ブナの沢旅ブナの沢旅
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2012.06.24
生川小持沢〜大持沢下降
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2012年6月24日

 

1年ぶりの山仲間との山行がようやく実現した。

奥武蔵の沢は、昨年5月に冠岩沢を遡行したのが初めてだった。埼玉県一のブナの大木に出合い、沢に群生するヒメレンゲに心安らぎ、大持山の南西尾根の美しいブナ林に感激した記憶がいまだ新しい。そのブナの大木が昨年の集中豪雨か台風で倒壊したことを知ったときはショックだったが、最後の姿を目に焼き付け、たくさん写真に収めることができたのは幸いだった。

今回の小持沢と大持沢は、大持山北東の沢だ。記録はごく限られているが、おおむね好感触。山トモのkukenさんと久しぶりに会う楽しみと、初めての沢を遡行する楽しみを抱いて、池袋から早朝のちちぶ特急に乗った。

終点の秩父駅一つ手前の横瀬駅で待ち合わせ、積もる話がとどめないが、あっという間に入渓点の小持沢橋へ。橋の手前のスペースに駐車して沢支度をすれば、もう沢へゴー。

古い堰堤を二つ越えるとさっそく小滝が続く。期待できそうなスタートだ。両岸は開けた樹林帯でいまだ新緑の面影がのこり明るい雰囲気だ。岩はすべて緑の苔で覆われているため、ちょっとしたゴーロでさえも絵になる。

しだいに巨岩帯となり、前方に大岩に挟まれた滝が見えて来た。直登は不可能で、左壁もスタンスに乏しい。記録にあったように、さっそく左岸の泥ルンゼから巻いたが、最後の急登の泥壁がいやらしい。そうこうしているうちにkukenさんは右岸の岩壁を登ってしまった。病み上がりとかいいながら、やっぱりやるねー。ならばロープを出してもらおうといったん沢におりて取り付くが、確保があっても難しい。

苦戦していると岩の間にちぎれたワイヤーがあることを教えてもらい、ワイヤーとロープにつかまりほとんどゴボウで登った。(もちろんもっと手前から高巻けば楽に越えられます。だってデート沢ですから・・)

滝上も巨岩帯の間に小滝がつづき、小持沢で一番美しいナメ滝へ。歓声をあげずにはいられないほどで、しばらくウットリとたたずむ。気がつくとkukenさんはさっそく登り始めている。下段は問題ないが、上段はけっこう傾斜があって自信がない・・・頑張る沢ではないからといい訳して巻く。ナメ滝の眺めがよく、上段を慎重に登っている姿をハラハラしながら見守っていると、無事に滝上に抜けた。

ゴルジュの三段滝を抜けると釣り師の姿がみえた。やっぱりいたかー。先行するkukenさんは釣り師と言葉を交わしてさっさと先へ進んだ。釣り師は黙って見送っている。何を言ったのか興味があったので聞いたところ、こういうシチュエーションではグズグズしていると逆効果なので、「先行くよ」と、さっさと進んだ方がいいとのこと。なるほど、覚えておこうと思ったが、ひょっとして言い方に迫力があったのかもしれない。

この頃から日射しが出始め、開けた川原の樹林が明るくきらめき始めた。このところの雨で水量が多いせいか、苔蒸した日本庭園風のしっとりとした雰囲気がとてもいい感じだ。あまり期待していなかっただけに、二人でいいねぇ~をくりかえす。

左手に顕著な岩峰をやり過ごすと再びゴルジュ滝となる。すべて簡単に越えるか小さく巻くことができる。これで最後かなあ。あれ、まだ続く~という感じで、970mの二俣へ。小持山に突き上げる右俣が本流のようだが、大持沢への下降点に近い左へ進む。するとすぐに水涸れとなる。あっけない終わり方だと思ったら再び水流があらわれる。すぐに左手上に作業小屋が見え、ゴルジュ滝となる。

さて、ここからどのように進むか。小屋にあがると持山寺の旧参道につながる踏み跡があり、枝尾根から大持-小持山の中間尾根にあがれるが、ゴルジュ滝を登って合流することもできるようだ。ここで少し冒険心がうずいてしまい苔蒸したゴルジュ滝の左壁を登ることにした。

ところが滝上に上がって唖然。さらに上には登れないツルツルの直滝が控えていた。そこでグズグズ斜面を登って小尾根にとりつく。Kukenさんはピンソールを装着しバイルを手に登ってきた。ピンソールは山の店で見た物よりもかなり小振りで、使い勝手がよさそうだった。試してみようかなと思う。

枝尾根に乗るとしだいに傾斜が緩み、仕事道らしい踏み跡のある植林帯となる。中間尾根は地図で想像していたより痩せていたが、ヤブはなく歩きやすい。ここまでくれば反対側は大持沢。傾斜の緩い下降点を探しながら登山道方向へ登り、1150m付近から下降する。40mロープで2ピッチ下降し、あとは適当に下っていくと沢筋がはっきりしてゴルジュの上にでた。落石に注意しながら左岸を巻き降り、930mで二俣へ。

ここからはゴーロ滝が続き、巻き下るところ多い。そして再びゴルジュ帯となり、下りはけっこう厄介だ。ソーメンタイムを取りたいが適当な平坦地ない。どんどん下ってゴルジュの出口(登れば入り口)の滝を下ると、ようやく両岸が開けて川原となる。もう2時になってしまった。今シーズン初の沢ソーメンだ。

Kukenさんはゴルジュ最後の釜でドボンしたので体が冷えてしまったようだ。冷たいソーメンでさらに冷えてしまい、焚火すればよかったと後の祭り。お湯を沸かし熱いコーヒーで温まって人心地つく。

すぐ下に見える730m二俣には2箇所にテープがあり、このあたりから沢沿いに仕事道があらわれる。所々崩壊しているが、沢を歩くより楽だ。あっというまに大持沢橋へ降り立ち、少し林道を下って出発点の車へ戻った。

大持沢は下降沢としたため対等の比較はできないが、どちらも日本庭園風の渓相が好ましかった。大持沢の方がよりダイナミックだが、滝がどれも同じように見えたのは下ったせいかもしれない。季節を変えてまた来てもいいなと思える、手頃な好渓だった。(kuken、ako)

 

 

 

 

 

小持沢橋駐車スペース入渓点8:45-1150m中間尾根12:10-大持沢下降-720m二俣14:00/14:50-大持沢橋-駐車スペース15:30