ブナの沢旅ブナの沢旅
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2012.04.14
巽沢山~家向山~窓明山~三岩岳
カテゴリー:雪山

2012年4 月14-15日

 

当初は小立岩から三本山毛欅峠へ続く尾根を登り、稲子山を越えて坪入山~窓明山~三岩岳へと展望の稜線漫歩を楽しむ予定だったが、初日は一日雨が降り続いたため檜枝岐で停滞となった。翌日は晴れ予報なので、日帰りながら一日たっぷり歩けるコースに変更した。山毛欅沢山方面のブナの尾根歩きとするか、窓明山方面の展望の尾根歩きとするか少し迷ったが、同行のkazikaさんは初めてなので、変化のある展望の尾根歩きとした。

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檜枝岐の立派な市営食堂の軒下にテントを張り、長い停滞の一日から開放されてくつろいでいるとスノーボードの若者達が隣にテントを張りたいと挨拶をしにやってきた。彼らも停滞組だった。さんざんな一日だったけれど、明日はウンと楽しみましょうねと言葉を交わす。

翌朝は予報通り早朝から快晴となる。車を巽沢山の登山口である保太橋沢出合いに移動して、橋を越えた車道脇の空き地に駐車。最初は急斜面の雪壁を登るが、すぐにアイゼンをつける。尾根に乗ってからもしばらくは急登が続くが、登山道は所々地面がでている。

さらに登ると尾根が広がり、傾斜も緩んでブナ林となる。南会津の山に来たという実感がわいてくる。雰囲気のいいブナに、kazikaさんはホンモノは違うなあ~などといっている。相づちを打ちたいところだが、そう言ってはかわいそうよと、収めておく。

巽沢山はなぜ名前がついているのかわからないくらい目立たない小さなポコで、東側は五葉松に覆われ展望もない。家向山への登りにさしかかるとふたたび気持ちのいいブナの尾根となり、左手には窓明山に続く真っ白な尾根が見渡せるようになる。

真っ青な空と真っ白な雪と煉瓦色に萌えたブナの蕾のコントラストが美しい。昨日の雨は山に新雪をもたらしたようだった。まっさらな雪面にトレースをつける心地よさ。ラッセルがない今の季節ならではの醍醐味だ。

家向山の東の肩から派生する尾根に乗り、いったん急降下して鞍部へ下る。登り返すと尾根が広がり、左手には三岩岳が大きく聳えて見える。ほんとうにあそこまで行けるのか心配になるほど彼方に聳えている。ゆったりと広がった雪原尾根にはブナの大木が点在し、青空に大きく枝を広げている。

右手には、停滞しなければ歩くはずだった稲子山から坪入山へのなだらかなブナの尾根が見渡せる。ああ、懐かしいなあ。4年前にあの尾根を歩いたことが思いだされる。

標高を上げるにつれブナ林からダケカンバにかわり、最後は無木立の大斜面が広がる。傾斜は緩いので威圧感はない。快適にワカンで蹴り込みながら山頂をめざす。右手には幾重にも重なるブナの尾根の向こうに高幽山から梵天岳、そして丸山岳・・・さらに会津朝日岳へと連なる稜線が白くさざ波を打つように連なって見える。

そうか。那須連峰の旭岳から遙か彼方に見えた真っ白な山並みがこの稜線だったのか。丸山岳は特徴のない山容だが、一番高い山だからわかる。あの稜線はまだ通して歩いてはいない。なかなか近寄りがたい「憧れの君」なのである。また、行きたい。

振返って見下ろすと単独のスキーヤーがものすごい勢いで登ってくる。そしてあっという間に追い越して行った。すご~い。最後はスキーのトレースに合流し、山頂下の雪庇の

切れ目を乗り越すと、だだっ広い山頂の一角におどりでた。さっそく360度のすばらしい展望に迎えられる。さっそく正面にみえたのは美しく両翼をひろげた未丈ケ岳。奧には毛猛の鋭峰も頭を見せている。左手には越後三山がどんと構えている。

