ブナの沢旅ブナの沢旅
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2008.06.14
石筵川
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2008年6月14-15日

 

郡山からレンタカーで銚子ヶ滝登山口の駐車場へ向かう。途中の道路情報で地震発生を知らせていたが、そのときはそんなに大きな地震とは思いもしなかった。登山地図にはもう少し先にも駐車できる場所があるように書かれていたが、そこへ入るにはもっと手前のふれあい牧場を抜けていかなければならなかったことを後で知った。

よく整備された遊歩道に導かれて石筵川に下る。地図で想像していたよりも谷が深いが、開けているので明るい。河原で沢装備をつけ一服してから歩き出す。日帰りできる沢を一泊で歩くので余裕たっぷりである。

しばらくは沢床が大きな石のゴーロで、歩きにくくふらついてばかり。ほんとに沢登りやったことあるのと、いわれそうだなと思いながら歩く。あたりは新緑で明るく、単調な遡行も気にならない。1時間半ほどすると行く手に水量豊富な大きな滝が見えてきた。あれが2段20mの大滝だな、いよいよだなと思う。

滝に近づきルートを目で追う。途中にシュリンゲがぶら下がっている。上部が少しかぶり気味なので、最初のテラスで残置支点でランニングビレーをとってからはザックを置いて空身で取り付く。壁は立っているが手足はあるので、それほど苦労せずに中段のテラスに抜けられた。

その上は階段状で簡単なのだが、問題はザックの引き上げだった。途中で岩に引っかかってしまい、ああだこうだと時間がかかってしまった。もっといいやり方がなかったのか宿題となった。上段の滝は階段状なのだが、途中滑りそうな水の中を通るので、念のためYさんにザイルを引いて登ってもらう。

滝をぬけると、そこは別世界だった。思わず歓声を上げる。川幅いっぱいのナメ天国が待ち受けていたのだ。これです。これが石筵川の石筵たるゆえんなのだ。けれどヒタヒタと歩くナメというより、もっとダイナミックだ。

白い波の流れに逆らって歩いていくと、波に酔ってしまいそうな錯覚を覚える。ナメは多少幅や形状を変えながらずっと続き、遡行のハイライトであった。そのあともナメとナメ小滝、時々ゴーロがつづく。7,8mほどの滝が3箇所あるが、すべて快適に越えられる。

二俣を過ぎたあたりに快適なテンバがあるようだけれど、1260m付近の左岸によさそうな草地があったので、ここにテントを張ることにした。枯れ木も十分に集まり、今年初めての焚き火もできた。夜の焚き火を見たくて早く暗くならないかなあと思っても日が長く、暗くなるころにはねこけてしまった。

 

 

 

翌朝は快晴で、展望が期待できそうだとワクワク。6時半に出発するとすぐに二俣へ。右へ進むとしだいに川幅も狭くなるが、水量は衰えず、小ぶりながらナメ、小滝が続く。奥の二俣は左の本流をいくと船明神山だが、距離の短い右へ入る。

ところどころボサがうるさくなり1480mあたりで沢形も消え、あたり一帯藪となる。登山道へショートカットしようと、覚悟を決めて東よりの密藪に突入。ところどころ展望があるところで方向を確認しながらコンパスを信じて、空中遊泳よろしく突き進んでいくと、ひょっこりと登山道に飛び出した。

この間40分くらいだったが、えらく長く感じた。ヤレヤレと、靴を履き替えザックをデポして安達太良山へハイキング。山頂付近はたくさんの登山者で賑わっていてビックリした。多くが中高年のツアー登山者のようだった。百名山と智恵子抄の威力なのか、すごいなぁ。証拠写真を一枚とって、すごすごと和尚山の登山道へ引き返す。こちらのコースは静かだ。

途中コシアブラを取ったり、タケノコを引っこ抜いたりしながらもどって和尚山へ向かう。ザックはずしりと重く、登りがつらかったが、遡ってきた石筵川の雄大な緑の谷筋を眼下に見渡し、はるかかなたには磐梯山や、吾妻連峰を望みながらの稜線漫歩は苦しさを補って余りあるすばらしさだった。

和尚山からの下山路は思ったよりも長く疲れたが、途中地元のおじさんにタケノコのとり方を教えてもらったり、おまけにいただいたりして昨日の入渓点にもどった。

 

6月14日 銚子ケ滝登山口9:45-入渓点10:45/11:10-2段滝13:00-1260mテンバ16:30

6月15日 テンバ6:30-二俣6:40-奥の二俣7:50/8:00-登山道9:30/50-安達太良山10:20/35-和尚山12:15-入渓点14:15-駐車場14:55