ブナの沢旅ブナの沢旅
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2012.07.26
峰谷川雨降川長久保沢
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2012年7月26日

 

当初は沢泊で谷川方面の沢始めを考えていたのだが、山間部は毎日のように午後は雷雨に見舞われていたり、同行のchieさんが週末の予定と連続してしまうなどの理由で、日帰りで再調整となった。白毛門沢だけを日帰りしても良かったのだが、その場合はあの忌まわしい尾根を下らなければならない。そんなのいやだ。

というわけで、以前から沢リストに入れていた奥多摩の雨降川をピックアップ。今週は沢トレ強化週間にすれば収まりがつく。葛葉川本谷のつぎに行く沢としてちょうどいい難易度のようだ。

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平日は都合のいい時間帯に峰谷行のバスがないため、小菅行で峰谷橋から少し歩くことになる。いつもそうなのだが、話しながら歩いていると注意力が散漫になり、めざす雨降川出合いを一瞬通り過ぎてしまう。

右手に涸沢の川原を渡ったところでガードレールが途切れ、奧に山道が続いている。しばらくは沢沿いの山道をたどると倉戸沢出合へ下る。ここで沢装備をつけるが、沢は薄暗くさえない様相なのでさらに山道を進んでから入渓する。

左手上の導水管から勢いよく水が出ており、その先に5m滝と取水堰堤が見える。ここを越えると登れそうにない小滝となり、あっさりと山道に戻る。その先の2段20m滝も上段は登れないのでまとめて巻くと明るく開けた伐採地があらわれた。今回はここから本格的に遡行を始めた。

しばらくおだやかな小川風情を進むとゴルジュとなる。奧に4mの横向きの滝がみえる。釜に入って右壁から登るが、見た目よりも手足がしっかりしていて簡単だった。右手から棚沢がナメ滝を落としている。いまだ本流が平凡なので、枝沢のきれいなナメ滝に目を奪われる。

その後は小滝が続き、俄然楽しくなる。苔蒸した岩が日に照らされてきれいだ。しばし穏やかな渓相に心が和む。快適に滝を越えていくと前方に20m雨乞滝が見えて来た。いよいよだな、と思う。近づくとさすがに迫力がある。里山のちょっと奥まった所にこんな立派な美しい滝があるなんて、奥多摩らしい。そういえば、たどって来た山道も、かつて大滝見物をするためにつけられた道だとか・・・

真下から見上げ、両岸の壁に目を向ける。手前にはまるで門衛のような大木が枝を広げている。chieさんは登攀ルートを見つけようとしているようだ。途中の立木でピッチを切れるので、左から登れそうだといっている!ここで、最近那智の滝を登った若者の話になる・・世界的にも名を知られた日本では第一人者のクライマーらしいが、ちょっとやることが子どもじみて思慮に欠けていたようだ。この滝を登れば良かったのにね、などとしばし雑談後、さてと、腰を上げる。

 

 

 

二人とも大滝の高巻きが核心だと思ってきた。右岸手前にはガレ沢あり、ここから高巻くのが一つ。けれど大滝上に下るにはかなり足場が悪いらしい。そこで少し戻り、右手の小尾根に取り付く。どんどん登っていくが、急斜面が続き下降地点が見つからない。下が見えないので懸垂も不安だった。無理することはないと、小さなガレ沢が見えるところまで登っていくことにした。

登り過ぎが心配になるころ左手に谷筋がみえてきた。ここで下降開始。chieさんはすたすたとガレ沢に下って行ったが、私は途中からロープを出して懸垂2ピッチで合流した。そこからはあっさりと下って出合の4m滝上に降り立った。ふうっ、まずまずだったね、と安堵して休憩。大滝上の10m滝も巻いてその姿を見ることができなかったが、どのみち登れない滝なので、まあ、いいことにしよう。

ここからはしばらく穏やかになり、大平沢出合を過ぎると第二の見所ともいえる連瀑帯とる。2段10m斜滝は水流右側を快適に登る。つづいて4mトイ状滝(どう登ったか忘れた)を皮切りに数メートル規模のトイ状滝や糸状の滝がつぎつぎとあらわれ、それがすべて登れる。なので、楽しいことこの上ない。

上部が石積堰堤の2条滝をこえると延々、ワサビ田跡の石積が続く。整然とした構成はまるで古代遺跡のようだ。すごい労力だと、いつも感心させられる。ワサビ田を過ぎると再び小滝がつづく。のっぺりした7mスラブ状滝は左壁のクラックが手がかりのようだが、ちょっと難しそうなので左から巻いた。

続く2段6mは手前の左壁から取り付いて滝の落ち口に斜上しながら登るが、私には少し難しく、上からcheiさんに激励されながら登った。いつもはすぐに巻いてしまう癖がついてしまったが、毎回これくらい踏んばれば、きっともっと上達するのだろうなあ、などと人ごとのように思う。

源頭部の様相となり、1150m 付近で水が涸れる。ゴーロの急斜面が続き、しだいに疲れが出て足取りが重くなる。ヒーヒー言いながらようやく1220m 二俣へ。右手に20m多段の涸れ棚を見上げる。土と岩のミックスで、水分を含んでいるためグズグズで岩ももろい。

涸棚上のガレ谷を詰めると1400mまで登ってしまうので、早めに右手の小尾根に取り付くが、最初は急斜面を四つん這い状態で登る。傾斜が緩んだところで斜面をトラバースし、最後はあっさりと登山道にぬけた。

等高線が詰まっている急斜面で尾根に取り付いてしまったので、もう少し谷筋をたどってから尾根にのった方が楽だったかもしれない。とはいえ、まあ許容範囲内ということで、chieさんと握手。予想よりも短い時間で遡行できたし、高巻きも詰めもまずまず。滝もほとんど登った。大いに満足できる結果だった。

着替えてさっぱりとして尾根を下る。榧ノ木尾根はとても歩きやすい緩やかな尾根で、いっぺんで気に入ってしまった。途中で雨が降り出すが樹林帯の中なのでそれほど気にならずに倉戸山へ。ここも広々としたグラウンドのような山頂だ。

熱海バス停方面の道を下っていくと大降りとなるが、それもすぐにやんで再び青空がひろがる。最近は毎日午後になると山沿いは雷雨にみまわれるようだ。歩きやすい道なので、途中からは諦めていた3時過ぎのバスに乗れそうだとピッチをあげたところ、10分前に下山。やったーと、ベンチで一休みしていると乗客のいないバスがやって来て奥多摩駅に戻った。(chie、ako)

 

 

 

峰谷橋バス停8:05-雨降川出合8:20-倉戸沢出合8:30/8:50-大滝10:05/10:15-大平沢出合11:25-榧ノ木尾根13:25/13:55-倉戸山14:10-熱海バス停留所15:00