ブナの沢旅ブナの沢旅
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2015.06.25
東鴉川
カテゴリー:

2015年6月25日

 

東北地方もそろそろ梅雨入りの気配。週末は悪天予報のため、天気のいいうちにもう一度安達太良の沢へ行くことにした。今月に入って3週連続の安達太良詣で。朝発で充実した日帰り遡行ができる貴重な山域なのだ。

すでに遡行済みの沢ばかりでは面白くないので、新規開拓の東鴉川を選んだ。あまり遡行されていない沢だが、かつて遡行したyukiさんによれば、大きな滝が二つあるだけだという。登山体系には「特に問題となるような滝もないやさしい沢」とある。そんなわけで、それほど大きな期待はなかったけれど、自分がどのように感じるか楽しみだった。
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東北本線の五百川駅で待ち合わせ、まずは下山予定地の野地温泉へ向かう。登山道入り口の脇に自転車をデポ後、旧国道の115号線を東鴉川橋まで戻る。橋の脇にある駐車場で沢支度をして出発。橋の脇からしばらく沢沿いの踏み跡をたどって入渓する。

安達太良の沢はどこもそうだが、最初は平凡なゴーロの川原歩きだ。15分ほどすると新しい国道115号線の橋が頭上にあらわれる。こちらの橋からも入渓できそうだ。

淡々と進んで行くと、予想よりも早く前方に大滝が見えてきた。気持ちがはやる。前衛の3m滝を越える所で先行したyukiさんが、岩壁の隙間を指差している。近づいてみると卵が入ったウズラの巣が岩壁にへばりついていた。予想外の光景に感激するやら感心するやら。なるほど、ここならば外敵に襲われる心配はなさそうだ。

大滝の下でザックをおろし、じっくり観察する。銚子ヶ滝は別として、これまで遡行した安達太良の沢では一番大きい。3段25mくらいだろうか。均整がとれた豪快な滝だ。中段まではルートが見えるが、上部はきびしそう。ここは最初から巻くつもりで来た。

高巻きルートを確認後、右岸から1段目を登る。ここから裸地の急斜面を登って小尾根の先端に取り付くが、途中のトラバースが嫌らしくお助け紐をだしてもらう。小尾根を登り、少し傾斜がゆるんだところでトラバース。適当なところで笹につかまりながらバックステップで急斜面を降りると、ちょうど滝頭だった。あまりの絶妙さに感心する。

核心が終わったとホッとする間もなく、すぐに2段15m滝となる。大振りの階段状滝だ。一番楽そうな右岸ルートに取り付く。下段は水流脇の岩を登るが、上段は水中に足場があり躊躇する。yukiさんに先頭を変わってもらい、大丈夫なことを確認してから続く。足をすくわれたらタダでは済まないと思い、気持ちがひけてしまった。

滝上は渓相が変わり穏やかなナメとなる。ようやく自分好みの沢になったと喜ぶと、あとは歩くだけだと言われる。しばらく緩やかなナメが続くが、岩盤に張り付いた苔は石筵川の緑鮮やかなみずみずしい苔とは種類が違うようだ。赤留川のナメと雰囲気が似ている。

ナメが途切れると小滝が続く。適度にシャワーを楽しみながらどんどん進む。所々ボサがかぶったかと思うと開けて小滝やナメがあらわれるという繰り返し。確かに登るというほどの滝は出てこないから歩くだけなのかもしれないが、予想以上に変化があって楽しめる。

前半は大小多くの滝をかけてぐいぐい標高を稼いだが、1300mを越えると傾斜が緩む。両岸が低くなり、空が広がって開放的な雰囲気のナメとなる。まるで源頭部の雰囲気だが、ふたたびボサがかぶる小川となり、小滝を越えて行く。

単調な川原歩きでも、タニウツギやイワカガミが随所にみられて気を紛らしてくれる。さらに標高をあげると意外にもミツバツツジが満開だ。花に気をとられながら進むと、沢は道行沢とでも呼びたくなるようなすっきりした一筋の道となり、前方の尾根越しに箕輪山が見える。とても印象的な光景だ。

もう何もないと思っていたら5m滝があらわれる。快適に越えると途端にヤブがうるさくなる。大岩を挟んだ二俣は水流のある右へ進むが、登山道から離れて行くので途中から左の枝沢にもどる。

淡々とボサをよけながら進むと左手の目線の高さに登山道があらわれる。ここから這い上がることも出来たが、少し進むと視界が開け、登山道が沢を横断する。ここで遡行を終了。正面には鉄山と箕輪山の稜線が広がる。鞍部直下にはかなりの雪渓が残っている。

沢装備をといて休憩していると、単独の女性が下ってきた。このような場所でハイカーに会うとは思わなかったが、しばし話し込む。石筵登山口から船明神山に登り、これから塩沢登山口に下山するのだという。同年代らしいが単独でバスを利用してこの地味なコースを歩くというのはかなり慣れている人なのだろう。自分もそれくらい気軽に一人でどこへでも歩きに出かけられるようになりたいと羨ましく思う。

ここからは箕輪山と鬼面山を経由して野地温泉に下る。稜線鞍部へ向かうが、沿道は足下にはアカモノ、目線にはサラサドウダンやウラジロヨウラクが多い。どれも可憐な小花が鈴なりに咲き、とても愛らしい。

途中で大きな雪渓を横断し、鞍部の笹平からは稜線の展望を楽しみながら箕輪山山頂へ。数年前に遡行した仏沢の源頭部は上部まで雪渓に覆われており、ヤブから解放されて快適な雪渓歩きだったことを思い出す。正面には鉄山の奥に先週登った船明神山が頭を出している。

鬼面山への長い下りの途中はガスとなり再び雪渓があらわれる。やはり今年は残雪が多いようだ。鬼面山を過ぎると今まで見なかったミネウスユキソウの群生が多くなり興味深い。さらに下ると今年初めてのハクサンフウロ。十字路の旧土湯峠を野地温泉方向に下る。

しだいに尾根が開けてブナ林となる。温泉の裏山にこんなにすてきなブナ林が広がっているなんて、理想的なフィナーレだ。登山口に降り立つとyukiさんが自転車で車の回収に出発するところだった。おまかせ気分で肩身が狭いが30分ほどで自転車をつんだ軽トラックが戻ってきた。

それほど期待していなかったせいか東鴉川は予想以上にいい沢だった。安達太良で真っ先に勧める沢ではないかもしれないが、二つの大滝以外にも、断続的にあらわれる小滝やナメなど、渓相は変化にとみ、展望のいい稜線に抜ける爽快感が得られるのも魅力だ。(yuki、ako)

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東鴉川橋9:15−25m滝10:10−高巻き終了10:55−最後の5m滝13:30−登山道13:45/14:10−箕輪山14:55−鬼面山16:05−野地温泉16:45

(1時間ごとに5−10分の休憩)

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