ブナの沢旅ブナの沢旅
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2007.10.04
湯ノ又沢右俣~赤湯又左俣~高松山
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2007年10月4-5日

 

ブナの森とナメ沢、そして野湯を楽しもうと、虎毛山塊の赤湯又沢に行ってきた。古川駅から一時間半のドライブで湯ノ又温泉へ。しばらくは眼下に湯ノ又沢を見下ろしながら林道を進み、橋を渡るところから入渓する。

早速きれいなナメ床となりワクワク。沢床は真っ白で、その上を楚々と水が滑っていてそれはそれは美しい。大行沢も叶堂沢も真っ青だねといいながらしばらく行くと、大岩のゴーロになってきたので、いったん登山道に上がり、再び沢に下りて右俣のガンジャ沢に入る。最初は平凡だが、次第にナメが現れる。

ここの沢床は黄色っぽく縦横に黒い線が入っていて、虎毛の有名な亀甲模様のようだ。次の二俣は、赤湯又の下降点に近い稜線に抜ける右俣を行った。テープが巻いてあったが、右俣を入ってすぐ左手にある登山道には気がつかなかった。

950mあたりまで一挙に100mほど急傾斜のナメを登っていくと次第に沢形がなくなり、前方が明るくなって尾根が見えてきた。コンパスで東方向を確認しながら登っていたつもりだったが、どうも稜線から東に派生する枝尾根に乗ってしまったようだった。

それでも東に進めば尾根に出ることは確かたっだので藪をかきわけながら多少のアルバイトで1100m付近のこぶに出るが登山道が見当たらない。おかしいなあと思いsugi さんがGPSで現在地を確認している間ザックを置いて偵察に行くと、すぐに尾根の東側の一段下がったところに草に埋もれそうな細い道を見つけてホッとした。

どうもしばらく登山道と平行して藪をこいでいたようだった。少し休んでから登山道を下る。すばらしいブナの原生林の縦走路だ。のんびり歩きたいところだが、温泉を目指して先を急ぐ。

すぐに1033m手前の鞍部につくと、左手に明瞭な踏み跡があり、ここだと確信。すぐに窪地があらわれ、簡単に赤湯又沢左俣に降りることができた。歩きやすいナメを下っていくと7mほどのナメ滝に。左岸の潅木にかかっていた残置ロープで懸垂下降。

その後も2箇所滑りやすそうな小滝を捨て縄で懸垂すると、その後は何もなく二俣に到着。急に渓相がダイナミックになり、数メートル規模の連瀑帯を通過する。ずっと穏やかなナメばかりだったので、こういう変化が楽しい。

30分ほどでいよいよお目当ての噴気地帯へ。最初のところは段丘の広場でよさそうなテン場だったが、沢から少し離れているのでもう少し進んでみると、もうこれ以上いいところはないと確信できるような場所を見つける。

河原から少し奥まったところで、すでに誰かが整地したらしい大小二つの岩風呂と一張ほどのスペース、焚き火と炊事場。このすばらしい空間を独り占めできるなんて、しあわせ~!

前方の対岸からも噴気が見えるのでのぞいてみるとボコボコと熱地獄のようで、掘るといくらでも温泉が出てきそうだ。焚き火と夕食の準備をしてからまずは湯につかってみる。岩の隅からちょろちょろ流れ落ちる水で、青白色の湯は熱さ加減も完璧だ。同姓同士のパーティならテントから裸で湯に入れるのになぁと、ちょっと残念。焚き火もできたし、寝る前にもう一度温泉に浸かり、幸せをかみしめて初日を無事終えた。

 

 

昨晩は気づかなかったが、銀マットが暖かい。床暖房だったのだ。至れり尽くせりである。温泉があまりにも快適なので出発前にもう一度湯につかって朝からまったりしてしまう。テンバはもみじの木に囲まれていて、その周りがブナの木々。

紅葉のときはどんなにかすばらしいだろうと思う。きっとまた来ようと心に誓う。今日も天気はよさそうなので、予定を変更して高松岳に登って見ることにした。当初は三滝沢を下る予定だったが、思えば今年になってからは沢に行ってもピークを踏んでいなかったので、久しぶりに頂上にのぼって展望を楽しもうということになった。

稜線へのルートは右俣を登ったほうが近いのだが、より快適で安心感のある左俣もどることにした。おかげで残置はしっかり回収。最後7mナメ滝は上部がいやらしかったが、sugiさんが頑張ってフリーで通過。私は途中からお助け紐を出してもらう。

稜線からは最近整備されたらしいガンジャ沢登山口までいってザックを置き、空身で高松岳を往復することに。1150mからはかなりの急登で、ザックを背負っていたらきっとくじけていたに違いない。それでも次第に展望が開け、虎毛山までの長い長い縦走路が見渡せる。紅葉には早いが、山頂付近は色づいておりとてもきれいだ。

山頂の湯ノ又沢コース分岐から300m北の避難小屋をのぞいてみた。こじんまりときれいな二階建ての小屋で、泊まって朝日や夕日が見られたらいいだろうなと思った。簡単な昼食をとって下山へ。急坂を滑るように下っていくとあっという間にザックのデポ地へ。

ガンジャ沢コースは新しい昭文社の登山地図には赤線の登山道になっていて、標識もしっかりしている。時々消え入りそうになる稜線の登山道よりも快適で、こちらもきれいなブナの森の道だ。写真を撮りながらのんびり下って1時間ほどでガンジャ沢二俣上の右沢に降り立った。

昨日右沢へ進んだときは気がつかなかった登山道を下りてきたわけだ。テープもあったのにきのうはどうして二人とも気づかなかったのか。このあたりがまだ経験不足というか未熟なところだ。

来るときはここまで登山道を歩いたので、再び沢を下ることにした。気持ちのいいナメが続いており、日の光を浴びて輝いている。なんだか得した気分だ。ゴーロになったところで右岸の林道に上がり、しばらしくてまたナメになったあたりで沢に下りてと、ナメ沢のいいとこどりをしながら、最後のハイライトである川幅一杯に広がる白ナメを堪能し、湯ノ又温泉の堰堤で遡行を終えた。帰りは湯ノ又温泉につかり、ナメと温泉三昧の沢旅をしめくくったのでした。

 

 

 

10月4日 湯ノ又温泉10:20-ガンジャ沢11:?-稜線13:20/30-赤湯又左俣下降-二俣16:00-幕営地16:30

10月5日 幕営地7:20-稜線10:30/45-ガンジャ沢登山口11:15-高松岳12:20/40-ガンジャ沢二俣横断点14:15-湯ノ又温泉15:45