ブナの沢旅ブナの沢旅
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2014.06.25
康申川笹ミキ沢〜松木川仁田元沢
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2014年6月25-26日

 

例年なら6月は東北にブナの沢旅に出かけてきたが、今年は山行日の天候が思わしくないことや、先月の船形山で感じた通り例年よりも残雪が多いことなどから諦めることに。代替案として昨年秋に直前で悪天候のため変更した足尾山塊の笹ミキ沢から仁田元沢周遊の沢旅を復活させることにした。

私たちにとって足尾の沢は少し中途半端な位置づけのため、いつも候補にあげても最終的に他に決まるというパターンが多い。東北や会津ほどの遡及力はないけれど近場では得られない地味なりの渋さが感じられる山域だ。笹ミキ沢は3度目のエントリーでようやく実現させた。

前日の夕方車で銀山平へ向かう。栃木群馬の山間部は連日夜間に大雨が降って天候が不安定なため、今回は麓のかじか荘に素泊まりする。山荘に着くと職員さんが大きなザックの私たちの山行を案じ、天気が悪いから無理をしないようにとしきりに注意を促す。天気図ではそれほど崩れるとは思えないけれど、悪天候ならば泊まらずに下山する、下山したら知らせると約束して安心してもらう。

翌朝は同じ職員さんがすでにスタンバイしていた。早くからご苦労様と思った所、テレビで日本とコロンビア戦を中継しており、ちょうど前半戦終了間際に本田が同点ゴールを入れたところだった。それほどサッカーに興味のない私たちもちょっと色めき立ち、幸先がいい出発となった。(翌日温泉に入るため立ち寄ったところ大敗したことを知る)

少し歩くと広い駐車場があり、すでに何人かのハイカーが支度をしていた。すぐにあらわれるゲートを越えて林道を歩き小一時間で笹美木橋へ到着。

橋の袂から簡単に沢に降りる。最初は平凡なゴーロ沢で曇り空のため何となく陰鬱な印象だ。sugiさんは今回が沢始めだが、私も前回の日陰名栗沢が雪渓や倒木で沢歩きとなった為沢始めのようなもの。雨に備えて焚き火用のタープも準備するほどに焚き火を楽しみにして来たが、どうなることやら。

しばらくはウォーミングアップのつもりでゴーロ時々小滝をやり過ごす。大岩の6m滝にさしかかると、その先に2段25m滝の下段が見えて来た。水量は多めの印象を受ける。滝下に近づくと上段が見えるが知らないと見過ごしてしまいそうだ。

水量が多く迫力満点の滝をしばらく眺めたあと、少し戻った右岸の斜面に目をやると明瞭な踏み跡がみつかった。先ずは岩壁下のバンドに乗り上げてから滝頭方向にトラバース。大高巻だが悪い所はない。

滝上はしばらくナメと小滝となり、すぐに真っ白く水を落とす15m滝となる。ほとんど直瀑の滝で両側はツルツルのスラブだ。滝を見るや高巻きルートを探す癖がしみついている。左岸手前のガリーにとりつくが落ち葉で足下が不安定。張り出した尾根に乗り上げると落ち葉がなくなり踏み跡があらわれる。降り口には心もとないトラロープがかかっていた。釣り師はこんな所も竿をもって高巻くのかと妙に感心する。

沢に降り立ったときには緊張から解放されてホッとする。穏やかなナメを歩くと深い釜の6m滝へ。登ろうという意欲も技量もないので右側から巻くが、上へ追いやられてしまう。もう、滝は巻いてばかりだ。いい高巻きのトレーニングになるね、なんて強がりをいいながら、次第にあれこれの沢の感覚がよみがえる思いだ。

その後はようやく登れる滝が続き楽しい。登れるとだんだん積極的になれるもの。枝沢で現在地を確認しながら進むと1220mで2段45m滝を落とす枝沢と出合う。本流はナメの穏やかな流れが続く。

見応えのある7m滝は階段状で、これなら楽しく登れます〜という雰囲気だ。なのに水流を嫌ったため落ち口で手を貸してもらう羽目に。。。つづく8m滝は少し戻った右岸から高巻くが降り口がわからず、その上の8mトイ状滝も巻いて沢に降り立つ。

つづく5m滝を越えると両岸が開け渓相が穏やかになる。これから先は悪い所はなさそうだし、昼近くなったのでソーメンタイムを取る。午後からの天候の急変が気になって先に進んだ方が無難かとも思ったが、太陽の明るい日差しに後押しされ休んじゃおう、となる。

いつものように薬味をたっぷり入れた沢ソーメン。予想以上に手間取った遡行が一段落した安堵感も手伝い、ぽかぽか暖かい陽の光を浴びながら美味しく食べる至福のひととき。

休憩した地点からは笹ミキ沢で一番美しいナメとなる。ずっと続いてくれたらもっと嬉しいけれど、5m斜滝を快適に登って、しゅうりょう。ちょっとあっけない。1320mの二俣を左に進むと早くも源頭部の様相となり、水流が細くなる。両岸が開けた笹原となり雰囲気は悪くないが、単調な遡行が長く感じられた。

