ブナの沢旅ブナの沢旅
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2018.05.25
入叶津〜浅草岳〜沼ノ平
カテゴリー:ハイキング

2018年5月22日

 

昨年のちょうど同じ時期に浅草岳を訪れたところ、残雪と新緑のコントラストがとても美しく毎年の恒例山行にしたいと思った。今年は季節の進行が早いので昨年とどう違うのか、それも見てみたいと再訪した。今年は沼ノ平にも足を延ばしたいので、前夜のうちに入叶津の車止めまで進んでテントを張った。

当日は6時前に出発。15分ほど歩くと本来の登山口となる。昨年同様、今の時期はまだ登山口までは一般車は入れなくしている。昨年と2日違いだが、やはり様子が違う。昨年は登山口の沿道はカタクリロードだったが今年はすでに終わっていた。

山神杉峠手前は例年雪が残るようだ。順調に登山道を進む。昨年は平石山近く、谷筋から斜面をトラバースするところが雪で覆われていて道を失い、最後は藪をこいで登山道に合流した。今年も同じように雪が残っていたが昨年の教訓をふまえ、すんなりと進むことができた。

平石山に近づくと美しいブナの森が広がる。同時に尾根は残雪におおわれるが、ここからはどこを歩いても間違うことなく明瞭な尾根の登山道に導かれる。いつ来てもすばらしいブナ林の広尾根だ。やはり昨年よりは新緑が進んでいて昨年ほど若緑ではない。

ここからが前半のハイライトとばかり気持ち良く安らかな山歩きが続く。すだれ岩上の細尾根からは展望が開け、いまだ白い浅草岳の全容が見えてくる。中腹からは裾を引くすべての尾根が芽吹いたブナ林と残雪でおおわれ、緑のグラデーションとなっている。やっぱり浅草岳はいいなあと、早くもワクワク感が広がる。

 

ふたたび尾根が広がるとしだいに登山道は完全に雪で覆われるようになる。1350mを越えると広い尾根は無木立の雪原となり、まだスキーができそうな快適な斜面となる。このあたりは例年遅くまで雪が残るところのようだ。

雪尾根を抜けて雪のない登山道を登り山頂へ。またやってきましたという気分で四方の山々を見渡す。真っ先に眼下の田子倉湖の対岸の村杉半島の山並みを追い、さらにはるかに丸山岳を探す。そういえば丸山岳からまだ一ヶ月しかたっていない。しばらくは丸山岳ロスの状態が続いていたなあと早くも懐かしい。反対側に守門と烏帽子岳が黒い。去年の秋は八十里越で烏帽子の裏側を歩いた。ブナの沢旅にとって、浅草岳は南会津の山と同様心のふるさとといっても過言ではないと思う。

もうしばらくすれば浅草岳もハイカーで賑わうのだろうが、今の時期は昨年もそうだったけれど誰もいなくてとても静かだ。もっとゆっくりしたいところだが、次なる目的地の沼ノ平へと向かう。

 

 

沼ノ平分岐にはロープが張られており、只見町ではガイド山行を推奨している。沼ノ平は10年前の五月の連休明けに初めて行き、ブナの新緑と残雪、沼の青さに魅せられた。一方では、いまだ残雪が多くルート工作に苦労もした。最後は尾根に出るのに藪をこいだ思い出もある。今回は尾根から下る。

しばらくは明瞭な登山道だ。途中に沼ノ平を見下ろす展望地がある。猿崖下の濁り沼はまだほとんどが雪で覆われている。順調に下っていったが930mあたりで突然登山道が途切れそのまま下れなくなる。かなり歩かれているようなので道があるはずだ。なんとなく斜面をトラバースするように不明瞭な踏み跡があり、刈り払いの跡もある。

足場が悪いのでアイゼンを付けてトラバースを続けると小さな流れがでてきた。ここを下ると次第に斜面がゆるんで再び残雪があらわれる。安沢出合を目指して尾根方向に戻ると登山道があらわれた。少し下ると安沢出合が見えてきた。意外なほど雪が残っていてあたりは真っ白だ。そして沢の水量が多いことに驚く。このままでは小三本沢の渡渉は無理そうだ。対岸の取り付きも地形が変わっていてわからない。

しばらく呆然としてうろたえる。上流へ向かい、なんとか渡れそうな場所を探してまずは左岸へ。今度は安沢の渡渉点をさがし、なんとかスノーブリッジが残っているところを恐々と渡る。これで渡渉は終わった。

あとは適当に斜面に乗りあげればなんとかなるだろうと少し気がラクになる。GPSをフル稼働しながら進み、笹沼手前の小さな沼が見えた時は歓喜の声を上げる。予定時間をかなりオーバーしてしまったけれど、やっとたどりつくことができた。神秘的なオーラを感じながらブナの残雪を踏んでいくとすぐに笹沼があらわれた。真っ青な沼のほとりへ下ってみると水は澄んでいる。さらに回り込むと正面の山並みと沼の景観がまるで額縁の絵のように美しい。しばらく呆然とたたずむばかり。10年ぶりの再会を心から喜ぶ。

山神ノ杉に戻るにはふたたび小三本沢を渡渉しなければならない。沢沿いの崩壊は今でも酷い状態だ。おまけに上流同様水量が多くて渡渉が困難だ。渡渉点を探るが渡れそうなところが見つからずうろうろする。渡らないと帰れない。意を決してロープを出し登山靴のまま渡渉する。スネほどの深さで見た目ほどの激流ではなかったけれど緊張した。さらにもう一つの流れを飛び越えてスラブの斜面に取り付き登山道へ這い上がった。

これほど水量が多いことは予想していなかった。前回はラクに渡渉できたことだけが記憶に残っていたのがかえって仇になったのかもしれない。もともと増水に弱いのに、こんな時期にやってくる私たちが甘かったのかもしれない。けれど訪ねる人もまれな残雪と新緑の時期の美しい沼ノ平を訪れることができたことがうれしかった。

 

 

登山口5:50ー山神ノ杉6:45ー浅草岳10:50ー沼ノ平分岐12:40ー安沢出合13:40ー笹沼14:55ー山神ノ杉16:00ー登山口16:40