ブナの沢旅ブナの沢旅
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2016.02.12
蔵王熊野岳~名号峰~峩々温泉
カテゴリー:雪山

2016年2月12日

 

当初の計画があっけなく挫折したおかげで、今まで考えたこともなかった蔵王山を出発点とする稜線漫歩が実現した。もともとは八方平避難小屋泊で北蔵王縦走コースを南下、名号峰を経由して峩々温泉に下る予定だったが、サブプランでは蔵王山から北上して名号峰に向かい最後は同じ下山路とするというもの。核心部を欠く中抜き縦走で、弱小「ブナの沢旅」では前科があるやり方だ。

お手軽プランではあるけれど、名号峰からのルートは冬の記録がなかった。油断はできないので朝は早めに出発する。笹谷峠でタクシーを予約し、国道なみの雪道を下る。あっという間に下山して早めに来てくれたタクシーで蔵王ロープーウェイ駅へ。今回話をした地元の人達は口々に今年は雪が少ないという。山形に雪が積もったのは1月中旬以降のことで、山でも例年より1mは少ないとのこと。

ロープーウェイを乗り継いで一気に1700mの山頂駅へ。予想通り雲一つない快晴で期待が高まる。とても大きな施設で、ここは他のスキー場とちがいスキーヤーが多い。ハイカーの姿もちらほら。稜線はのっぺりとだだっ広いが、登山道にそってポールが立っているので視界がないときは心強いはず。

地蔵山から熊野岳へ向かうと人もまばらになる。樹氷の樹海を見渡しながら気持ちのいい山歩きだ。分岐ではみな避難小屋への迂回路に進むが、私たちは目の前の斜面を直登する。たいした登りでもなく山頂へ。神社や斎藤茂吉の碑などが建っているらしいが、すべて雪で覆われているのでどれがどれだか。。。

それにしても展望の素晴らしさは格別で、素直に感動する。朝日連峰が目の前に広がり、奥の祝瓶山もくっきりと凛々しい。吾妻と安達太良、飯豊連峰も広がる一大パノラマ。これだけ第一級の展望が手軽に得られる山は他にないのではないか。

熊野岳で引き返す人も多いようだが、私たちはここが出発点のようなもの。南側の斜面があまりにも魅力的なので、思いのままに下って少し遠回りをして避難小屋に向かうことにした。刈田岳にも足を伸ばしたかったが、先が長いのでやめた。稜線の登山道にもどると御釜が見えた。コバルトブルーの水をたたえた釜の写真は見たことがあるが、うっすらと氷が張ってモノトーンだった。

稜線にでて進む方向を見わたす。昨日直下まで進んだ雁戸山を遥か下に見下ろすほど高い所にいるのだが、なにしろロープーウェイで運んでもらったものだから実感がわかない。蔵王側からみると雁戸山と南雁戸山が双耳峰のように並び立っている。その奥には二口山塊の山々が波打つように連なっていて、蔵王連峰の大きくどっしりした山容とはちがう魅力を見せている。そして、どちらもいいけれど、やっぱり私はこっちの山の方が好きだなと思う。

茫漠とした雪面のどこを下ってもよさそうだが、できるだけ登山道近くに舵を取りながら下る。下るに連れて少し背の高い針葉樹林があらわれ、自然園あたりではだだっ広い雪原となる。視界がないとすぐに迷いそうな所だが、なんともいえないやさしい雰囲気に包まれる。

名号峰は峰という名がつくほど顕著な山容には見えない丸みを帯びた山頂だ。地図で漢字だけを見たときは山名をどう読むのかわからなかったが、地元の人にきいたら「みょうごうみね」または「みょうごうほう」とのこと。とてもすてきな響きの山だ。今回の腰砕け山行の到達点でもある。だから山頂標識が見えたときはとてもうれしかった。

その上、この山も展望が抜群で、月山がより近くなり、熊野岳ではわからなかった鳥海山や神室連峰もより近くに感じられた。そして北に張り出した尾根を追えば泊まる筈だった八方平と双耳峰の雁戸山。今年じゃないけれど、またきっと出直してくるからね。

さてここで気を抜いてはいけない。下山路も要注意なのだ。地図でみてもすっきりと明瞭な尾根ではない。漠然とした地形を地図とコンパスとGPSを頼りに進む。真っ白く聳える蔵王連山を背景に、安穏と緩やかにくねる台地状の尾根が続く。こういう雰囲気の山が好きだ。天気もよく時間もあるので読図に余念がない。

途中からは登ってきたと思われるシューのトレースがとぎれとぎれにあらわれる。確かにシューハイキングにうってつけの穏やかな森だ。名号峰からはいっさい標識を見なかったが、かなり下った所でようやく峩々温泉を示す古いプレートがあらわれた。

尾根が東から南に曲がってしばらく進んだ所で現在地を確認すると登山道とはかなりかけ離れていた。トレースもいつの間にか見えなくなる。マーキングされた冬道に沿って下ったようだが何の予備情報もないので先が不安になり、軌道修正して登山道の位置にもどることにした。1ヶ所岩場が出てきたり、急斜面がつづいたが、ドンドン下って行くと温泉の建物が見えてきた。最後は安心感も手伝って尻セードで飛ばし無事に山をおりた。 (sugi、ako)

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蔵王山頂駅9:00−熊野岳10:05−自然園12:30/13:30−名号峰13:50−峩々温泉17:00

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