ブナの沢旅ブナの沢旅
▲トップページへ
2014.02.02
稲包山(西稲包山手前まで)
カテゴリー:雪山

2014年2月2日

 

パートナーがいないときはいつでも声をかけてね、といううれしい言葉をかけてくれた山トモとの山行。でも行き先を試案する。菰釣山あたりはどうかなどと、めいっぱい気をつかってくれたのだけれど、あいにく丹沢の山は雨予報。雪ならまだしも雨は避けたい。

といって遠出の計画を持ち出すのも気が引ける。なんていう気持ちを察知したかのように武尊山麓の奈女沢鉱泉から高檜山という渋いコースの提案がきた。武尊はプチマイブームなので喜んだのだが、藪山は雪が中途半端だと厄介で、雪の少ない今の時期より3月くらいの方が良さそうと、消極的な話をもちだすと、じゃあ稲包山なんかもいいよと、だめ押しメール。内心ヤッホーと飛びついて決まったのだった。

初めての山域はそれだけで興味がわく。どのみち悪天予報なので山頂をめざすというより雪と戯れるシューハイキングができれば満足という気持ちだった。なにしろ週に一度は山に行かないと精神衛生上よろしくないこのごろ。

一方のkukenさんは、稲包山北面の岩マークがあるコベックラ沢左岸/右岸尾根をねらっていたらしく、その偵察山行という心づもりのようだった。いつもの好奇心で調べた所、一つだけわらじの記録がヒットした。偶然なのか、kukenさんがかつて所属していた会だ。そういえば以前、わらじにいたなんてすごいねーと言うと、わらじっていうくらいだから山岳会より楽だと思って入会したというので笑ってしまったことがあった。

と、長い前置きになってしまったが、気張って山頂を目指すほどではないので当日の朝、上毛高原駅でピックアップしてもらう。三国スキー場をめざすが、三国トンネルを抜けるまでは驚くほど雪が少ない。そういえば先週も武尊牧場から乗ったタクシーの運転手さんがこんなに雪が少ないのは何十年ぶりだと言っていた。

けれどさすがにトンネルを抜けるとそこは雪国だった。ホッ。巨大な苗場プリンスに呆れるやら感心するやらで353号線を三国スキー場方向に進むと、プリンスホテルの産廃処理場があり、そこで除雪が終わっていた。駐車できないので少しもどった雪壁で囲われた駐車スペースへ移動。観光地での駐車は要注意なので声をかけた方がいいらしいが、誰もおらずスペースもたっぷりあるので、いいことにしてしまう。(これが後に禍根を残すことに。。。)

駐車地点からシューをはいて歩き始める。除雪終了点から林道にはいると前日らしい単独のトレースがついていてkukenさんはガッカリしている。意地でもトレースは歩かないぞという気配をただよわせて新雪を踏んでいく。とりたてて言うこともない林道歩きだが、ほとんど情報を仕入れていない山域にやって来ただけでワクワク感がある。

どんよりとした曇り空だったが、ふと空を見上げると青空がでているではないか。おもわずウッソーとうれしい叫び。kukenさんは地図でコベックラ沢の尾根をしきりに確認しながら取り付き点をさぐったり、岩峰を観察したり余念がない。記録ではあっさりと抜けているようだったので、そんなに思い入れるほどの尾根じゃないんじゃないのーと、茶々を入れながら賑やかに進む。

三国スキー場に近づくと、まるで先週の武尊田代のような雪原が広がり、太陽もでて気持ちがいい。たんに、だだっぴろい駐車場なのだけれど、ね。とっくの昔に閉鎖されたスキー場だが、登り返しの体力があって静かに楽しみたい人にはお勧めかもしれない。古いスキーのトレースもある。

先行トレースの主はなぜかここで引き返している。何しに来たのだろうと首をかしげながらも、kukenさんはこれでまっさらな雪面を歩けると喜んでいる。

ようやく沢の徒渉点に到着し、雪堤を崩して対岸の斜面にとりつく。ここからは山らしくなり、尾根を登って行くと雪庇が張り出した急斜面の細い尾根となる。最初は快適だが一ヶ所雪壁がハングして越えられない。トラバースして反対側の岩まじりの急斜面に取り付くとトラロープがかかっていた。少しのアルバイトで尾根に戻ると緩やかで広いブナの尾根となり、ブナの沢旅的好感度がアップ。左手の樹林越しには平標から仙ノ倉の真っ白な稜線が凛々しくみえる。振り返ると白砂山につづく国境稜線がこれまた白く聳えている。

