ブナの沢旅ブナの沢旅
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2008.09.06
前川大滝沢
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2008年9月6日

 

朝から快晴の中、横向温泉から滑川温泉へ向かう。滑川橋近くの駐車スペースで沢支度をして滑川橋を渡ったところから沢に下ると、さっそく特徴のある赤茶色のナメが出迎えてくれる。両岸は開けていて開放的だ。昨日の湯川ですっかり満足してしまい、大滝沢は2度目なこともあっていまひとつ気持ちの盛り上がりに欠けていたが、一度沢に入ればやはり楽しい。

最初の関門である3段20m滝は釜の左壁をトラバースして取り付き、水流左を登る。当初2、3段目はホールドの豊富な右壁を登るつもりだったが、左壁を登ったところに残置ボルトがあったので、ここはYさんにロープを出して左壁を登ってもらう。

前回は一見取り付きやすそうな右岸の上部岩壁をトラバースして巻いたのだけれど、直登した方が易しいことを後で知ったのだ。大滝沢はフリクションがいいので滑らないのだが、最初はおっかなびっくり。

この滝を登ったところで、男女パーティが追いついてきた。こちらはトレーニングしながらゆっくり行くからと先行をお願いすると、この沢は短いので自分たちは遊びながら行くから気にしないでくれと言われる。沢慣れた人たちのようで、あえて難しいルートにいどんで楽しんでいるようだった。初心者も上級者も楽しめる沢だと紹介されているのはこういうことなのね、と納得。

大きな釜を持ったナメ小滝と広い沢幅一杯のナメが続き、とてもきれいで開放的だ。しばらく行くと沢は右へ曲がり、開けたゴーロの先にいよいよ100mの大滝が見えてくる。とてつもなく大きく圧巻なのだが、水量豊かに白い筋を幾重にも垂らした姿はとてもエレガント。

しばらく眺めたり写真を撮ったりしてから右岸尾根脇の窪に取り付いて巻き道をたどる。潅木をつかみながらの急登だが踏跡はしっかりしている。途中草つき斜面を2回トラバースするところではロープをだした。沢に戻ってヤレヤレと休憩。

再びゴーロ、ナメ、ナメ滝の繰り返しで、登れない滝には巻き道がしっかりしている。一箇所フリクションぎりぎりの5m滝はYさんが頑張り、ロープを出してくれた。右岸からネコノ沢が小滝をかけて出合っていて、登山道へのエスケープにもなる。さらさらと舗装道路のようなナメ床を、何も考えずにヒタヒタ歩くのは本当に心地よくたまらないのです。

赤茶色のナメ滝で出合うホラ貝をすぎ、4mのトヨナメをこえると大釜を持った5m滝だ。水量が少なければ中央突破もあり得そうだが、左岸を小さく巻く。一部足元が切れていて枝につかまっての腕力トラバースとなり怖かった。8m幅広の滝は2年前は右壁近くの流木を頼りに登った記憶があるが、今回はなくなっていた。

右岸をフリクションで登ったという記録もあったが登れそうには見えずに少し戻って左岸を巻いた。上は再び明るく開けたナメ床で、ナメ、小滝が延々と続く。前方に見えてきた10m滝に一瞬ひるんだがづくと右岸が2段になっていてみかけより簡単に越えられた。ほっ。

続いて現われたのは2条12m滝。深く大きな釜を持っていて両岸は切り立って巻けそうにない。右壁が階段状なのだが水量が多くて完全にシャワークライムになりそうだ。右壁にとりつくまでも大変そうと、ここで二人はすっかり及び腰になってしまう。

もう十分に楽しんだし、この上はもう大きな滝はないよ、ナメも終わりだよ、ゴーロっぽくてすぐに登山道だよと、いろいろ並べあげて遡行終了を誘導。ということで、少し戻った右岸の傾斜のゆるそうな斜面から登山道に上がることにしたところ、それほど苦労することもなく20分ほどで抜けられた。

そのまま大滝展望台まで下ってから休憩し、さらにひと下りで滑川温泉を経由して車に戻った。温泉は白濁の湯で、温泉場は小さいけれど時間が早いせいか他に誰もいなくてゆっくりと浸かって気持ちよかった。

福島駅に着いたところ最速の新幹線に飛び乗ることができ、7時前には帰宅という余裕。悪天の隙間をついて選んだ湯川と大滝沢、横向温泉と滑川温泉の旅は好天に恵まれ充実した2日間となった。

 

 

 

  

滑川橋7:35-大滝下9:00-ホラ貝沢出合11:00―12m2条滝12:00-登山道12:30-大滝展望台13:15/30-滑川温泉14:00