ブナの沢旅ブナの沢旅
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2013.01.20
明神峠〜三国山〜大洞山〜籠坂峠
カテゴリー:ハイキング

2013年1月20日

 

久しぶりに仕事仲間のmayaさんを誘って明神峠から篭坂峠の尾根を歩いた。14日に関東にも「大雪」が降ったので平日に軽く歩いてみようと思ったが、日程調整のすえ日曜日に落ち着いた。翌週明けに東北遠征を予定していたが、軽い半日コースなので大丈夫だろうと決めたのだったが・・・

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7時40分に駿河小山駅に降りるとすでに予約していたタクシーが待っていた。御殿場タクシーの駿河小山営業所はタクシーが一台しかなく、当日は早朝に別の予約が入っているので8時にしてほしいと言われていたのだが、キャンセルになったようだ。おかげですぐに出発できたうえ、心配していた道路の凍結もなく明神峠まで入ることができた。

天候は申し分のない快晴だ。今回はmayaさんのワカン初体験のハイキング。手軽なコースなのですでに人が入っていると思ったが、登山道にトレースはない。このくらいの雪だと、手つかずの雪尾根を歩けることがうれしい。

まずはmayaさんにワカンの履き方を教えて試し歩きをしてもらう。ストックのリングも雪山用に取り替えて出発の準備完了。さあ、気持ちのいい雪尾根歩きを楽しもう。

スノーシューで先行するが、雪は適度にしまっているので潜ってもくるぶしが隠れる程度で快適だ。最初はいつもの癖で大股で歩いてしまったが、ワカンと歩幅が合わないと初めての人は苦労することに気付き、以降ゆっくりと小刻みにトレースをつけて進む。

しばらく進むと左手前方がひらけ愛宕山や富士山が見えて来た。振り返ると相模湾も見える。開放的な展望に二人で大喜びしながら進むと車道が交差する。横切ると真新しい道標が立っていて柱の下に「富士箱根トレイルno.31」と書かれていた。

一度歩いているコースとはいえ、今回はワカン初体験の友人を案内するので多少の下調べをした。小山町は町おこしプロジェクトとして「富士山五合目から西丹沢と呼ばれる三国山稜・湯船山・不老山を経て、足柄山系の金時山までを縦走する総延長約43kmの区間」を「富士箱根トレイル」としてプロモートしているらしい。

それで思いだした。前回歩いたとき随所に見られた岩田さんのチャーミングで愛らしい、愛情のこもったカラフルな絵入りの道標を行政が撤去するというネット情報を。ちゃんとフォローした訳ではなかったので事情がわからなかったが、「富士箱根トレイル」の道標整備と関係しているようだ。

今回同じコースを歩いたところ、手作りの道標がほとんどすべてなくなっており、立派ながら平凡な標識に変わっていた。撤去しなくてもいいのにと、いまさらだが、とても残念だった。

車道を横断してからの登山道は傾斜がます。初めてだとワカンでは登りにくそうで、ペースがとたんに落ちるが、とにかく時間の余裕があるのでのんびり進む。鉄塔が建つ雪原は丹沢の山並みを見渡す絶好の展望地だ。主稜はまだ雪に覆われていた。

広い斜面を登っていくとしだいにブナの大木が点在するようになり、とてもいい雰囲気だ。どのタイミングで歩くと霧氷のブナ林を見ることができるのかなあ、見てみたいなあなどと思いながら振り返るとmayaさんが見えない。ちょっとした登りのギャップで苦戦するようなので、段差があるところはトレースを踏み固めながら進む。

そしてようやく三国山へ。樹林に囲まれた山頂で初めてシューのトレースを見る。と同時に三国峠方面から団体のハイカーが登って来た。足下を見るとだれもシューやワカンを履いていないので聞くと、やはり潜って大変だったとのこと。

明神峠から三国山までコースタイム1時間のところを3時間以上かかったので、休憩しながら進路を相談する。これから顕著な登りはないけれど、コースとしてはまだ3分の1しか進んでいない。ここから三国峠経由で山中湖方面に下ることもできるし、予定通り篭坂峠へ下っても明るいうちには下山できると説明して打診したところ、まだ歩けるし、歩きたいという。

三国山からはトレースがあり、しばらくは広々とした平坦な森を快適に順調に進む。ようやくペースが戻って安心したところ、小さなポコを越えた鞍部のづな峠でトレースが消えた。峠には岩田さんの道標が残っており、この後は時々古い道標と共に撤去されずに残っていた。

再び新雪にトレースをつけて進むが、尾根が広がってコースがわかりにくく神経を使う。1353mを越えて鞍部に下る所でいつの間にかずれてしまいGPSなしではお手上げ状態となる。軌道修正しながら鞍部の道標を見つけたときはホッとする。ここからはテープを頼りに進むが、三国山付近よりも雪が深く、時々膝程度まで潜って再びペースが落ちる。

大洞山に着いたときは2時をまわっていたが、ここまで来たら進むしかないので長めの休憩を取って腹ごしらえをする。遅れているとはいえ、まだ日は高く楽観ムードでいられた。

さあ、ここからは下るだけだよと励まして先へ進む。最初は短いコースなので立山を経由して須走に下ろうと思っていたが、もちろんそんな時間はない。

大洞山から下って少し登り返すと前方が開けて富士山が大きく見えてきた。思わずわっと声が出るほど雄大な富士の眺めだ。しばらく展望を楽しむが、内心はここからの下山ルートを迷わないで見つけられるか一抹の不安があった。

テープにそって窪地を下ると山中湖を見渡すだだっ広い雪原となる。アザミ平東の道標があるが、立山、須走紅冨台の矢印だけで篭坂峠がない。そのために一瞬迷う。道標にそったトレースを進むが、GPSをみると地図上では籠坂峠の登山道から離れていくのでますます心細くなる。

もう少し様子を見てから考えようと早足で進むとアザミ平の道標があらわれ、今度はしっかり籠坂峠を示していた。良くあることだが、実際の登山道とGPSのルートはずれていた。ものすごくホッとして、mayaさんに大声で、これで篭坂峠に下れるよーと知らせる。もう3時半をまわっていたのでやはり焦っていたのだ。

ここからは明瞭なトレースのある窪地のような雪道をひたすら下って篭坂峠のバス停についたが、乗ろうとしていたバスは定刻通り数分前に発車してしまったらしい。まあ、とにかく明るいうちに無事下山できてよかった。

mayaさんは自分のせいでバスに乗り遅れたことを気にかけ、ヒッチハイクすると車道に身を乗り出した。すると運良くあっという間に車がとまってくれた。あわてて荷物を鷲掴みして車に乗り込み、御殿場駅まで連れて行ってもらうことができた。富士山の写真を取りに来たという山登りもされる方で、短い道中ながらおばさん2人、感謝の気持ちを込めて目一杯しゃべりまくったのだった。

軽い気持ちで誘った雪山ハイキングだったが、はじめてワカンで歩いたmayaさんにとってはかなりハードな一日となってしまった。初心者を連れて行く山行をしたことがなかったので、思い至らないところが多かったが、私にとってはルートファインディングも含めいろいろと勉強になる山行だった。

そして友は、自転車で鍛えた持久力で、慣れないワカンながら誰も歩いていない雪尾根コースを歩き通してくれた。これに懲りずにまた雪を踏みたいと思ってくれれば本望なのだが・・・

 

 

明神峠8:20-三国山11:40/11:55-大洞山14:15/14:30-アザミ平15:35-篭坂峠バス停16:40