ブナの沢旅ブナの沢旅
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2011.06.24
南秋川軍刀利沢~熊倉沢左俣西沢下降
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2011年6月24日

 

まだ梅雨の最中だというのに、真夏のような猛暑が続いている。週末からふたたび天気が崩れるらしいので、急遽近くの沢へ行くことにした。準備の時間もなかったので、手軽さと安心をキーワードに引き出しをチェックして、以前遡行して好印象だった南秋川の軍刀利沢に決めた。

4年前に行ったときは「ブナの沢旅」を始めたばかりのヨチヨチ歩きの時。多くの滝を巻いた記憶がある。今回はどれくらい登れるか楽しみだった。うれしいことに、土壇場でchieさんが同行してくれることになった。彼女とは4月上旬の仙ノ倉北尾根以来だ。

当日の朝、武蔵五日市駅で待ち合わせ、数馬行きのバスに乗る。朝は小学生の通学バスとして利用されているようだ。途中子ども達で賑やかだったが、南郷で下車するまでには私たちを含め乗客は4人だけとなった。

南郷バス停から矢沢林道を歩く。熊倉沢との分岐である落合橋から少し進むと左側斜面が大伐採地となり作業が行われていて一般車は通れなくなっていた。すぐに赤テープで印がつけられた軍刀利沢出合いとなり、ここで沢装備をつける。同じバスで一足先を歩いていた単独の中年男性が入渓の支度をしていた。いつも一人で簡単な沢を歩いているとのこと。

今度は私たちが一足先に入渓する。さっそくミニゴルジュとなり、沢水の感触が心地よい。Chieさんは前回来たときにクモの巣の藪が煩わしく、いい印象を持っていなかったらしいが、入渓早々いい感じ~と喜んでいる。3mナメ滝と2条4m滝は連瀑のようで美しい。

木漏れ日の射す涼やかな沢歩きは夏にもってこいの楽しみ方だ。5m逆くの字はどこが逆くの字かな~などと思いながら左から越える。苔むしたナメや適度のシャワークライムを楽しみながらさらに進むと8mナメ滝へ。ここは前回巻いた記憶があるが、左壁から取り付いて登った。

2段10m滝は直登できる滝ではないので少し手前の右斜面から高巻く。少し急斜面を登るところにはトラロープがかかり、落ち口へトラバースするところもしっかりとしたロープが固定されていてまるでゲレンデ沢のようだ。先行するchieさんは、こんな時でも手を抜かずにカラビナで確保しましょうという。見習わなくては行けない。去年の夏、奥秩父の古礼沢で沢講習中の中年女性が、ロープが固定された滝上のへつりで手を滑らせ、滑落死する事故があった。なぜそこでカラビナを通して確保しなかったのだろうという話題になる。

小沢を分けて右へ進むとしばらくは穏やかなナメの渓相となり、5mナメ滝があらわれる。ここも左から取り付き上部で右クラックをまたいで越える。つづくトイ状5m滝はちょっと難しそうだ。下部のトイ状を突っ張りで越えるが、上部のシャワークライムで水勢に巻けそうになりお助け紐を出してもらう。ここも前回巻いたので、助けてもらったものの登れてよかった。

その後も一ひねりあるような小滝が続き楽しさ全開だ。6m滝は右壁が登れるらしいが一見したところ悪そうなのでおとなしく右から巻いた。そしてフィナーレを飾るかのように10mナメ滝があらわれる。登れない滝だが、chieさんは名残惜しそうに下部だけでも登れないかとトライしている。そこで私がさくっと巻いて上からロープを出し、トップロープで最後の滝登りを楽しんでもらうことにした。私はすでに十分楽しんだのでお腹一杯。上部で一度テンションがかかった。かなりヌメっていたらしい。

これで主な滝登りは終わった。二俣を右へ進むと斜度が増してナメが階段状につづく。チョックストーン滝がでてきたり涸棚を登ったり、最後まで楽しめる。そしていよいよ源頭部の様相となり、あとは落ち葉の積ったルンゼ状の窪を忠実に詰めルと、960mの三国山近くの登山道へでた。藪こぎが一切ない快適な詰めだった。

三国山のベンチで一休み。南側の展望が得られ、正面には富士山が見えて意外であり、うれしい気持ちになる。さわやかな風が心地よく吹き渡り、身も心も爽快だった。

軍刀利沢だけでは短いので、沢を下降する。前回は熊倉沢左俣の東沢を下降したので、こんかいは西沢とした。まずは登山道をたどり、りっぱな鳥居のある軍刀利神社に足をとめて熊倉山へ。途中峰を二つ越えるのでアップダウンが堪える。前回休憩をした道標のあるポコには軍刀利山西峰というきれいな標識が新しく追加されていた。

熊倉山からは西沢の源頭部を確認しながら下り、傾斜がゆるそうな斜面から下降すると踏み跡があちこちに見られた。ここに詰めて来るようだ。3mCS滝はハングしているのでさっそく懸垂下降。そしてしばらくすると8m滝上へ。Chieさんはクライムダウンしていったが、途中から内側に傾いた逆送気味の壁の通過が大変そうだったので、私は左岸の泥壁をトラバース気味に巻き下ったが、けっこう悪い巻きだった。

その後はほとんど何もないガレた感じの渓相を淡々と下るとしばらくは伏流となる。さらに下るとふたたび水流があらわれ、小滝もでてきて2段6m滝上へ。傾斜のあるナメ滝を下るのは難しく、ここも懸垂で下る。したから見れば簡単に登れそうな滝だった。しだいに水量もふえ、ようやくきれいな渓相になったところで木橋が見えてきた。

ここから作業道にあがることもできたが、それではあっけないのでさらに沢を下ると東沢との二俣へ。東沢の奥には4m滝が見える。ふたたび木橋があらわれるが、さらに沢を下ると藪っぽくなってクモの巣がうっとうしくなる。そこでようやく作業道にあがり少し歩くと右俣分岐へ。沢を横切るところで靴をあらい、沢装備をといて林道にあがった。

バス停にもどったのが3時過ぎ。つぎのバスまで1時間以上も待たなければならないが、予想以上にスピーディーな遡行だったので、うれしい誤算だった。沢の話をしながら時間つぶし。chieさんももっと沢に行きたいというので、巳ノ戸谷を提案しながらようやくやってきたバスに乗った。

その時は、まさかすぐに実現するとは思いもしなかったが、ひょんなことから急展開して翌々日には巳ノ戸谷へ向ったのだった。

 

南郷バス停8:30-軍刀利沢出合9:15/ 9:40-三国山11:55/12:20-熊倉沢左俣西沢下降12:45-林道14:20/14:40-南郷バス停15:10