さらに左へ目をやると奥利根の山並みから平ケ岳へ。その奥に見えるのは至仏山かな、など山座同定がつきない。越後と会津の山が全部見えるではないか。そして北側の遙か彼方には真っ白な飯豊連峰が空に浮き上がったように聳えて見える。飯豊は別格だと、いつも思う。

昨日の停滞があっただけに喜びもひとしお。展望を楽しみながらゆったりと休み、下山路となる三岩岳へ向う。普段登る山と規模が違い、大きな山だ。針葉樹林のアルペンチックな雰囲気をかもし出している。右手には緩やかな傾斜で枝尾根が谷に幾筋も落ちている。

そうか、ここが御神楽沢の遡行で下降路に使われている沢として知っていたミチギノ沢なのか。確かに緩やかで下りやすそうに見える。先行した若者はミチギノ沢にドロップしてから三岩岳に登り返すという。ご苦労様なことだけれど、楽しいんだろうなあ、体力あるんだなあ。

稜線の東側は巨大な雪庇がはりだている。できるだけ樹林際を歩いたつもりだったのに、突然陥没。なんと背丈以上の亀裂が隠れていた。足下は空洞になっている。ヤレヤレと手を貸してもらって這い上がる。そしてしばらくして、ふたたび、キャー。ここも顔が隠れるほどの深さだ。自分でも呆れてしまい、埋もれながらもkazikaさんに写真をとってくれと頼む(余裕?)。さすがに懲りて、樹林帯に入って慎重に進む。

鞍部は広い雪原で、地図には地塘マークがあるところだ。ここから緩やかに登り返して行くと巨大雪庇の急斜面が見渡せる。斜面の下の方に何カ所か亀裂が入っており、おそらく上部の雪が下にずり落ちて空洞になっていたのだろう。なるほど、ヒドンクレバスのメカニズムを体験したわけだ。これからの時期は気をつけないと危ないと思った。三岩岳の登山道分岐に近づいたところで人の気配がした。なんだか嬉しくて、ヤッホー。

1850m付近から北東に派生する尾根へ向うと男性が二人休んでいた。銚子の山岳会のヤマスキーパーティで、山頂へ行った仲間を待っていた。彼らも昨日は停滞して所在ない思いをしたとのこと。そんな話で共感が生まれたのか、大きなデコポンをいただいた。とても美味しかったです。

ここから見上げる山頂は大きく茫漠としている。最初から山頂へ行く余裕はないとわかっていたが、だだっ広い斜面を歩いてもつまらないし、展望は窓明山の方がいいしと、もっともらしい理屈をつけて予定通りパスすることにした。

そうとなれば、ここからは下るだけだ。目の前にはスキーヤー垂涎の斜面が広がっている。私たちだってスキーヤーに負けじと、快適なワカン滑りを楽しむのだ!全身の力を抜いて惰性で下る心地よさはたまらない。所々急斜面で滑り降りるにはちょっと怖い所もあったが、おおむね快適。

しばらく下るとブナ林となり、穏やかで落ち着いた雰囲気がいい感じだ。振返ると窓明山の稜線が見渡せる。あそこからずっと歩いて来たのだなあ。よく歩いたなあ。でも、ほんとうにすばらしい山歩きができた。途中、最後の休憩で腰を下ろし、しみじみする。

さらに下ると細いながら真っ白な樹肌の美人ブナ林となる。けれどかなりの急斜面。細かな尾根が派生するところで枝尾根に下りかけるが、すぐに指摘を受けて軌道修正し、あとは淡々と急斜面をくだって見覚えのある国道に降り立った。こうして長くも充実した一日を無事に終えることができた。雪山は学生時代以来というkazikaさん、私の欲張りなコースにお付き合いいただき、ご苦労様とありがとう。

窓明1 窓明7

窓明3 窓明4

窓明5 窓明9

窓明5 窓明10

14日 雨で停滞

15日 蟹沢橋6:00-巽沢山-家向山-窓明山11:20/11:50-三岩岳(1840mまで)13:10/13:25-蟹沢橋16:00