ブナの沢旅ブナの沢旅
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2014.01.07
谷川岳
カテゴリー:雪山

2014年1月7日

 

新年の山始め、などと気合いを入れるつもりなどないが、どこかで線をひいて気持ちを新たにしたいという祈りにもにた気持ちがあった。そのためにも最初の山は青空が広がる山にこだわった。できれば雪山がいい。そんな願いが通じたのか、7日は本州がすっぽり高気圧に覆われる好天予報。電車とバスで手軽にいける谷川岳へ向った。

水上駅でchieさんと待ち合わせたが、高崎から乗り換えた上越線で合流。久しぶりだったので、近況を語り合いながら水上へ。ここからバスでロープウェイ駅へ行くが、chieさんは谷川は土合駅から行くものだと、バスのことは知らなかった。そう、山岳会の人はバスでロープウェイ駅になんかいかないよねーとフォローしたが、あとでバスの方が早いし便利だと感心していた。

車窓からは雲一つない快晴の山々が真っ白に聳えたって見える。二人で早くも興奮気味だ。ロープウェイ駅の係員に聞くと登山者は私たちを含めて10人ほどとのこと。その他にボーダラーも多くいるようだ。これほどの好天だもの、人がいないわけがない。

天神平駅で支度をすませてシューをはく。スキー場は圧雪されているし、先行者も多いのでトレースは明瞭だ。chieさんはしばらくツボ足で行くという。スキー場の急斜面を登って尾根に上がるとさっそく双耳峰の山が真っ白な姿をあらわす。今回はオキの耳まで行けそうだ。

所々赤旗がたつ尾根沿いの冬道を緩やかに登っていく。4年前の12月下旬に来たときはまだ積雪が少なく、避難小屋までは夏道をたどっていった。尾根を進むと一箇所だけ、岩峰を乗り越して下る所がいやらしい。シューのまま下ったが、途中冷や汗をかくことになってしまった。Chieさんにはアイゼンをつけた方がいいと伝えたが、シューで降りてきた。

降り立ってヤレヤレとホッとしながら小高い樹林の平地へ進むと標識棒が見えた。熊穴沢避難小屋は埋もれていたが、入口が掘り出されていた。つぎに大雪になれば完全に埋もれてしまいそうだ。

右手には端正な山容の笠ヶ岳があらわれ、朝日岳からその奥の山並みが見渡せる。左手はべっとりと雪がついた幕岩とマナイタグラ山稜線の鋭鋒が近い。残雪期とはいえ、あの山陵を歩いたのだなあと感慨深い。振り返るともう一つの笠ヶ岳から至仏山、さらに奥利根の山並もくっきり。

なにしろこれ以上望めないほどの快晴だ。驚いたのは富士山が見えたこと。吾妻耶山から上州妙義のギザギザ峰、さらに秩父や奥多摩の山並が青のグラデーションとなって波打っている。360度どこをみても展望の素晴らしさにため息をつきながら山頂をめざす。下山してきた登山者とすれ違うが、互いに笑みがこぼれ好天の幸せを口にしあう。

肩の小屋前の急斜面は雪が柔らかくツボやアイゼンでは苦労しそうだった。最後はまさに紺碧の空に向かって進む。トマの耳に着くと今まで見えなかった巻機山に続く国境稜線が目に入る。あのコースをいつか歩きたいと思って何年も経つ。Chieさんに話をもちかけたところ、ひと言、たいへんよ~。わかっているけれど、でもトライしてみたい。強風とガスの前回はここが到達点だった。さあ、つぎはオキの耳へ。

先へ進んだのは私たち以外は単独の3人だけだった。稜線は雪がクラストしているのでかえって歩きやすい。左手に万太郎谷を見下ろしながら雪山ハイキング気分ですすむ。20分ほどでオキの耳、谷川岳本峰へ。山頂の東側には大きく雪庇が張り出している。その先の景色をみたいが、雪庇が怖くて近づけない。フムフム、この下が一ノ倉岳に続くあの大岩壁になるのか・・。今の時期なら、天候さえ安定していればスノーシューでここまで苦労することなく登ってくることができる。谷川岳ってほんとに近くていい山だと思う。

一ノ倉岳から茂倉岳に続く稜線も穏やかにうねっている。思えばこのあたりはまったく歩いていない。Chieさんに、じゃあまずは馬蹄形縦走しようと水を向けてみたりと、しつこかったかな。肩の小屋に下って休憩する。午後は西面のベンチに陽が射してポカポカ温かい。

小屋は開放されており、中から若者が出てきた。聞けば西黒尾根をラッセルして一人で登って来たとのこと。その体力にビックリしたが、見れば群馬県警のヤッケを着ている。山岳警備隊の人だった。プライベートの山なのに、私たちが休んで食事をしている間ずっと、入口の雪かきをしていた。

そのフレンドリーで頼もしい若者は、その後一足先に下った私たちをあっという間に追い越して下って行ったのだった。下りもシューのままでよかったが、嫌らしい箇所の通過もあるのでアイゼンに変えた。予報とちがって最後まで雲一つない快晴が続き、下りも行きと同じくらいクリアな展望を楽しんだ。

振り返ると西黒沢の源頭部には3人のボーダラーと2人のスキーヤーのシュプールが描かれていた。こんな日は最高の気分だっただろうなあ。と、私たちハイカーだって同じ気分。

これからは天気の谷川岳を新年山行の定番にしようかなどと調子にのった気分で天神平に戻った。

天神平9:30-熊穴沢避難小屋10:45-トマの耳12:23-オキの耳12:45-肩の小屋-天神平15:05