ブナの沢旅ブナの沢旅
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2012.09.12
正沢川幸ノ沢
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2012年9月12日

 

去年の8月に河原木場沢と抱き合わせの日帰り二本で幸ノ川を計画したのだが、諏訪湖あたりまで車を走らせたところで天気予報が激変。大雨予報となったため、地元お勧めの鰻屋で食事をしながらつぎの予報を待ち、やむなく中止してすごすごと帰京した。今回はsugiさんが八ツか中央アルプス周辺の日帰りなら時間がとれるというので、昨年に積み残した幸ノ川に行くことにした。

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前夜茅野駅で待ち合わせ、木曽駒高原スキー場へ向かう。1時間半ほどでスキー場の駐車場に到着。東京からは遠いが、なるほどsugi さんの家からは丹沢に行く程度の距離感だ。すでに閉鎖されたスキー場の、閑散とした駐車場から見上げるさえぎるもののない満点の星空に気をよくして就寝。

朝5時ころに車がやってきた。品川ナンバーだったのできっと沢だろうと思い聞くと、となりの細尾沢とのこと。彼らの出発を見送り、我々も支度をして予定通り6時に出発。

林道車止めまで入った記録があったので、車を先に進めたが、登山道分岐の道標から先は車高のある頑丈な車でないと厳しい。無理することもないので、少し戻った空き地に車を止めて歩き始める。しばらくは福島Bコースの登山道となっている林道を進む。標高差200mほどを、汗をかきながら登って行くと赤ペンキ印のある幸ノ川の渡渉点へ。ここから入渓する。

すぐにあらわれる巨大堰堤を右から越え、振返ると山並の下に雲海が見える。入渓点で雲海を見下ろすなんてはじめてで興味深い。最初は荒れた感じのゴーロだが、すぐに写真で見覚えのあるcs5m滝が見えて来た。岩は黒光りしている。右壁をトラバース気味に越えていくが、朝一番で体が慣れていないこともあり、滑りそうで緊張する。

つぎの3m滝は取り付く釜が深そうなのであっさりと右岸を巻くとさらに小滝がつづきトイ状滝へ。見た目ほど難しくなく楽しく突っ張りで越える。なんだか調子が出て来たみたい。

右岸に見栄えのする滝を落とす枝沢を見送ると、最初の連瀑帯となる。10m規模のナメ滝が幾重にも連なって見え、思わずわっーと声がでる。さてと、1段目の5m滝のとりつきが厄介そうだ。ルートを確認して左壁かなあ。ちょっと厳しそうだけど、頑張ろう。

これはロープ出した方がいいなと、途中でsugiさんにロープを投げ上げてもらう。あーあ、また中途半端なことをやってしまった。最初からしっかりルートを見極めて判断できるようにならなくちゃ。少しチャレンジだったがなんとかクリアし、下に向ってVサイン。

2段目は水流脇を快適にぐいぐい登る。この時はまだ、いいね、いいねーと余裕の楽しさだ。3段目の上部は傾斜があって直登はちょっと怖い。左壁が取り付きやすそうだが水流をトラバースするのも怖い、ということであたりを見回し、ロープを引いて右の乾いた壁を空身で登ることにした。出だしがいやらしかったので足を押さえてもらい上部のテラスへ。ここでザックとsugiさんを引き上げ、トラバースして滝上に抜けた。

スケールのある連瀑帯を越えたとはいえ、数メートル級の滝はまだまだつづく。花崗岩の明るい岩の斜滝は美しいのだが、この沢は北面に位置するためなかなか谷に日が差し込まない。滝を登る度に振返ると雲海がしだいに晴れていき、山並みが鮮明となり爽快だ。

気持ちのいいナメ滝群を越えると二俣となる。地図を見ながら、二人ともここは二俣手前の分岐だと思いこみ、左へ進む。この頃から日が射して沢がきらめき始めた。すぐに5m滝が行く手をふさぐ。左壁の弱点を拾って空身で登ると前方に大滝が見える。ここでイヤな予感がしてGPSをみると、あー、やっちゃった。左俣へ入ってしまった。