更に進むと三坂峠から西稲包山に続く稜線もみえてきた。こうなると雪山モードにスイッチが入るが、あれっ、もう1時とkukenさん。そろそろ戻る時間というニュアンスがただよっている。すかさず2時くらいがタイムリミットだからあと1時間は進めると先制攻撃。イケイケだからなあ、なんて言われてしまう。ブナの沢旅でも言われているけれど、ちゃんと考えて行動しているし、これまでヘッデン下山してないしと、きちんと自己主張しておく。

三坂峠への緩やかな登りはとても雰囲気のいいブナ林で、泊まりたくなる所だ。峠に下る所がこれまた、穏やかでいい感じ。峠を越えると尾根の雪庇に早くも亀裂がみられた。このところ暖かい陽気が続いているせいだろうか。

ようやく稲包山の頭がみえて来たが、遠いなあ〜。せめて目の前の小ピークまで行きたい。予定では、そこから派生する尾根から下ることにしていたからだ。時間的には行けそうだと進んで行くと、適当な所で斜面を下って予定の尾根に乗ろうという声。ええっ行かないのと思ったが、それほど違いはないのでルート取りをまかせてついて行く。

少し下るとブナ疎林の、いかにもスキーヤーが喜びそうなすてきな斜面となる。午後の太陽が樹林の淡い影を雪面に映してとてもきれい。正面の山並みを眺めながら気持ち良くシューで滑り降りる。思わずkukenさんに大声で、これだから雪山はやめられない、こんな風に好きなようにコースがとれる自由は雪山の醍醐味だなど、ちょっと褒め過ぎか。

途中、雪で埋まった沢に近づいた所で、対岸の本来下るはずだった尾根に登り返そうとすると、今度は私が、地図を見ても悪そうにみえないからこのまま下ってしまおうと言いはる。しばらくの間は問題なかったが、そのうちに下れない地形となる。傾斜の緩そうな斜面を右に左にとトラバースしながら最後は尾根に登り返し、なんとか本流に降り立った。さすがに的確なルート取りだと感心する。雪壁を崩して対岸に渡り、林道のトレースに戻った所で一休み。短かい周回ルートながら楽しいアドベンチャーができた。

ふたたび長い林道を歩いてヤレヤレと駐車スペースに戻ると、あれまあ。車が一台だけポツンと取り残され、出入り口が除雪車でふさがれていた。時間がおそかったせいか辺りに人の気配がない。仕方ないと達観したkukenさんは、私に休んでいるようにと言い残し、スコップで雪壁を崩し始めた。

ピッケルを持って応援に駆けつけるがピッケルは無力だった。手足で雪をよけていると、おじさんがぶつぶつ言いながらやってきた。私たちの挙動を見ていたらしい。無断駐車にクレームされたので、こちらはひたすら平謝り。kukenさんがほんわかと対応すると気が済んだのか、おじさんは除雪車を運転して出入り口をあけてくれ、一件落着とあいなった。朝駐車するときにこんなトラブルがあり得ると話をしていた矢先のことで、声かけを怠った私たちが悪かった。

上毛高原駅から電車で帰京するはずだったが、いつも一人渋滞にあうことなくさっさと帰ることに申し訳ない気持ちがあった。早く帰る必要もないので、たまには渋滞に付き合って、どこかで食事でもしようかと伝える。喜んでくれたが、駅への道をわける所でファイナルアンサーはどちらかと聞く。ファイナルアンサーはこっちといって車は関越道に向かい、いきなり渋滞に巻き込まれた。

行動時間7時間のうち林道歩きが5時間だったり、除雪車で車がブロックされたり、いきなりの渋滞にあったりと、なにもかもが一味違うシューハイキングだったけれど、旅は道連れ世は情け、全部ひっくるめて愉快だった。

駐車地点9:15−林道−三坂峠尾根取付12:20−三坂峠13:20ー林道14:20−駐車地点16:35