねがね、そんなにいい沢なのかなあと思っていたので、この目で確かめるいい機会になった。

奥多摩方面からのアプローチとなるので、便宜上尾根を下ってから遡行して駐車地点にもどることにした。なにしろ急ごしらえの計画なので手を抜き、一度山行をご一緒したことのあるヤマレコのyoshiさんのコースを丸写しする。

小菅の湯の駐車場で仮眠後、早朝に松姫峠に移動。軽く朝食をとった後まずは登山道を進んで深入沢と釜入沢の中間尾根取り付きへ向かう。反射板の鉄塔が目印となる。植林帯の尾根はしばらく切り落とされた枝が散乱して歩きにくい。kukenさんはさっそくキノコを収穫。帰りに回収するといってデポしていた。

地図で想像したよりは痩せた急傾斜の尾根で、作業道らしき踏み跡がたくさん派生している。720mまで下った所でロープを出して右手のガレ沢に降り立つ。浮き石に注意しながら下ってようやく深入沢にたどりつく。奥多摩の里山によく見られる小さな沢だ。日が当たらず岩も黒々しているので薄暗い。北八甲田の開放的な小滝沢の余韻があるので、ことさらに感じたのかもしれない。

620mからの遡行なので、最初の登れない6m滝の上だった。すぐにあらわれる10m滝は右壁から越える。たしかにナメや小滝がつづくのだが、今年の大雪のせいでとにかく荒れている。同行者の後ろから歩くと泥水になる所も多い。残念ながら最後まであまりきれいな沢だという印象を得ることはできなかった。

けれど次々とあらわれる小滝はどれも登れる。ホールドが細かい滝が多いけれど、それがかえって遊び心でチャレンジできて楽しい。思わず、きれいじゃないけど楽しいわね〜とポロリ。一見登れそうにない滝も、kukenさんが登る様子をみて真似したり教えてもらったりして登ることができた。一ヶ所だけ2段目の滝に取り付く所が嫌らしい3m+3m滝はロープをだしてもらう。

入渓までの尾根歩きで時間がかかったが(ダム湖にまわって遡行後に中間尾根を下ればもっと時間短縮ができたことをあとで気付く)、沢に入ってからはいいペースで進んでいる。12m滝は上部がややかぶり気味だが、水量が少ないので木の根を掴んで直登する。870m二俣は今までと違って沢が開け、少し離れているけれど両門の滝のよう。ちょうど日が差し込んできてきれいだった。

二俣を右に進んでからもナメ滝がつづく。中には微妙なものもあって一ヶ所私は巻いたけれど、kukenさんは最初から最後まで全部直登していて頼もしい。その気になればもっと大きな沢の登攀だってできそうなのに、あまりその気配はなさそうでもったいないと思う。と、その心は・・・私をあの沢この沢に連れてってー、と下心みえみえ。

1030m二俣あたりで右沢前方の両岸が切り立った急傾斜の窪のように見えてきた。そこで沢を離れて右手の斜面に取り付く。こういうところはチェーンアイゼンが威力を発揮する。上部は植林帯となるが所々枝打ち跡が煩わしい。できるだけ早く抜けたくて急斜面を最短距離で尾根へ上がった。1200m地点だった。kukenさんがなかなか合流しないなあと思っていたら、やっぱり途中でキノコにつかまっていたらしい。あとは来た道をたどって松姫峠へもどった。

ということで、残念ながら深入沢はとても荒れていた。けれどこの沢のセールスポイントは数多くの小滝がそこそこの工夫で登れるということだと思った。だからいつもは安易に巻くことをいとわない私でも、久しぶりに「沢遊び」の楽しさを感じることができた。その上余裕をもって帰宅して来客を迎えることができたのだから、いい選択だったと思う。(kuken、ako)

松姫峠6:30−620m入渓点9:00/9:20−1190m中間尾12:30−松姫峠13:30