ブナの沢旅ブナの沢旅
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2012.09.09
阿武隈川南沢
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2012年9月9日

 

12日に中央アルプスの沢を予定していたため、日曜日は家にいるつもりだった。ところが直前になってyukiさんが山人モコモコ夫妻と軽くどこかの沢へ行くというので、これはいい機会だと思い、急遽飛び入り参加することになった。行き先も、かねてから名前を挙げていた南沢にしてくれるという。

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前夜のうちに移動できれば、山人さん達と一緒にyuki宅に泊ったらどうかとありがたい申し出をうけたが、あまりに急に決めたので、おとなしく当日発とする。きっと宴会で盛り上がるんだろうなあと察したところ、やはり12時近くまで飲んでいたらしい。

新白河駅でピックアップしてもらい、山人さん達と2年ぶりの再会。わーい、来ちゃいましたよ-。ハイテンションの私は車中でもしゃべりまくっていたような・・・

トンネル手前の駐車スペースで沢支度をすると、モコモコさんの号令で体操が始まった。彼らにとっては恒例らしい。たしかに準備体操は中高年の我々にとってこそ大切だなと思う。ブナの沢旅でも取り入れることにしようかな。

甲子温泉に通じる車道を下り、陸橋の下のガードレールをまたぐと阿武隈川本谷に下る踏み跡がつづいている。ここは事前情報がないとわからない取り付きだ。沢に降りたところでyukiさんから沢の解説。南沢は出合いが貧弱でわかりずらく、その先にある一里滝沢に入ってしまうパーティもあるらしい。

南沢に入ると谷筋が広がり、想像していたよりも開放感がある。すぐに10mナメ滝があらわれ、快適に登る。南沢は5~10mクラスの明瞭な滝をかけ、ガイド本のF1からF10はすべて簡単に特定できる。ナンバープレートこそないが、丹沢の沢のようで、どの記録もあまりぶれがない。だからある意味画一的な記録となり、いいようなつまらないような・・・

つづく8mY字状滝が難しいらしい。なのに、リーダーはフリーですたすた登ってしまった。ならば私もとつづく。中段の一歩がいやらしかったが、うまい具合に残置ロープがあったので、なんとかクリアできた。エイドがあったとはいえ、F2が登れたので、内心あとは楽勝だな~なんて思う。

南沢の滝はヌメリが全くないのでアクアソールのフリクションが抜群だ。滑らないとわかると無意識のうちに思い切りがよくなったようだ。4mのトイ状滝を越えると10mのF3となるが、ここは定番通りあっさりと左岸の明瞭な踏み跡から巻く。予報が外れて朝から天気がよく、見上げる緑がいまだ初々しい。来てよかった-。

その後もつぎつぎとあらわれる滝(F4~F8)を楽しく登る。山人モコモコ夫妻は時々ロープを出しながら夫婦唱随のチームワークで登っていた。一度滝上から山人さんがモコモコさんにお説教されている声が聞こえたときは、思わずウフッ。山人さんの記録を読んでいると、いままでも時々モコモコさんに怒られているからだ。怒られても嬉しそうな雰囲気がミソなのですけどね。

ということで、いよいよハイライトの30m大滝へ。直登は無理なので、左手のガレ斜面を登り、途中から水流側にトラバースして直上する。足場がもろいので慎重に登る。途中に一手悪い所があったが、ここにも残置があったのでなんとかクリア。F2もそうだったが、ほしいところに残置があり、さすがに人気の沢だ。地元では講習会によく使われているとのこと。なるほどねー。

大滝を越えると沢は小振りとなり、最後のFナンバー滝を越えると奧の二俣となる。水流も細くなってきたので二俣から少し左に入ったブナの木の下で昼食の大休憩とする。今回もリーダーがソーメンとお握り、漬け物を用意。お握りを包むシソの葉は2年前につけ込んだものだという。柔らかくほんのりとした香りで、とても上品な味だった。

大方の遡行は終わったので、木陰でのんびり食事をしていると、一羽のアサギマダラがやって来た。羽を広げた姿はとても美しく、一人で大騒ぎ。とても人なつっこい蝶々で、胸元のコンパスにとまったり、山人さんの腕にとまったりして遊んでいる。ひょっとしてスリムな人間が好きなのかな・・・あっ、別に他意などありませぬ。

詰めが楽な左沢に進むと、とたんに崩壊の跡が生々しい。何度か遡行しているリーダーによると、これは昨年の豪雨のツメ跡だという。水が濁り気味だったのは赤土の崩壊のせいだったのだろう。しばらく崩壊地をやり過ごすと、普通の沢の源頭部のようなヤブとなるが、ほとんど支障がない程度だ。途中ブナがとても美しい平坦地を通り、さらに笹藪をかき分けて登山道にでた。

そのまま登山道を進んで甲子山山頂へ。途中展望が開けたところからは存在感たっぷりの旭岳が急峻な谷筋を落として見える。3月に登って以来、愛着がわいている山なのだ。山頂までの沿道には今の時期になってもウメバチソウがたくさん咲いていた。

沢を詰めて山頂に至るとやはり、清々しい気持ちになれる。とくに今回は貴重な機会だったので、居合わせたハイカーのご夫婦に写真をお願いした。あまり慣れていないようだったので、まるで子どもに教える教師のようにあれこれ説明し、アングルまで指示したりするものだから他のメンバーが苦笑している。ったく、おばさんはこれだから・・・。

今度はお二人の写真をとってあげましょう、といって差し出されたカメラをみて唖然。プロ級の本格的なカメラではないですか。つい先ほどの自分の厚かましい態度が恥ずかしのなんの。

山頂は日射しが強いので、カメラの件を笑い話にしながら分岐まで下って休憩する。ここでもドリップコーヒーにナシやオレンジで豪華にティータイム。あとは一気にブナの美しい登山道を下って駐車スペースに戻った。

チャボランドの温泉につかり、肉の万世のカツサンドとハンバーグサンドをお土産にいただいて新白河駅まで送ってもらい、山人夫妻と三人でサンドイッチを食べ、おしゃべりをしながら帰京した。今頃彼らは朝日連峰でのすばらしい沢旅を満喫していることだろう。私たちも連休に檜枝岐へプチ沢旅に出かける予定だ。(yuki、ako、その他2)

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駐車スペース8:45-南沢出合9:05-大滝上11:20-奧の二俣11:50/12:50-登山道13:25-甲子山13:35/13:45-甲子山分岐13:55/14:25-駐車スペース15:20