ようやく乗り越えた滝は両岸が草付で懸垂支点などなく、クライムダウンもできない。左俣をつめても七合目の避難小屋に抜けられるらしいが、まだ時間もあるので、小尾根を越えて右俣に戻ることにした。なんとか登れそうな斜面に取り付くとグズグズながら、なんとなく人が踏んだ気配がある。きっと同じように間違えて軌道修正したパーティがいたのだろう。なんて勝手に考えて、間違えたのは自分だけでないと屁理屈。これも間違えたときのよくある思考パターンなり。

小尾根にのるとなんとか反対側に下れそうな気配だ。右俣の最初の10m滝下に降り立った時は心底ホットした。なんだかんだと小一時間のロスタイム。10m滝は左壁をロープを引いて登るが、上部がかぶり気味で苦戦。ザックを下ろしてなんとか乗り越えると、我々が小尾根から下ったルートの下部から回り込む高巻き道があった。なんだ、巻き道があったのか・・・

ブナの沢旅でこんなにロープをつかったのは(といってもたかが3回だが)久しぶりだ。いいトレーニングになったと思うことにする。右俣に入っても連瀑帯が延々とつづくが、もうロープを出すような嫌らしいところはない。けれど、登っても登っても見上げると滝が続き、川原が恋しくなる。

前方にひときわ優雅な斜滝が見えて来た。これが登山大系で40mと書かれていた滝だろう。前後の滝と合わせて多段滝とすればそうなのかなと思うが、やっぱり別々の滝と考えた方がよさそう。見栄えのする大滝だが、左右どちらも快適に登れる。さらに階段状の滝やトイ状滝、石棚滝など変化にとんだ滝をつぎつぎと越えて行く。

いい加減疲れてきた。2100mあたりでほんのわずかのゴーロ川原を見つけ、大休憩をとる。温かいうどんと汁粉で温まりホッと一息。高度が高いので、じっとしているとさすがに涼しい。もう沢ソーメンの季節は終わりなのねと、ちょっとさびしい。

さあ、あと標高差300mを頑張ろうと腰を上げる。もうすっかり滝登りに満足してしまい、消化試合の気分となるが、滝はまだまだ続く。どれも難しくないが、気持ちが疲れてくる。最後の100mほどは水涸れした岩稜帯を淡々と登り、登山道に抜けた。

右手には今にも朽ち果てそうな木橋がかかり、赤テープもある。地味なコースなので、歩く人も少ないのだろう。眼下にはスキー場が一望できる。我々の車も見える(気がする)。あそこから谷を一気に登って来たのねー。

最初は暢気に時間があったら麦草岳まで行こうなんて言っていたが、もちろんもう十分です。いつもそうだねと笑いあう。ロスタイムを含め時間もかかってしまった。ハイカー風に着替えて登山道をまずは七合目避難小屋へ進む。

きれいに整備された小屋で屋根にはソーラーパネルがしかれ、独立した水洗トイレにも電気を供給しているらしい。とてもきれいなので、さっそくsugiさんが快適に利用していた。ここからは福島Bコースの登山道を下るだけ。急なザレ斜面がなく、とても歩きやすい道だ。予定より早く2時間ほどで駐車地点に戻ることができた。

いやはや、滝、滝、滝の幸ノ川。楽しい体験だったけれど、う~ん、やっぱり自分の沢ではない。でも、たまにこういうスケールの大きな滝登りを経験しておくのはブナの沢旅を充実させるためにも意味のあることだと思った。(sugi、ako)

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木曽駒高原スキー場駐車地点6:10-入渓点6:45-二俣9:05-(途中ロスタイム1時間)-2000m 付近11:20/12:00-登山道13:15/13:40ー七合目避難小屋13:55-駐車地点15:55