ブナの沢旅ブナの沢旅
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2009.12.06
袴腰岳~大倉岳(中退)
カテゴリー:雪山

2009年12月6日

初冬の東北の山旅を計画し行き先をあれこれ思案しているときに、Yさんから津軽半島のブナ林に関するURL添付メールが届きました。津軽半島のブナとはまったく想定外のことでしたが、白神の山や沢について多くの本を書かれている根深誠さん編集の分県ガイド(青森県)を改めて読むと、数百メートルの低山ながらブナの見事な山がいくつか紹介されています。

とりわけ「思わず、白神山地の核心部・赤石川源流の泊ノ平を連想する」ほど見事なブナ林が広がるという袴腰岳(わずか628m!)の解説文に目が釘付けになりました。これで決まりです。本州最北端のブナの森を歩くなんて、ワクワク・・・

というステキな計画だったのですが、直前の予報では雨と強風、所により雷。泣きたくなりましたが、せっかく来たのだから少しくらいの雨なら決行しようと当日を迎えました。

夜中に降った雨はやんで雲の合間からは青空もでています。さっそく行動開始です。蓬田川にそった林道をすすんで袴腰岳登山口へ。林道はさらにNTT無線中継所までのびていますが、袴腰岳から大倉岳を周遊できるかもしれないという淡い期待で周回基点に車を止め歩き始めました。

30分ほどで無線中継所に着くと袴腰岳登山口のきれいな看板が立っていました。従来の登山道はアクセスの林道が悪路のため、地元山岳会が新たに開いた登山道とのこと。前方には樹林越しに途中の鍋森山が見渡せます。登山口の標高は250m足らずですが、歩き始めるとさっそく見事なブナが点在し始めます。青空が広がり、天候もしばらくは大丈夫そうです。

最初はヒバ林とブナの混合林のなかをアップダウンを繰り返しながら進みますが、すぐにブナ一色の道となりとてもいい感じです。

ところが雲行きが急に怪しくなってきたと思うまもなく雨が降り出し、雨は大粒のあられに変わっていきました。やはり予報通りのようです。雨具を着込み、これで周遊コースは無理だなと観念。けれど雨に濡れたブナ林もなかなか風情があり苦になることはありません。

振り返ってみれば「ブナの沢旅」を始めてからこれだけの雨の中を歩くことは初めてのことでした。悪天の行動にも慣れなければいけないねと強がっては見たものの、手前の鍋森山548mに到着した時点で撤退を決めました。

前日の南八甲田に続きまたもや撤退となってしまいましたが、全コースの中でも特にブナがきれいな鍋森山まで何とか行くことができたと自分を納得させ、穏やかな気持ちで来た道をもどりました。

眼下には登りでは見えなかった緩斜面のブナ林が広がり、立ち止まることしばし。違う道を歩いているようで悪くないなと思いながら登山口に戻りました。

青森県はブナの蓄積量が圧倒的に多いことがうなづける里山散策でした。それと同時にさすが本州北端の地。ブナの分布高度や森林限界が、慣れ親しんでいる丹沢に比べ1000m近く低いことに改めで驚かされました。

再び訪れる機会があるかどうかわかりませんが、ブナというテーマがなければ縁がなかっただろう津軽半島の人々の暮らしぶりの一端に触れ、不老不死温泉というこの地方最古の温泉に浸かる機会を得て、いつもとはひと味違う山旅を楽しむことができました。

 

 

 

コースタイム:記録せず