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2013.12.27
縞枯山~茶臼山~雨池
カテゴリー:雪山

2013年12月27日

 

東北か会津方面の山にテント泊山行をして一年を締めたかった。ところが12月は個人的な行事が多くて日程調整が難しい上に関東以北は大雪の悪天続き。日程と行き先を相談しているうちにどんどん計画はしぼんでいった。今年はどうもこのパターンが多い。

これが最後の可能性と決めた日程も直前に荒れ模様となり、年内は諦めて来月の早い時期に時間を取ろうなどという声がでた。けれどそれには納得がいかない。とにかく行こうと強行することにした。

そういえば2011年の12月も悪天の北八を歩いた。天気の悪いときの北八頼みなのだ。時間が限られているのでピラタス・ロープーウェイを使った周遊コースとなった。幸い多くのコースが整備されているので具体的なルートは現地判断とした。

ロープーウェイには2週間前に乗ったばかり。友人と一緒の観光だった。当初は山装備でロープーウェイ駅からみんなと別れて北横岳に登りたいと思ったが、山頂は風速30mの暴風警報が出たため観光だけにとどめた。けれどロープーウェイ駅で雪山装備の登山者を見るにつけ心がざわつき、街の格好をしている自分が惨めに思えてしまった。

でも今回は違う。ガスで視界はないけれど、2週間前よりもはるかに雪深い。今シーズン初めてのスノーシューを履いて歩き出す。どんな状況でも、やっぱり山が自分の心の居場所だと感じる。歩き始めてすぐに縞枯山荘へ。ここですれ違った登山者によると、縞枯山荘は閉鎖になるのだという。

雨池峠で地図を広げ、ルートを相談する。視界はなく小雪模様だけれど樹林を歩くのには問題ない。せっかくだからと、麦草峠経由で雨池を回るちょっとロングな周遊コースを歩くことに決めた。まずは縞枯山へ向かうと、どっかりと雪で覆われたコメツガの樹林が美しい。山頂の標識を確認し、茶臼山へと緩やかに下る。フカフカ雪の斜面をシューで下る楽しさがよみがえる。これからあちこちで大いに楽しもう。山頂では眼下に広がる樹海がうっすらと見える。

茶臼山からトレースが消えるが、ずっとトレースがあってもつまらない。やっと手つかずの森になったとよろこびながら、樹氷で美しく覆われたシラビソ林を緩やかに軽やかに下る。視界がひらける中小場をへて大石峠へ、さらに麦草峠へと進む。頻繁に立派な標識があらわれるので迷いようがない。麦草峠手前の分岐に入り、ひたすら樹林帯を北へ進むと林道にぶつかる。この頃から空が少し明るくなり、まさかの青空が見え始める。すかさずYさんに少し自慢げに、やっぱり来てよかったでしょと、一言。

林道を交差してからは登山道が木道になっているらしく、最初は知らずにやたらと踏み抜き苦労する。だからといって木道をはずすとラッセルがひどい。ストックで確認しながら慎重に細い木道をたどっていくと前方が明るくなった。着いた、雨池だーと叫ぶ。Yさんは昔スキーで横断したことがあるという。まさか、氷が割れてドボンなんてないよね、などといいながら真っ白な雪原に恐る恐る足を踏み出してみる。たいした目標ではないけれど、ショートカットせずに時間をかけてやって来た雨池に小さな達成感を味わう。ほんの短い間だけれど青空も広がった。

新しい標識は日本語の他に英語とハングルの三本立て。珍しがっているとYさんが、ハングル読めるんでしょ、何て書いてあるのと聞く。あらためて読んでみると「あめいけ」ではなく「うじ」とある。漢字を訓読みした発音だ。固有名詞なのだから変だ、これじゃあ道迷いした韓国人に「うじ」はどこかと聞かれてもわからない。他の地名も確認してみると、たとえば麦草は「ばくそう」などなど・・・標識談義で盛り上がる。

風が強いので樹林に入って休憩する。最初は気温もマイナス4-5度程度と歩くのにちょうどよかったが、この頃にはマイナス10度近くなっていた。昼食の休憩をしている間に冷え込んでしまい長居をせずに出発。

急斜面を登って大石川林道に乗り上げ雨池峠に戻ると朝のトレースに合流する。ふう~、一巡りしてきたよ-と、誰にいうでもなく報告。3分の2はトレースのない予想以上に長いコースだったので、ホッとした気持ちが口にでたのだ。往路と違って視界がある。こういう所を歩いて来たのかと何度も振り返りながら山頂駅に戻った。

 

 

ピラタスロープーウェイ駅9:10-縞枯山10:20-茶臼山11:00-大石峠旧跡11:40-雨池13:30-雨池峠15:00-ロープ-ウェイ駅15:25