ブナの沢旅ブナの沢旅
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2012.10.14
ジョウゴ沢本谷
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2012年10月14日

 

ジョウゴ沢は硫黄岳を源流として、北沢、柳川、宮川と名を変えながら諏訪湖に注ぎ、さらに天竜川となって太平洋に到達する。八ヶ岳西面の沢は、この柳川より北は諏訪湖へ、御小屋尾根を越えた一本南側の広河原沢立場川より南は釜無川を経て富士川となる。ちなみに、八ヶ岳東面の沢はすべて千曲川、信濃川となり日本海へ。源流ばかりを歩いて、流れ着く先は余り考えることがなかったが、小尾根一つでまるで違うところに流れ着くのは興味深い。

天気の良い日が続き、滅多にない一人沢をやろうと思った。akoさんがかねてよりの一人沢泊りを決行するとの情報もあり、小規模ではあるが連帯しようとも。なにしろ八ヶ岳の沢は情報が少ない。もっぱら厳冬期のアイスの情報ばかり。

そんな中で、ジョウゴ沢を選んだのは、下流の柳川北沢の下部、美濃戸から15m大滝までは小滝が続きなかなか楽しいところでこれまで3回遡行しており、大滝から上は赤岳鉱泉まで登山道と並行してほとんど滝もない平凡な沢だが、暑い季節には登山道を歩くより気持ちがいいので1回遡行したことがある。今回、その上のジョウゴ沢を遡行すれば、美濃戸から硫黄岳まで通したことになるからだ。

検索すると、アイスの記録が何百もあるが、その中にわずかに2件、夏の記録が見つかった。どちらも特に難しそうなことは書かれてなく、滝ありナメありゴルジュありで藪もなく硫黄岳稜線に出られそう。行ってみよう!となった。

しかし、意外に苦労した。予定の時間を大幅に超え、午後の予定に間に合わなかった。

4時半起床、朝食を取り、握り飯を作り、テルモスに熱いコーヒーを淹れ、5時15分に出発。美濃戸で満車に近い駐車場に車を止めて歩き始めたのが6時。なんとも近い!

美濃戸から赤岳鉱泉までは北沢沿いの登山道を歩く。針葉樹の多い八ヶ岳だが、それでも紅葉が美しい。1時間半で、広場にテントが立ち並ぶ赤岳鉱泉に着いた。いいペースだ。ここで沢装備をして硫黄岳への登山道を登る。

すぐにロープで遮られた大同心への入口があり、見上げると大同心・小同心の険しい岩場が聳えている。そこからさらに数分で登山道は沢を横切り、右岸に再びロープで遮られたジョウゴ沢入口がある。「危険 この先はジョウゴ沢(冬期限定)です 硫黄岳方面への登山者は引き返してください 立ち入り禁止を強制するものではありません」という記載がある。冬期限定?立ち入り禁止ではない?

すでに2250m、硫黄岳までは標高差500mだ。ロープをくぐって沢に下りると、右岸に細い踏み跡が続いており、しばらくはそれを利用して歩くが、すぐに沢に合流してしまう。10分もしないで5mほどの滝が現れる。登れないので右岸を小さく巻く。さらに10mほどの滝が続く。直登できそうでもあり、近づくとハーケンが残されており、その上にはシュリンゲが下がっている。しかし、試みたが最初の一歩が登れない。二人なら肩車をしたりすれば可能なのにと悔しい思いをする。さらに右岸、左岸とあれこれ滝の近くを探って時間を取られたが、少し手前のルンゼを使って巻いた。ここで30分近く費やした。さらに滝が続く。次も右岸を巻く。この沢は登れる滝が少ない。アイス向きなのだ。

しばらくゴーロが続いた後、2420mあたりでゴルジュとなる。これがまた手ごわかった。水流は冷たいが、水際は凍っていてツルツルに滑る。水流と乾いた岩を使ってよじ登る。手が凍るようだった。ゴーロの途中で右俣を分ける。右俣の夏の記録は見当たらなかったが、今回の本谷よりずっと難しいようだ。ゴーロを抜けてほっとして振り返ると、阿弥陀岳が雄大な姿で見えている。行く手には硫黄岳の稜線も見えてきた。

しばらくゆったりとした流れに安らぐが、すぐに前と左右を高い壁で遮られる。前方の壁からは水流が落ちているが、一部はつららになっている。ここでも前方は階段状になっており、目でたどっていくと登れそうな気がするが、実際は最下段の壁が登れない。

登山大系では左の尾根に上がるか右からか、どちらでも可能と書かれているが、時間のこともあり左から登り硫黄岳からの下りの登山道に出てショートカットしようと考え、左の壁に取りついた。ところが途中で行き詰まる。ここではないのかなあ、もう一つ左からかなあなどと自問自答しながら、左側に回り込み登りかけたが、やはり行き詰ってしまった。

見上げると稜線には多数の人の姿が見える。声も聞こえてくる。うろうろしているのを見られているようで焦りが出てきて、撤退か、それも懸垂したり大変だ、20mロープでは足らないのではなどと、元の壁のところに戻り右手を見ると、なんだ行けそうではないか。

そこからはザレた急斜面をわきのハイマツにつかまりながらよじ登り、40分ほどでロープの張られた登山道に出た。地図上に崖のマークがついているすぐ右側、2670mあたりだ。

フーっ、日曜日とあって、登山道は賑わっている。硫黄岳山頂からは赤岳、阿弥陀が間近に見え圧倒される。そして遡ってきたジョウゴ沢の谷と、あんな急斜面を登ったのかという最後のザレ場もよく見えた。(sugi)

*

美濃戸6:00―赤岳鉱泉7:30―ジョウゴ沢入渓8:00ー硫黄岳石室北の稜線11:45―硫黄岳山頂12:00―赤岳鉱泉13:00―美濃戸14:30