一旦水涸れした沢は再び水流があらわれる。1500mを越えると登山道のある右岸尾根があっという間にあがれそうに近づく。沢は次第に傾斜がまし、滝があらわれる。最初の4m滝は問題なく越えるが続く6m滝は下がハングしている。両岸が高く巻くのも大変そうなのでsugiさんの肩に乗ってなんとか下部をクリア。3つ目の5m滝は階段状で最後に滝登りを楽しませてくれる。

このころからガスが出始め雨がポツポツ。やっぱり来たか。予定では仁田元沢を下降して1400mあたりでテントを張るつもりだったが、尾根を乗り越す直前まで進んだところでさらに雨脚がひどくなる。ちょうど平たん地があったので急いでタープを張り、しばらく様子を見ることにした。

雨は降り続き、遠くでしきりに雷鳴が響く。しだいに心細くなるがここはじっと我慢。先が読めないのでここでテントを張ることにした。沢に水が流れていてよかった。小降りになったところでタープをしっかり張り直し夜間の雨に備える。

あれだけ降った雨もテントを張り終えた頃にはやんで青空が広がった。やはり天気予報ではなく天気図を信じてよかったと言い合う。最後は雨に降られたが、遡行中は天気もよく変化のある沢で面白かったと総括して一日を終えた。

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翌朝は予報に反して早くから快晴となる。天気がよくても康申山へ登る気はさらさらなく、仁田元沢を下降する為に塔ノ峰に続く尾根の1720m鞍部へ向かう。すでに鞍部直下まで進んでいたので、軽い笹薮を登ってすぐに尾根へ乗り上げる。とても広々と開放的な鞍部で素晴らしい所だ。さわやかな青い空の下でこの景色を見ることができてよかった。前日無理して進まなくてよかった。

鞍部の反対側も緩やかな笹原の樹林帯が広がっている。仁田元沢の源頭部も予想以上の穏やかなたたずまい。すぐに水が出てきた。上流部は平凡なゴーロ沢だけれど、両岸の笹原や樹林の雰囲気がとてもいい。どこでも自由に歩けるので沢に入らなくても下れる場所が多い。

陽の光で沢はキラキラ煌めいている。何もないけれど、こういう沢の雰囲気って好きだなあ。1420m二俣は中州がある広い出合いで、右岸には当初予定していた平坦なテンバ適地がある。とても気持ちがいい所なので長めの休憩をとる。

この先も道のりは長い。少しだれ気味になったころ傾斜がでて大岩滝が続く。難しいことはないが、大岩下りは時間がかかる。枝沢を合わせるたびに沢はダイナミックになり、白い大岩と豊富な水量で美しさをます。

1200mから下流は左岸の枝沢がどれもきれいな滝を落として出合う。トヨ状のナメが続き左岸枝沢出合いの10mのスダレ滝へ。ずっと、何もないけれど雰囲気がいいなあという気持ちで下って来たので、どんどん素晴らしくなって行く仁田元沢にほれぼれする。いよいよ核心部の入口だ。

左岸の側壁が高く頭上に迫り、大岩の間から豪快に水流がほとばしる。けれど威圧感はなく通過も右岸を簡単に巻き降りる。さらに進むと左岸の岸壁からシャワーが降り注ぐ。なんてエキサイティングな光景なんだろう。珍しい光景を眺めながらの沢ハイキング!

すると巨大堰堤が眼下に見えて来た。ようやくクライマックスの終了だ。それにしてもすごい堰堤を作ったものだ。最初の堰堤をスリットから通過したところ、もう一つの堰堤からの降り口が見つからない。きっと2つを一緒に巻くのだろうと戻って左岸の斜面に取り付くと踏み跡があった。

さて、これで遡行が終わったのではない。もう一つ山越えをしないと戻れないのだ。いったん林道にあがって920mで出合う枝沢を登る。標高差200mほどの小さな沢だが、たるむことなくナメ小滝が続く。荒れた様子もなく快適だ。グリコのおまけみたいな沢で、最後にもう一粒楽しい沢登りができたと喜ぶ。上部は分岐が多くしっかり読図をしないと間違いやすい。

最後の二俣からは中間の尾根にあがるとすぐに広い鞍部にでた。塔ノ峰に続くこの尾根に登山道はないが、足尾の山はどこもヤブが薄く愛好家に歩かれているようだ。

鞍部を乗り越して丸石沢を下る。最初は急なナメを下るがフリクションが効く。最初の滝はクライムダウンしたがつづいてあらわれた滝は懸垂で下った。950m二俣からは左岸が植林帯となり、明瞭な作業道をたどって林道に降り立った。

いずれも小さな地味な沢だが、2回の山越えで4本の沢をつなぐことができた。それぞれ性格の違う沢だったので変化があり、予想以上の充実感を得ることができた。ささやかでもいい。これからも、こんな沢旅をもっと続けたいと心から思う。

かじか荘に立寄り、心配してくれた職員さんに予定通りのコースを回って来たことを報告後、温泉につかって帰京した。

(ako、sugi)

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かじか荘6:00−笹美木橋(入渓)6:45−1650m幕営地14:30/6:15−1720m鞍部6:35−仁多元沢下降−堰堤下林道−920m枝沢12:00ー1130m鞍部13:15ー丸石沢下降−丸石橋14:20−かじか荘14:35

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