ブナの沢旅ブナの沢旅
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2012.05.19
尼ヶ禿山~ブナ平~鹿俣山
カテゴリー:ハイキング

2012年5月19日

 

沢始めをしたものの今週末は前後に出張が重なり、予定が立てられなかった。そんな中、sugiさんが所用で水上に行くので19日に周辺の山なら時間が取れるという。軽いハイキングなら負担も少ないだろうと思い、こういう機会でないとなかなか時間を取ることもなさそうな玉原高原でブナの新緑を楽しむことにした。

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当日の朝、沼田駅でピックアップしてもらい、玉原高原のセンターハウスへむかう。すでに10 台ほど駐車していた。ここで用意した地図一式を家に置き忘れたことに気付く。最近注意が散漫だ。案内板でコースを確認し、まずは玉原湿原に向う。

至る所に標識があり、地図がなくても大丈夫のようにできている。さすが人気の散策路。2万5000の地図に内小径がたくさんあって、地図があっても役に立たないなどと強弁するが、どんな山でも地図は基本中の基本です。湿原はようやく冬枯れから解放された雰囲気で、水芭蕉が咲いていた。

湿原を一周してから尼ケ禿山へ向う。林道から登山道に入るとさっそくブナ林となり、芽生えたばかりの淡い新緑がほんとうに美しい。尼ケ禿山はあまり期待がなかったのだが、なかなかではないですか。

これほど初々しい新緑のブナ林を歩くのは、ひょっとして初めてではないだろうか。目の前に広がるまばゆいばかりの新緑のグラデーションにめまいさえ感じながら、あっという間に山頂へ。

南側の展望はまさに若草の山並みが連なり、赤城山が霞んで見える。一方北側は樹林越しではあるが、まだ雪をまとった谷川連峰や利根川源流を取り囲む山並みが残雪期の様相を残しており、対照的な光景だ。ああだこうだと山座同定をしていたら、山頂でくつろいでいた単独の方が昭文社の地図を差し出してくれた。ありがとうございました。

下りは玉原越方面からブナ平へ行くことにした。どの道をたどってもブナ林ばかりで林道さえも新緑が美しい。道の途中の平坦地にしかみえない三角点のある長沢を通って進むと、しだいに尾根がひらけ、大木が目立つブナ平へ。期待通り、すばらしいブナの森が広がっている。

積雪期のスノーシューハイキングに人気があることがうなずける。ここならば少しくらい吹雪いても大丈夫そうなどといいながら、さっそく来シーズンのプランができあがる。けれど、ガスられたらあっという間に方角を失いそうな地形でもある。今回のGPSの軌跡を大切に取っておくことにしよう。

あまりにもステキな森なので、ブナ平の真ん中で道を外れて森の奥に分け入ってみた。フカフカの苔に覆われた倒木が格好のベンチとなり、しばらくピクニック気分にひたって地元の山菜お握りを頬張る。この間、散策路を一団のハイカーが通り過ぎていくが、いつまでたっても列が途切れず目をパチクリさせてしまった。軽く数十名はいたようだが、パーティを分けるなりの配慮をしないのかと思ってしまう。

さて、これからどうしようと相談。ブナの新緑にすっかり心が満たされてしまったので、鹿俣山はどうでもよくなってしまった。いったんは帰ろうかという雰囲気になったが、まだ昼なのでこのまま帰るのももったいない・・・鹿俣山まではここから1時間半。しばらく迷ったが、よしっ、やっぱり行きましょかと、腰をあげる。

ブナ平を過ぎると突然林層が変わり、笹原の開けた高原のようになる。雰囲気が変わってこれもよし。登るにつれこれまで見られなかったブナの巨木があらわれる。伐採をまぬがれたのだろうか。スキー場のゲレンデに出ると残雪が見られるようになり、雪解けの際にたくさんフキノトウが咲いていた。

緩やかに登ると、冬に登った武尊山ルートの登山道と合流する。雪壁を崩して這い上がったところだ。さらにひと登りで山頂へ。なんだかんだと鹿俣山は4回目。とくに展望がいいわけでもない地味な山だが、昨年の冬に2回も登った縁浅からずの山なのだ。

黒々とした剣ヶ峰が近い。積雪期とはまったく雰囲気が違って見える。やっぱり雪山の方が格好良く美しい。去年の3月大震災の直前に、鹿俣山から尾根をたどって獅子ケ鼻山を越え、剣ヶ峰を越えて武尊山に登ったことを懐かしく思いだす。よく行ったなあ~(といっても、仲間のリードのおかげだけれど)。

来た道をたどってふたたびブナ平へ戻り、往路では通らなかった経路でセンターの駐車場へ下る。ブナ平からの下りも伸びやかでおおらかなブナ林だ。アプローチも植林も雑木林もなく、最初から最後まで新緑のブナ尽くし。一帯が自然公園のようでも有り、普段の山行とは趣が異なるが、たまにはこんなハイキングも楽しいものだ。理屈なしに幸せな気持ちになれたのだもの。

ブナ平の小径の脇で、赤ちゃんを抱いた若いご夫婦がゴザをひいてお弁当を食べている姿が、新緑の明るい森に溶け込んでとてもほほえましく印象的だった。普段ハイキングなどしない岳人にも、機会があれば是非勧めたい三つ星のハイキングとなった。(sugi、ako)

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センターハウス8:50-玉原湿原-尼ケ禿山10:20/10:40-ブナ平11:55/12::20-鹿俣山13:40-ブナ平14:30-センターハウス15:05